子どもたちの置かれた環境や状況に憂慮された校長先生から懇請され、わたりに舟とお受けしたA小学校での一年間にわたるおはなし会が今日ひとまず終わった。この間四年生から六年生 そして障害児のクラスで語らせていただいたおはなし会の回数は35回 ものがたりは延べ100くらい クラスによって重なるものがたりをのぞくと語られたものがたりの数およそ35である。うちわけは 昔話 伝説 神話 創作ぱねるシアター パーソナルストーリー 児童書 文学から...。
文学から語ったのは野犬アカの物語 雪女 稲むらの火 芦刈
パーソナルストーリーは 藤平さんのこと おさだおばちゃん
今日おはなし会のあと子どもたちから2冊の文集を渡された。それは語りを聞いた子どもたちの感想の文集だった。
子どもたちの感想から
一年間お話を聞かせていただいてありがとうございました。わたしは犬の「アカ」の話が一番心に残りました。歌をうたったりしながら話を聞くのもとても楽しかったです。森さんのお話はとても心がこもっていてもっとたくさんの話を聞きたいです。お体を大切にしてまた話を聞かせてください。
一年間 お話を聞かせていただいてありがとうございました。わたしが一番心に残ったのはコカのカメのお話です。「コカのカメ コカのカメ カタイカタイコウラ カタイカタイコウラ 」この言葉が負けないというふうに聞こえてきます。なので好きです。これからもお体に気をつけてください。
先生へ
ぼくは最初先生の話を聞いたときは不思議だなぁと思いました。その話が頭のなかで絵が浮かんできそうな話し方だったからです。ぼくはそうやって口に出せるのがすごいと思いました。。またお話を聞くのが楽しみです。
わたしは今読書をしています。380ページの本です。わたしが読書をはじめたきっかけは先生みたいに本を覚えてみたかったからです。でもわたしは覚えられません。けれどもできるだけ努力して覚えたいと思います。それからわたしの心に残ったお話はせっかくなれた野犬に毒をあげてしまうお話です。ほんとうの犯人はだれだったか知りたいと思いました。先生のお話でわたしは本に興味を持ちました。いろいろなお話を聞かせてくれてありがとうございました。
...先生へ
初めて...先生がぼくたちに語ってくれたとき ぼくはすごいなと何度も思いました。ぼくが心に残ったのはふたりの男のひとがきこりに行ってお父さんが雪女に殺されてしまってもうひとりの男のひとに「このことを誰かに言ったらあなたも殺してしまうぞ」と言ってふたらいはけっこんしてそのことを話してしまって雪女が出て行ってしまったおはなしがかわいそうで心に残りました。これからもよろしくお願いします。
先生へ
一年間お話を聞かせていただいてありがとうございました。今日のおはなしを聞いて一番心に残ったおはなしは森さんの小学四年生のときのおはなしでした。わたしも これから六年生になってもがんばりたいです。六年生になっても森さんがきてくれたらいいなと思っています。
いつもいいお話をしてくれてありがとうございます。そして....さんのおはなしは心をあったかくしてくれてしんけんにきけるお話でした。そのおかげでぼくも成長できたと思います。ぼくたちは中学生になってA小を旅立ちます。一年間ありがとうございました。
毎回 いろいろなお話をしてくださりありがとうございました。私は...さんのお話を聞くのがとても楽しみで来てくださる日がわかるととてもわくわくしました。そして楽しいお話や悲しいお話などいろいろなお話をしてくださり心があたたかくなりました。そしていろいろなことをまなびました。なのでこれからもいろいろな人たちにお話を聞かせてあげてください。そしてこれからもがんばってください。
わたしたちのために朝忙しいときに話を聞かせてくれてありがとうございます。いつも...さんは心をこめて語ってくださるのでとても楽しみにしています。...さんの話を聞くと話の中の世界に入っていける気がします。主人公の気持ちなども深く深く感じることができます。これからもいろいろな話を聞きたいと思いました。短い間でしたがありがとうございました。
....さんへ
すばらしいお話ありがとうございました。わたしはあんなに長いおはなしを覚えられる森さんはほんとうにすごいと思います。この前のお話は心が寂しくなるような話でしたね。 おばあちゃんのこと なんだかたくさんのひとの気持ちがわかるような気がしました。中学に行っても 森さんがお話いただいたことは忘れません。ほんとうにありがとうございました。
....さんへ
このあいだはひとつのお話をきかせていただきありがとうございました。聞いていて「あぁ よかった」「残念だな」いろいろ考えます。このあいだのお話は....さんのおばさんのお話でしたね、悲しい気持ちになったり うれしい気持ちになったり ホッとした気持ちになったりいろいろな感情を教わりました。これらの感情をこういう感情もあるということを忘れずに過ごしてゆきたいなという気持ちになりました。
わたしが驚いたのは子どもたちがしっかりものがたりを受け止めていてくれ こまごまとしたシーンを覚えていて また心のひだまで汲み取ってくれたことだった。感想のなかでおもしろいと思ったのは5年生で コカのカメ 権現堂の伝説 つつじの娘 藤平さんのこと を語ったとき 当日先生がたずねてくださったとき 一番心に沁みたのはほとんどがつつじの娘 であってコカのカメはひとりしかいなかったのに 作文となるとコカのカメが圧倒的に多かったことである。つつじの娘は書きにくいところがあるのかもしれない。パーソナルストーリー 「おさだおばちゃん」の人生もすべてとは言わないが子どもたちはしっかり受け止めてくれた。また 自分としては自信がなかった椋 鳩十の 野犬アカの物語への支持が多いことに驚いた。主人公の葛藤のくっきりとした 感情移入のできるモノガタりが支持されているように思う。
でも 分析よりなにより わたしは不覚にも泣いてしまった。語り手として実に大きなものをいただいた。これで前に進むことができそうだ。語り手は媒介である。真実 やさしさ あったかさ を聴き手に届けるパイプである。もっといい媒介になりたい。そして子どもたちにもっと大きなものを届けたい。
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