拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

復活した「骨董品」(私のクラリネットの話)

2018-05-21 19:16:18 | 音楽
ブログを始めてから10年になるが、これまで自分の写真を掲載したことはなかった。今回、初めてクラリネットを吹いている写真をアップした。「Y先生と共演」という栄えある事実の動かぬ証拠として私には超貴重であるが、そのほか、この写真は私を40年前の「♪なにもこわくなかった(神田川)」時代にタイムスリップさせるものでもある。写真を見た高校の先輩後輩が寄せてくれたコメントには「楽器に見覚えがある」「吹いている姿勢に見覚えがある」さらには「アンブシャー(マウスピースを咥える口の形)に見覚えがある」といった言葉があふれる。感慨無量である。私自身、あの写真を見て、40年前の自分自身の姿が脳裏に浮かび、楽器を吹いている当時の写真と比べてみたいと思った。「使用前」「使用後」の違いはどうであろうか。目を細めてみたときのシルエットは結構変わらない気がする。その写真に写ってる私のクラリネット、お隣のY先生の楽器がぴかぴかに輝いてるのと比べるといかにも「年代物」であるが(それが目印になるのかもしれないが)、実は、キーがこのようなにぶい色になったのは買ってすぐのことである。磨いても磨いてもぴかぴかにはならなかった。そうだ、大学で合唱団に入ってからも団の宴会ではいつもこれを吹いていたのだが、だから酔っ払っていたのであろう、小田急線の網棚に置き忘れて(上着だけではなくクラリネットも忘れるのか、という声が聞こえる)、小田原までとりにいったとき、駅員さんに「これ、骨董品ですか」と言われたっけ。その後40年間、一度も陽の光を見ることなく、骨董品扱いされたものはほんとの骨董品になったと思っていた。捨てなかったのは記念品として残したかったからである。それがどうだ。まずケースを開けたとき「青くない!」でびっくり(カビで真っ青になった姿を想像していた。「半分、青い」でもなかった)。で、吹いてみた。音が出る!使える!驚きの復活劇であった。これはビュッフェ・クランポン製である。やはり良い楽器は良いのだなぁ。今回、こうした喜びを与えてくれた楽器へのお礼として調整に出すつもりである。もっとも楽器以上に調整が必要なのは私自身であるが。