読書。
『心と脳 認知科学入門』 安西祐一郎
を読んだ。
認知科学という言葉、学問のことを、聞いたことがないという人もおられるでしょう。
認知科学は20世紀の半ばに勃興した学問で、
情報、情報処理という概念を人間の心理や思考に適用して、
心とは、脳とは、社会とはいったいなんなのだろうという問いに答えるべく
発展していっているものです。
心や脳と社会や環境というものは、相互に作用して発展していくというのが
認知科学の基本的な考え方。
本書では、まず、心のあり方を因数分解のように細かく分けて考えるところから始まります。
言葉というもの、記憶というもの、視覚の認知の仕方などなど
そういう心や脳の活動を分けて考える。
そうして、次に、認知科学の歴史をたどっていきます。
歴史をたどることで、認知科学の発展や発見をなぞっていくことになり、
そういう形で、認知科学の基礎からの概要を学ぶことになります。
最初は、頭で考えた理論や推論をベースにして、実験を行ったようなものが多いですが、
90年代に入ると、脳そのものをfMRIなどで測定してその機能を特定していくような
分野が発展していきます。ただ、脳の機能を特定といっても、脳はどこの部分がどういう機能をしていて、
というように、すべて分業で成り立っているものではなく、分散的にいろいろな部位が相互作用
してなりたっていて、その機能を担う部分の一つが見つかったというような発見であるかもしれない。
最後の章では、これからの認知科学の役立っていく分野として、創造性を解明していくことや、
医療における活用、計画や構造なども含めたデザインというものへの適用などが
書かれていました。
その中でも、創造性のところでですが、こういうことが書かれていたのが、
ちょっとタイムリーだなぁと思った次第です。それは以下ですが、
「創造的な人間がどんな社会環境であれば現れ出るかについても、
認知科学が明らかにしてきた多くの知見が役立つ可能性がある。
とくに、思考の自由が許される社会環境、
心のいろいろな働きが十分発揮できる生活環境…(以下略)」
というのがありました。
これは、今、自民党が秘密保全法でしたっけね、
そういう法律を通そうとしているっていう話がありますが、
もしもそれが通るようだと、先の文章のような、思考の自由が許されず、
心のいろいろな働きが十分に発揮できない環境になってしまう恐れが、
十分にあることがわかりますよね。
つまりは、秘密保全法なる法律ができれば、
創造的な人間が現れにくい社会になってしまいます。
これは避けなければいけない事態だと思いますね。
そういうわけで、この本は岩波新書ですが、がりがりと読みました。
すらすらとは読めないのが、新書の中でも読解に時間がかかる岩波新書です。
そういう本に何度か挑戦するうちに、読むスピードも上がりますし、
気持ちで感じるハードルの高さも低くなっていきます。
認知科学は、脳科学、心理学、言語学、情報処理論にかぎらず、
いろいろな分野への適用が可能な学問のように読めました。
文系理系の協力のもとに発展する学問ということで、
大がかりですが重要なものだよなぁと感じました。
『心と脳 認知科学入門』 安西祐一郎
を読んだ。
認知科学という言葉、学問のことを、聞いたことがないという人もおられるでしょう。
認知科学は20世紀の半ばに勃興した学問で、
情報、情報処理という概念を人間の心理や思考に適用して、
心とは、脳とは、社会とはいったいなんなのだろうという問いに答えるべく
発展していっているものです。
心や脳と社会や環境というものは、相互に作用して発展していくというのが
認知科学の基本的な考え方。
本書では、まず、心のあり方を因数分解のように細かく分けて考えるところから始まります。
言葉というもの、記憶というもの、視覚の認知の仕方などなど
そういう心や脳の活動を分けて考える。
そうして、次に、認知科学の歴史をたどっていきます。
歴史をたどることで、認知科学の発展や発見をなぞっていくことになり、
そういう形で、認知科学の基礎からの概要を学ぶことになります。
最初は、頭で考えた理論や推論をベースにして、実験を行ったようなものが多いですが、
90年代に入ると、脳そのものをfMRIなどで測定してその機能を特定していくような
分野が発展していきます。ただ、脳の機能を特定といっても、脳はどこの部分がどういう機能をしていて、
というように、すべて分業で成り立っているものではなく、分散的にいろいろな部位が相互作用
してなりたっていて、その機能を担う部分の一つが見つかったというような発見であるかもしれない。
最後の章では、これからの認知科学の役立っていく分野として、創造性を解明していくことや、
医療における活用、計画や構造なども含めたデザインというものへの適用などが
書かれていました。
その中でも、創造性のところでですが、こういうことが書かれていたのが、
ちょっとタイムリーだなぁと思った次第です。それは以下ですが、
「創造的な人間がどんな社会環境であれば現れ出るかについても、
認知科学が明らかにしてきた多くの知見が役立つ可能性がある。
とくに、思考の自由が許される社会環境、
心のいろいろな働きが十分発揮できる生活環境…(以下略)」
というのがありました。
これは、今、自民党が秘密保全法でしたっけね、
そういう法律を通そうとしているっていう話がありますが、
もしもそれが通るようだと、先の文章のような、思考の自由が許されず、
心のいろいろな働きが十分に発揮できない環境になってしまう恐れが、
十分にあることがわかりますよね。
つまりは、秘密保全法なる法律ができれば、
創造的な人間が現れにくい社会になってしまいます。
これは避けなければいけない事態だと思いますね。
そういうわけで、この本は岩波新書ですが、がりがりと読みました。
すらすらとは読めないのが、新書の中でも読解に時間がかかる岩波新書です。
そういう本に何度か挑戦するうちに、読むスピードも上がりますし、
気持ちで感じるハードルの高さも低くなっていきます。
認知科学は、脳科学、心理学、言語学、情報処理論にかぎらず、
いろいろな分野への適用が可能な学問のように読めました。
文系理系の協力のもとに発展する学問ということで、
大がかりですが重要なものだよなぁと感じました。