拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

オーダー!

2020-04-23 21:50:01 | 言葉
知事が会見で言った「お避けいただきたい」はアルコール依存症の人なら「お酒いただきたい」に聞こえるかもな、と思った私はどうしたことか家ではまったく飲まなくて済んでいるからちゃんと「お避けいただきたい」と聞き取った。「聞こえるかもな」と思ったのは過去の記憶である(と言ってもお酒をやめたわけじゃないからね。外でならやまほど飲むからコロナが落ち着いたら皆さん付き合ってね)。さて、ワールドニュースを見ている。まず、ドイツ。マスクの義務化とか、ワクチンの臨床試験が始まったとか、復活祭のお休みはちっとも遊べなかったけど夏休みはどうなるんだ?とか、話題は日本と似通っている。でも数字は違う。感染者数は約15万人、死者数は約5千人。他の欧米諸国よりも死者数の割合が少なく、日本はドイツに見習えとの論調があるが、日本の死者数は1ケタ少ない。それでも、ドイツの数字で目を見張ったのは治癒した人の数。約10万人である。感染者の3分の2が治癒している計算である。これはすごいと思う。そして、イギリス。コロナ対策で国会にテレビ会議システムが導入され、議場はガラガラ。おかげで、議員席の形状がよく見える。へー、イギリスの議員席ってベンチみたい。与党席と野党席が向き合いつつだんだん高くなっている様が河岸段丘のようだ(ブラタモリのタモリさんならそう言いそう)。普段ならここに議員さんがひしめいてヤジの応酬をしているんだろうけど、今は静か。議長の「オーダー、オーダー」って声が議院内に響いていた。この「オーダー」(order)は「秩序」だから、「(秩序を保って)ご静粛に」ってことらしい。この議長さんの「オーダー」は名物なのだという。どういうわけか、ドイツで人気なのだという。そのドイツでは、議会で「静粛に」と言うとき何て言うんだろう。まっさきに私の頭に浮かんだのが「silentium」(シレンツィウム)。他に「ruhig」「leise」等々あるのに、なんでよりによってラテン語の「silentium」が浮かんだかというと、それは「マイスタージンガー」(ヴァーグナー)のせい。歌合戦の前に人々が「silentium」(静粛に)と言う。その厳格な感じがなんとなく議会に合ってる気がして。あと、コーヒー・カンタータ(バッハ)の出だしが「Schweigt stille, plaudert nicht」(静かに黙って!おしゃべりしないで)。こっちは日本の議会にふさわしいかな。日本の議員さんって人の発言を聴かないでヤジってばかりいるからね。議長さんも丁寧ぶって「ご静粛にお願いします」なんて言ってないで、「ほらそこ、おしゃべりしないで」とか言えばいい。それに対して「小学校かっ」ってヤジが飛んだらこれは結構気が利いている。なんでも、日本の若手議員は先輩議員からヤジを飛ばさないと怒られるそうだ。運動部もそうだよね。ベンチにいて声を出さないと先輩の鉄拳が飛ぶという。そうだ、日本の国会は体育会系だったのだ(とか言ったら、ホントの体育会系に失礼である)。因みに、イギリスと日本はともに議院内閣制。本家のイギリスも(本来は)ヤジがすごいというが、一応ヤジは発言と発言の合間に飛んでいる。最低限のルールを守っているし品もある。似て非なるものである。

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