拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

逃げるが勝ち

2023-05-06 08:45:46 | 音楽

上手く歌え、弾け、吹けなかったとき、ホントはもっと上手くできたはずなのに悔しいと思うことがあるが、例えば、誰かに演奏中にくすぐられたとかの不可抗力がなくてできなかったのなら、それが実力ということで、もっと練習しろ、と言うことである(と自分に言い聞かせる)。いや、達人なら、くすぐられても集中力で乗り越えるのだろうか。

かりに、自分で上手くできたと思って、褒めてもらおうなどと思って人(法律用語の「人」は「他人」のことである)に近づくと、大抵しっぺ返しをくう。名人でもそうである。例えば、カラヤン時代、半世紀に渡ってベルリンフィルの某パートのトップに君臨した某名人は、演奏後に楽屋に友人の訪問を受けた際「正直に感想を言ってほしい」と言って返ってきた言葉に逆上し、その友人を殴って定年間近に楽団をクビになった。察するに、当該奏者は、当然、賞賛を受けると思っていたのにそうならなかったのだろう。

だから、しまった下手こいた、と思ったときは当然だが、上手くいったと思ったときも、事後に人と群れてはいけないのである。最近、練習の後の私の逃げ足が速いのはそのためである。

ま、しかし、例外もある。例えば、Bお姉様などは、どんなにひどくても必ず良いところを探し出して褒めてくれる。例えば、演奏がひどくても「挑戦する意気込みがすごい」くらいは言ってくださる。意気込みが感じられなくても「服がいい」「足が長く見える」等々なにかしらは言ってくださる。Bお姉様をもってしてもどっこも褒めるところがない場合、その場合でも無言の笑顔で返してくださる。だから、演奏後、唯一、近づいていいのはBお姉様である。