先週、明け方の夢の中に小さな小太りなタヌキが出てきた。タヌキの首根っこを掴んで『さあ、これからBBQにして食ってやるから、おとなしくしろ。』と思った瞬間、そのタヌキがニャッと笑った。表情を持つ動物はマンガの世界だけで実の動物が笑ったりすると、とてつもなく恐ろしいものだった。
...今年の夏は機会がある度にBBQを行った。
アメリカではご馳走と言えば、BBQ(グリルド)です。
実はBBQというのは、乏しいレシピしか浮かばないおやじの証でもあるのだ。安いセールの肉を買ってきて、炭を熾して肉を炙り味付けは塩と胡椒だけでいい、つまり、楽して旨い(そうに見える)ものを食べるにはBBQが一番という単純な動機である。
煙にまかれて間違った思考をしない事。
夏のBBQを振り返って確信した事がある。それは、BBQの回数をこなしたからと言って、料理の腕が上がったという事には成らない、という現実である。グリルの横に立って肉を上手に焼く事が出来るようになったら、俺の料理の腕も上がったなという錯覚を抱きやすい。
塩加減が味の決め手です。
原始時代に人々が洞窟で暮らしながら、獲物を捕らえて火で炙って食していた時代は”料理の腕”などという言葉も観念も有り得なかったんじゃないかと、即ち肉を火で炙るという行為は現在も原始も同じ事。海塩にしろ岩塩にしろ人類はいつ頃から肉に塩をふりかける楽しみを得たのであろうか?
一番印象に残ったBBQは8匹のサバを同時に焼いた時であった。閑静な住宅街からもくもくと大量の黒煙が立ち上り、辺りに異様な臭いを撒き散らし、やべぇなぁ!と思いながらハラハラする自分。魚の油がパチパチと燃える中で、このまま中途半端な生焼けで止めようか、それとも消防車がやって来るまでに焼き切ろうか、と葛藤する自分。結果、焼き切った。塩を振りかけたイワシの丸焼きは旨いが、サバの丸焼は心労のわりには味はいまいちであった。これも経験ですかねぇ。
ところで、これは何?
プラターナと呼ばれる調理用のバナナです。一般的なバナナは熟すと柔らかく甘いですが、このプラターナは生で食べるものではなくて、焼いたり蒸したり揚げたりして火を通して調理して食べるバナナです。中南米の赤道に近い国々では常時食されている食材なのです。
焼いちゃいましょう!
普通のバナナを焼いた事ありますか?...私はあります。
普通のバナナは焼くと不味くて食えたものではありませんよ。これも経験ですかねぇ。
丸焼きが出来ました。
焼けて火が通ると皮の一部が割れてぷしゅ~っと汁が出てきます。
中はこんな感じです。
食感はサツマイモに近いです。
肉を焼いて齧り、プラターナを食していると自分はガイアナ(アマゾン)のインディオになった気分です。
実は、焦がしたり、塩をふりすぎたり、失敗も沢山しました。
食べ物を上手に焼くって本当は難しいのです。
...
食事で大切な事、それは雰囲気かもしれません。
食事の味は雰囲気(風景)と共にインプットされます。
笑うタヌキが夢に現れたのはこのBBQと何か関係があるんじゃないかと考えたりもしたが、今のところ結論には至っていない。タヌキは煙と共に現れる。BBQも煙と格闘する調理法。タヌキは煙に巻かれると出てくるものなのかも知れない。もしもBBQを行っている最中に誰かがやって来たらそいつはタヌキだと思っていいだろう。そのタヌキには遠慮なく焼いた肉をふるまってあげてください。
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