遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



   
    名残惜しくもあったが 講座が終わって早々にわたしは白金高輪に急いだ。その活動に心服している今さんとミヤベさんの集まりに参加する予定になっていたのだ。 若い人たちが6割年配者4割の集まりだった。

    最初にクリスタルボールの演奏があった。そして武満徹に師事していた今さんの曲「幽」がヴァイオリンで演奏された。西洋楽器のヴァイオリンに...長い一音...そして間...という和の作法で作曲された曲を奏させたのである。目の前で若いが力のあるヴァイオリニストが奏でる高音とかすれ...和の音でいうさわり...を聴く。震える。思わず自分の身体を自分で抱きしめる。それは鶴城さんのならいで言えば 透徹した悲の曲だった。

    今さんは「音によって変性した空間を感じてください」という。響きが凝縮している空間は密度が濃く結晶化しそうである。きらきらと尖った結晶がきしりながら犇めきあっている。こうしてことばに代えてはいるが 音とは響きとはことばに代えがたいものだ。感じるものだ。....鶴城さんのあたたかな光と力にみちた空間、今さんの透いて冷たい硬質の空間、......では、語りで空間を変性できるだろうか。

    つぎにホーメイを聴いた。ホーメィとは 口腔の構造を変える 頭蓋骨に響かせることで倍音を発生させる。ホーメィ..だみ声..浪花節の声 スグット 笛のような高音 カルグラ..低い音の三つがある。本来低音は腰で聞く..高音は高いところで聴くのだそうだが ホーメィの低音は聴き手の腰にグヮンとくる。

    響きには霊性をひきだす力がある。語る奏する聴くひとの意識を変え 一音で見えない世界を引き寄せる力がある。13日 ふたつのコンサートから得たものがシンクロする。まったくちがう状況からおなじこと 一音の韻き..の力を伝えようとしている。...



...若干 改稿しましたので 一音の韻き その1をもう一度読んでいただけたら うれしいです。

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   勝子おばさんの見舞いに...福島に行った。準社員さんの火事見舞いが表向きの理由だった。勝子叔母さんは夫の家の本家の叔母さんで 闘病生活を続けていた。叔母さんの一生は我慢の一生だった。夫である叔父さんは弁はたったが好き放題に生き 家にはお金も入れず影に飲み屋の女性がいた。なさぬ仲の息子の嫁とは折り合いがわるく 叔母さんは家を出てアパート住まいをしひとりで暮らしを立てていた。

   色白で痩せ型 若い頃は美貌であったろう叔母さんは料理の腕も半端ではなかった。はじめて本家に行ったとき 突然の訪いだったのに 出された料理は料亭並の美味しさだった。新鮮な秋刀魚を叩いて青紫蘇でくるんで揚げた団子 茄子の味噌いびり..あっという間に出てくる料理は美しくしつらえられて その味とともに今でも忘れられない。

   婿養子を迎えたあと時はずれにできた跡取り(叔父さん)がいざこざのもとだった。姉夫婦を分家にだしたがうまくいかなかった。分家に出た母は祖父の血をひいて火のような気性の美しいひとだったそうだ。母は夫と自分と子どもたち二人分の料理を山の中腹の本家から勝子叔母さんに運ばせていたらしい。饐えていると米びつを投げられたこともあったという。その母は早くに亡くなり 婿養子の父は涙の乾く間もなく二度目の妻を迎えたから 事実上血筋のつながらぬものに財産を分けなくてはならなかった。そして さまざまなことがあった。言葉に尽くせぬことがあった。

   苦しくて 眠れぬ夜がつづいて 叔母さんはある夜夫の残していった煙草に火をつけて吸ってみたという。..すると不思議に眠りにつくことができたという...勝子おばさん、好きなひとがいながら家長である父に従い 逝った姉の夫に嫁いだ母、母の亡くなったあと妻に納まった義理の母...それぞれの女たちの一生を思うとき 胸が締め付けられる。...女たちは夫を当てにはしなかった...時には自分を捨て ときには闘って家を子どもを守った、自分のたいせつなものを守るために 蹴落とすものもあっただろう 綺麗ごとではなかったのだ...生きることは。

   帰りぎわ おばさんはしいたけと夫の好きなたらの芽をつつんでくれた。「おばさん またくるね よくなってね」というと 「...もう 良くはならないいだよ..」と細い声がした。「良くならなくたって 今よりわるくならなければいいのよ...」わたしは細くてすべらかな叔母さんの手をつつみこむように言った。「...そうだね...わるくならなければいいんだね...」気丈な叔母さんは涙ぐんでいた。...わたしは...またこよう..叔母さんの話を聴いて胸に収めよう。

   埼玉に住んではいるが わたしは相馬の森家の嫁なのだ..とまるで新しい発見のようにわたしは思った。気丈でやさしくて男に負けない器量の嫁になろう。



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   きのう 夜半も過ぎて 語り手たちの会ホームページのサイトマップができあがった。5/2 櫻井先生と打ち合わせした内容を整理し ページとリンクを関連つけコンテンツを表にしたホームページの設計図のようなものだ。これを元に松村さんが 今日から作業を開始する予定になっていた。

   松村さんが構築し仮UPし 複数の目で充分チェックし使い勝手を確認したうえで その後は担当者から送付されたデータを元に田所さんが月に一度更新する...という手はずになる。総ページ数30ページに及ぶのであるし 後に管理するひとが楽だから すこし時間がかかってもはじめにしっかり枠をつくっておいた方がいいと思う。

   ふと思いついて わたしのマップもつくってみた。たいせつなもの..家族と会社と語りについて わたしの目標...役目...こうありたいことを書き その目的完遂に立ちはだかる障害を列挙してみた。障害は身体的とメンタルな面にわけて書き つぎの欄にその障害を克服するためのコンテンツを書きつらねる。

   それぞれ 身体(組織)の問題があり 心の問題があった。家族については「自信」がテーマ 会社では「コミュニケーション」と「和」語りも「和」である。個人のスキルについては「身体を自在に 心を自由に」....障害克服のキーワードは「計画」「実行」「持続する意志」。....闘いではなかった。具体的に実行する手立てを決める。そして地図をたよりに歩き出す。


    今 窪塚洋介さんの朗読を聞いた。内面に落とす.....外に出す.....落とす.....外に出す....考えられないほどの間   即興 声を投げる 遠くに放り投げる 投げるとどうじに内に落としている ぶっ壊れているのに響く 心情が見える。 だが風景は見えないよ... あぁ 計画なんてどうでもいぃ..と思いそうになる。.

.....それから朗読のサイトに行って2.3の朗読者の朗読を聞いてみる。それなり上手い、声があたたかい。だがことば、文字だ。 文字が声が粘こくまとわりついてくる。 声の不純物が残る。 口から発した瞬間 結晶となる声はないだろうか。水になる  ひかりになる  風になる声  こころにすぐと沁みる声。



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