朝 ネットでひとつの詩と出会った。その詩を暗誦しながら歩いていたら有楽町の周辺で迷子になり目印の銀座1丁目ウェンディーズを見つけたときには 11時になっていた。インプルーブの治療には少し遅れたが 30分も歩き続けられたことがわたしはうれしかった。
施術していただきながら 院長と会話を交わす。「意識する」ということについて....院長がめずらしく躊躇い勝ちに「...わたしはそれぞれのひとが課題を持って生まれるのだと思います。生きているということ いのちを得るとはすばらしいことです。そのチャンスを楽しみましょう...」そのことばを聴いたときわたしはすこしドキリとした。今朝みつけた詩が伝えてきたことと重なっていたからである。
...貴方がみた夢は、わたしたちに何を伝えて来たか?さあ、いまその夢を語っておくれ。.....
....わたしたちが夢を見ていた時間、わたしたちは、同じ夢の源にいた。その大いなる夢の源は、わたしたち一人ひとりの個性と役割を知っていてそれぞれに合った夢をあなた方一人一人に託した....
そして 課題とはそれぞれがそのひとしかできないことを為すこと、なにかに気づくことではないかと それは心の奥でわたしはずっと感じていたからである。インプルーブから出ると空はあかるくかがやいていた。都心とは思えぬほど澄んだ空だった。春の兆しを思わせる風に吹かれながら外堀通りを歩いた。はじめて訪れた八重洲ブックセンターはごくあたりまえの本屋だった。書架はわかりやすかった が店員の応対は事務的だったし あの本の森...に入り込んだような興奮と喜びが感じられないのである。なぜだろう...とわたしは考える...これは経営者の意識の問題かもしれない...ではうちの会社はどうだろう....一冊の本秩父事件の資料を抱いて京橋図書館をさがす。探しあぐねてサンマルクでコーヒーを飲みながら資料を調べる。
夕方5時要町の大明に着く。リツコさんとばったり会って道に迷わずにすんだ。ワークショップは狭い部屋に20名ほどの若い人たちと年のいったふたりという盛況のうちに開かれた。わたしは背骨と関節を意識する..ということについて質問した。意識する背骨は背中なのか それとも身体の中心なのか 意識するということはそこにあると認識すればよいのか それとも改善する意志を持つことまでなのか...
永実子さん(昴の演出家・講師)はわたしがびっくりするほどその質問と気づきを喜んでくれた。背骨=身体の軸 なのである。意識とはただそこに意識を置けばいいとのことだった。日常の行動における意識する...とは違ったレヴェルであるのかもしれない。そのあとのエクササイズは身体の関節の確認...それから身体の関節を自由に動かす..身体の中心のエナジーを末端まで伝える わたしたちはヒトデになる 音楽がかかる 四肢をくねらす 身体が熱くなる 夢中になって もうひとのこと気にしてはいない 音楽とエナジーに身をまかせる。
そのあと感想を求められる ...解放 個にして全 天からのエナジー 楽 愉 透明 ...では それをひとことで言うと永実子さんは黒板に書く en-joy ....わたしは芝居はコレだと思います。...en...入らせる? joy...喜び...わたしは頭の芯を叩かれたような気がした。いのちなんだ いのちの喜びって開放し わかちあうこと ...身体は器...身体でしかわからないこと 気づけないことがある...器が変われば いのちの質もかわる 身体からはいっていけることもたくさんある。...語りも喜びでなければ..語り手にとっても 聴き手にとっても。 いのちをすばらしいものと分かち合い讃えること。生きることはときに哀しい。だが哀しみ苦しみがあってさえ いのちはうつくしい。ものがたりを透かして向こうにあるものを見る そのときどんな想いが満ち溢れるか。
今日の永見子さんのもうひとつのテーマは自分から離れる...である。台詞をいうとき自分から離れているか。その訓練のためにボールを投げながら台詞をいう。ふたりのエクササイズを見ていると まったく台詞が変わっていることに気づく。相手に届かせようとしている。...それから背後にプロンプに入ってもらい復誦する。ふたりの会話が自由になる。永実子さんはそれぞれの課題をエクササイズに取り入れ 気づかせようとする。最後にわたしたちふたりは頬をつけ相手の温もりを感じながら台詞を言うエクササイズ...わたしの課題のひとつは相手役との絡みである......相手の鼓動を感じる。会話があたたかみを持ち つながってゆく。
だが 自分から離れるというのは語り手にとってそうむつかしくはないはずだ。ものがたりを生きる それは常日頃やっていることだから。
自分を知ること 自分の身体 自分の心持を知るのはなんておもしろいのだろう。世界がどんどん拡がってゆくのを感じる。身体を動かしたい 関節を動かしたくてたまらない。風は吹いているが..問題は山ほどあるが わたしは愉しむことにしよう...あたえられたすべてを...こころゆくまで。腕をひろげ風に向かって歩く。
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