パーソナルストーリーとは櫻井美紀さんが提唱した 自分や身近な人の人生のエピソードを語るという 語りのジャンル。
ヒロシマ ナガサキ 大震災などの体験談もパーソナルストーリーです。そして 民話の根っこにはあったること 事実 個人のものがたりもありました。語りつがれるうちに尾びれ背びれがついたり 構成がしっかりしてきて 磨かれたものがたりが残ったのです。
さて 講座で語ってもらうふたりのパーソナルストーリーの原稿を昨夜読んで .... かろやかで ペーソスもあって 人生っていいものですね という肯定があって..... そこそこなのだけれど これでいいのか...という気持ちのほうが強かった。
パーソナルストーリーはエッセイでも 日記でもない。さくらももこみたいなおもしろおかしい庶民のものがたりでもない。エピソードの奥に深い人生への洞察がなければならないと思う。
なにを伝えたいのか 日々なにに苦しみ なにを糧に歩みを前に進めているのか そのひとのいのちのありようが見えないと 文学や絵本には太刀打ちできない。 本来 パーソナルストーリーはとても力のあるもので 癒しとなり人生の応援歌ともなるのだけれど 光ばかり書いたってだめなのだ 闇があってこそ光が輝く。お手軽な ハートウォーミングストーリーで 妥協しないでほしい。パーソナルストーリーがひとつの語りとして成立し 忘れえぬひとびとのものがたりとなるには イタクてもニガクても徹底して自己と向き合う必要があるのではないかと思う。 だれも傷つけないために 創作 という抜け道もあるのだが それだって 自己の体験を昇華するには その体験そのものの完結と 客観的な目で再構築することが必要である。
目をそらしてはダメなのだということ。