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今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

033 ミリ(マレーシア)

2007-04-16 23:59:24 | 海外
サラワク州のミリ(Milli)に行く。TownからCityに昇格したばかりの小さな街だ。中国系の人たちが「美里」と表記するように、小さいながら緑の濃い美しい街である。イギリス統治時代から石油開発が行なわれていて、Shellの看板を見かけたから、現在はオランダ系の資本で掘削されているのかもしれない。材木の積出港でもあり、T君はこの街の住民だ。ボルネオで一番古いゴルフ場があり、名門コースとして知られているのだそうだ。



ミリは小さな街だが、石油の掘削が盛んなせいか豊かさを感じる。小さな街とは言ってもショッピングモールは充実し、市場は南洋の珍しい作物で賑わっている。墓地には南国の白い花が咲き乱れ、ヤシのシルエットを焦がして沈む南シナ海の落日は、息を飲むほどに美しい。マレーシアではどこも中華料理はうまかったが、ミリのホテルで食べたコースは出色だった。街を一望する高台では、油田のモニュメントが街の歴史を語っている。

海岸沿いのコースが快適なゴルフ場は、フラットなホールを南洋の樹林がほどよくセパレートして、なかなか風格がある。プレーをしているのは商社の日本人駐在員か中国系実業家、それに石油関係の欧米人に限られるようだ。休日のキャディーは小学生のアルバイトで、10歳程度の小さなキャディーのフィーは300-500円程度。プレー中、突然水に飛び込む音がして驚かされた。子供たちが池のロストボールを漁っているのだ。



マレー人の貧しさに付け込んで、安くプレーしているのではないか。そんな感傷に浸る必要はないのだろうが、この国がまだ植民地であるかのような錯覚に陥り、私にはいささか気が重くなるコースである。ミリの治安が特に悪いというわけではないのだけれど、小さい街だからと言って牧歌的ではない。アパートの窓には鉄格子を嵌めているのはクアラルンプルやコタキナバルと同様だ。ベランダ伝いに泥棒が侵入する恐れがあるのだという。



ボルネオの自然はすぐ近くに広がっているし、イバン族など少数民族の生活も残っている。好奇心旺盛派にはもってこいの街だ。いささかローカル過ぎるけれど、物価はコタキナバルよりさらに安い。ただゴルフ以外することがない、というのが現実かもしれない。もちろんここも熱帯である。T君は「初めは季節の変化がないことを味気なく感じたものだが、すぐに慣れて、冬の寒さがないことが四季のない寂しさを上回った」という。



マレー人は比較的小柄で、表情も穏やかで威圧感はない。インド人は彫りの深い顔立ちで日本人には馴染みの薄い風貌だが、インド系の食堂に入ったら安くてうまかった。中国系は日本人と見分けがつかないほどなので、違和感はないが、そのガッツはやはり日本人とは違う。クアラルンプルのチャイナタウンに迷い込んだときは、「社長さん、社長さん」と声がかかったから、向こうから見ると日本人はちゃんと識別できるらしい。

コタキナバルからミリへの途中、ブルネイの沖合いに浮かぶ「ラブアン」という小さな島に立ち寄った。マレーシア政府はここを世界的金融センターに育てようとしているらしい。マレーシア社会がどんなテンポで発展していくか、海外ロングスティの適地として楽しみに注目していきたい。ではどの街を選ぶか、ミリのみやげ物店で伝統織物を探してくれたイバン族の娘さんの笑顔は、そんな私をいっそう惑わせるのであった。(2004.7.4-5)







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