Fish On The Boat

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『「アメリカ50州」の秘密』

2020-01-19 20:20:38 | 読書。
読書。
『「アメリカ50州」の秘密』 松尾弌之 監修 株式会社レッカ社 編著
を読んだ。

「はじめに」の部分からもうわくわくしました。
古いフランス語を日常語として生活している土地があるだとか、
空港にスロットマシーンが並んでいる(1000台も)だとか。
アメリカにはこんな一面があるのか、
と空想の羽がばっさぁと開いて臨んだ読書です。

50州プラス、ワシントンDCを入れて51の項目について
4ページから6ページの紙幅でもって語られていきます。
駆け足ですね。
でも、51項目をふむふむと眺めていく行為、
それも農産物はどうだとか工業はどうだとか、
地形だとか文化だとかをつぶさに読んでいくと、
なんだか教科書を読んでいるような気分になってくるので、
少しずつ読み進めました。
なにも、暗記する必要は無いのですが、
暗記しないと損する、みたいに、
覚えておいたら得だしおもしろいなあという情報だらけなんです。

日本の都道府県全部の特色とか、街の名前と特徴とか、
そういうのすらちゃんと知らないのに、
アメリカについてのものを読んじゃうのかよ、と
自分に突っ込みたくもありますが、
興味があってさらにおもしろいんだからしょうがないです。

それにしても、それぞれの州がほんとうに独自色を持っていて、
こんなにアメリカって複雑というか、多面的だったんだなあと驚きます。
「多即一」っていう言葉がありますけれども、
まさに、さまざな矛盾すら含んだ州たちからなるアメリカという一つの個。
それだけ個として奥深い印象を受けざるえません。
一筋縄ではいかないし、
ダメージをうけても、必ずどこかの地域から立ち直ってくるような
そんな粘りのある国というイメージを持ちました。

ニューヨーク州をはじめとする東海岸の、
アメリカの古さと洗練された感じがあわさったような文化。
カリフォルニア州をはじめとする西海岸の、
開放的で、たくさんの世界的有名企業が本拠にしている華やかさ。

南部には古くから奴隷州として黒人差別をしてきて、
今もその名残が強く残りながらも、
JAZZやブルースやいろいろな音楽が生まれた強い文化がある。
中部には小麦やとうもろこしなどの農業、
牛肉などのための牧畜といった生業がある。

環境問題に敏感で、
環境汚染をしないように気を使っている州もある。
人種差別が盛んだったり、治安が悪かったりする州もある。
尊厳死(安楽死)が認められている州もある(オレゴン州とワシントン州)。

まあ、そういうのを見ていけるんです。

また、州は国みたいに強い権限をもつ自治体なのがアメリカ、みたいな説明を読み、
それぞれ独自色のある州をみていくと、
なるほど日本を道州制に、とか地方分権をとかいう人たちは、
こういうのを踏まえて言ってたのかなあと思えました。
悪くないなと思えました。

まず地方紙を読み、
全国ニュースのニュース週刊誌なんかはそのあとっていうスタイルが
アメリカ人なんだそうで。
ローカルあってからの国・中央であり、なんだそう。
日本は、まず中央・国っていうところに目がいきますよね。
僕はそういう部分では、アメリカのあり方にいいなあと思っちゃいました。

そりゃ、世界をよく知る、広い視野で物を見るのはとても大切なんだけれども、
個人的な幸福感を考えると、
自分の身に近いところから始める意識が強いほうがよいような気がした。
ローカル一色に染まる必要は無くても、
ローカルは捨ておけないし大事っていうスタンスを再考したらいいんじゃないと、
ごく個人的に思った次第です。

300ページちょっとのアメリカめぐりではありましたが、
それでも、「アメリカはとっても広かった」
と言いたくなりました。


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