Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『赤毛のアン』

2017-09-16 19:43:42 | 読書。
読書。
『赤毛のアン』 モンゴメリ 中村佐喜子 訳
を読んだ。

老兄妹がじぶんたちのために孤児の男の子を引き取る手はずだったが、
やってきた子は女の子。
妹が「役に立たない」といやがるも、
よくわからないながらもその女の子を気にいった兄のマシュウが
「わしらがあの子の役に立つかもしれないよ」というところから始まっていく。

アニメ化されていたり、
名作として認識している作品ではありましたが、
「子供向けにすぎるのではないか?」だとか、
「昔の物語だし?」だとか、
斜にかまえてなかなか読む機会がなかった本書。

『花子とアン』の影響などはまったくないのですけれども、
なんだか気が向いて、本屋さんで手に取っていたのでした。
それで、読んでみたら、もうおもしろくてしかたないです。

第二章からのアンのおしゃべりの中身から、
彼女のきらきらして快活な内面が
うかがい知れるようになっていて気持ちのいい読書感覚。
こころのセンシティブな所って
普段傷つかないように、
外界に触れないよう気をつけて生活するものだけれど、
今回の読書に関しては、
その繊細な部分でなぞって読めるかのよう。

また、脇役たちも、なかなか筋の通ったキャラクターをしていました。
たとえば、リンド夫人などは、
「期待はしないものだ、そのほうが、失望しなくていい」
と、村上龍さんのようなことを言います。

また、アンが言っていたのですけれど、
たとえば豪奢な家具調度にかこまれて
モノに満たされた生活をしていると、
想像力がいらなくなってしまう。
貧乏人のひとつのなぐさめは、
想像するものがいっぱいあるということ。
なるほど、と思います。

11歳から16歳くらいまでのアンが描かれています。
子どもから、大人になるまでの女の子の様子、
それも才媛としてきらめいていく様子(幾度と失敗しながら)は、
読んでいると、胸に感じられるアンや周囲の人たちの豊かな人間性に、
自分の人生に不足しているものが
補給されていくようにすら感じさせられました。

今回読んだのは、角川文庫のもので、420ページくらいでした。
もともとの文章が素晴らしいのでしょうけれども、
翻訳文もよかったです。
おすすめですね。
さすがの名作で、ご満悦です。

また、アンってその後もあって、
10巻くらいのシリーズだったんですね。
全部読みたくなります。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする