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『もっと知りたい 葛飾北斎 改訂版』

2021-01-30 13:10:27 | 読書。
読書。
『もっと知りたい 葛飾北斎 改訂版』 永田生慈 監修
を読んだ。

江戸後期の絵師・葛飾北斎の生涯と作品をたくさんの画像を使いながら紹介する本です。

葛飾北斎は幼少の頃から絵を描くのが好きで、19歳の頃には浮世絵師の勝川春章に弟子入りします。以後、プロの絵師として、90歳で亡くなるまで現役をまっとうし、たくさんの絵をこの世に生みだしてきました。作風も様々で、ひとつのところに納まっていません。また、筆名は「葛飾北斎」の名が一般的ですが、実際は何度も改名していて、最終の筆名なぞは「画狂老人 卍」という、なんともとがった名前でした。

借金がかさんだりし、始終お金に困った生涯だったようですが、そんななか、絵の腕があがっていくことが一番の喜びだったそうです。「北斎漫画」や「富嶽三十六景」が有名ですが、面白みも芸術性も備えた、なんとも心惹かれる浮世絵や肉筆画を描いているなあと、図版を眺めていても楽しいですしずいぶんと心が動かされました。

錦絵「富嶽三十六景」は富士山をテーマに、さまざまな場所の風景を描いたもの。そして浮世絵としての風俗画でもあります。図版ではありますが、「富嶽三十六景」をすべてきちんとみたのは初めてでした。情緒と風情と景観の素晴らしさを収めた画たちは、粋で平和な感じなのが多くて、大好きになりました。

また、鬼などを描いた肉筆画が、そのタッチに華麗さとか力強さとかセンスとか、北斎の美的感覚がほとばしっている感じがしてとても好かったです。まあ、何を描いても人から感嘆を呼ぶようなものを作りだしている感じです。

ゴッホやモネといった19世紀のヨーロッパ画家ばかりか、作曲家ドビュッシーにまで影響を与えている話は初めて知りました。もしかすると世界に通用した日本人のパイオニアなんじゃないですかね。

遺した絵から喚起される生きざまに、粋な味わいを感じます。放蕩者の孫にずっと悩まされた話など人生に悲哀もあったでしょうけれども、きっと北斎はそういうのも絵を描く力や向上するための糧にしたのではないかなあと思えるところでした。いやあ、すごい日本人がいたものですね。


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