「考える教室(大人のための哲学入門)」(若松英輔著)を読む
プラトン、デカルト、ハンナ・アレント、吉本隆明の4名が紹介されています。
ハンナ・アレントは一時期ハイデガーと恋愛関係にあったといいます。(年はかなり離れていたと思います)これまでの哲学は労働というものに重きを置いていなかったので、労働に着眼します。
労働は、生命活動と深く結びつく営みと考えました。この本の例でいえば、大病を患った時に、仕事を辞めて、社会的にはあまり役に立たないと落ち込みます。ですが、この人は仕事をしている時よりも、もっと深い「労働」を営んでいる。アレントの考える労働とは人間の根源的な尊厳のようなものが含まれるという考え方です。
吉本隆明(よしもとたかあき)については、その著作「共同幻想論」について記されています。国家も家族も幻想という、そんな考え方です。私はこの本を持っていたんですが、理解できなかったかな。(笑
「共同幻想論」からの引用となります。「国家はたんに国家として扱う論者たちの態度からは現在はもちろん未来の状況に適合する試みもうみだされているはずがないのである。つまり、かれらは破産した神話のうえに建物を建てようとしているのだが、私は地面に土台をつくり建物を建てようとしているのである。この違いは決定的なものであると信じている」
人間以外の生き物も、しっかり「労働」しているということを人間は知り、人間社会というものはもはや破産していて、それでも自然を搾取し続けているということを理解しないといけないのかもしれない。