拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

滑川の末路に人生を見て、お坊さんの手に鳩サブレーを見たの巻(鎌倉小旅・後編)

2022-11-15 11:02:43 | 日記

鎌倉八幡宮を後にして、若宮大路をまっすぐ南下して由比ヶ浜に向かう。

天気がいいのもいいが、まだらな曇天は、雲の合間から差し込む太陽光線がルーベンスの絵を思い起こして乙である(ここでの「乙」は「洒落ている」の意味であり、ネット用語の「おつかれさま」ではない)。因みに、ルーベンスはバロック期の画家。なるほど!人物がてんこしゃんこを向いている様は、まさにバロック(いびつ)である(「てんこしゃんこ」とは、各人(物)がばらばらの様子。私はこの言葉が好きで多用するが大辞林には載ってない。東京の方言だとする説がある)。この日、おだやかな顔を見せるこの浜は、しかしながら和田合戦の主戦場であり、静御前が産んだ義経の男子が頼朝・北条によって沈められた場所である。

鎌倉の中心を流れ、由比ヶ浜に注いでいるのが鎌倉史にもちょこちょこその名を見る滑川。この川、浜に入ってくるあたりではそこそこの規模があるのだが、

浜を通るうちにみるみる細く、浅くなっていき、河口付近ではもはバッハ(小川)とも言えない「流れのある水たまり」である。

由緒正しき川の末路としては物足りない感じがしないでもないが、こういう控え目な人生の終わり方も良いかもしれない。他にも、何本か狭く浅い水流が浜を通って海に注いでいるが、滑川を含めいずれもひとっ飛びで越せる代物である。あるいは、ゴム長があれば水たまりに入る感覚で渡ることも可能である(♪ピッチピッチチャップチャップランランラン)。ただし、おデートでおめかしをした紳士淑女にとっては話は別。彼らにとってはジャンプもゴム長もNGだろう。そういえば、水流の傍らで佇んでいるカップルがいたが、彼らは渡るに渡れなかったのかもしれない。

さて。この後、滑川をひとっ飛びして材木座海岸を経て逗子に行こうか、それとも、近くの長谷駅(江ノ電)に行って帰途に着くか。既に3時間以上歩いているから後者を選び長谷駅に向かったのだが、そうだ!長谷には大仏様がいる、もう長いこと見てない、せっかくだ、見ようと思って駅を通り過ぎ、大仏様がおわす高徳院に向かった。途中、商店街に「鎌倉殿の13人」にあやかった旗がなびいている。

しかし、北条義時は、いまやヒールである。大河ドラマの主人公でこんなに視聴者から嫌われた人物がいたろうか。脚本の三谷幸喜、してやったりであろう。

そんなこんなで高徳院に到着。山門には、二体の仁王像。

子供の頃、この像を見て抱いた感想は腹が出てること。これが日本人の成年男子の体型のデフォルトなのだろうか?と、いぶかしく思ってきたが、いきなり謎が解けた。仁王像は金剛力士像ともいう。力士!なら腹が出ていて当然である。因みに、仁王像の頂点に君臨するのは奈良の大仏さんが鎮座する東大寺の仁王像(運慶快慶作)だろう。あと、松戸に結構有名な仁王像があるという。近くだ、行かない手はない。白状すると、私、仁王の2人と風神雷神をごっちゃにしていて、雷神つながりでマイティー・ソー(映画)やドンナー(オペラ)のネタに突入しようと手ぐすねをひいていた。で、二体の仁王像を見ながら、どっちが雷神でどっちが風神だろう?変だなぁ、どっちも雷を鳴らす太鼓や風を起こす風袋を持ってないなぁ……なーんて思っていた。当たり前である。まったく別物である(ということで、北欧神話ネタはお預け)。

そして、いよいよ大仏様にお目通り。おおっ。いいお顔をしてらっしゃる(そんな感想を持てるようになったお年頃のワタクシである)。しかも、見る角度によって表情が異なる。まずは正面。

続いて、斜め45度。

続いて、真横。

そして、真後ろ。

この角度からの大仏様は肩を丸めていて、なにやら悲哀を感じさせる。人生(仏生)はつらいよ、と仰ってるようでもある。

それにしても、八幡宮も人手が多かったが(「鎌倉殿」の影響?)、こっちは外国人の観光客が目立った。日本の外国人観光客の受け容れが再開されたのはつい最近なのがウソのよう。待ち望んでいたんだなぁ。円安だし。

以上で、3時間半、歩きっぱなしの小旅は終了。以下はおまけの話。

八幡宮から由比ヶ浜に行く途中に農協の直売場があった。黒キャベツが珍しかったので購入。

それから、円覚寺の境内を歩くお坊さんが紙袋をぶら下げているのが妙に俗っぽい。何かと思ったら鳩サブレーの袋だった。へー、お坊さんも鳩サブレーを召し上がるのか。肉じゃないからいいのか、と思っていたら、その鳩サブレーのお店が若宮大路にあった。

そうか、鳩サブレーって鎌倉名物だったのね。あと、若宮大路をずっと行って、農協を過ぎて、もうじき由比ヶ浜ってあたりに簡易裁判所があって、へー、こんなところに、と思ったけど、裁判所には誰も興味がないだろうから、写真の掲載は差し控える(撮ったけど)。


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