BMWのMシリーズを数台所有し実際のサーキットに定期的に足を運んでいる友達がいる。彼はレーシーなドライビングテクニックだけではなく、メカに対する知識もずば抜けている。僕の様な疎い者が発するクルマに対するあらゆる問いに対しても、的確なアドバイスを提示してくれるありがたい存在なのである。クルマでサーキットを走るという事は錆びたランクル乗りから見ると異界での行為そのものだ。ランクル60のタコメーターのレッドゾーンは4000であるが、レーシングカーの領域は8000からの世界。ブレーキパットやディスク、タイヤ等の消耗品はランクルだと数年の耐久期間の単位だが、レーシングカーは数時間、或いは数分の世界。ワビサビとは対極の世界である。そんな彼が日常に足として使っている車はトヨタの小型車bBである。レーシングドライバーの日常の足が庶民的な車なので驚く人が多いとの事。彼曰く四駆もV8もスポーツカーもセダンも更に大型バイクも乗り繋ぎ多くの車に接してきた結果、今では普段乗る車に対する拘りというものが無くなってしまったとの事。クルマを持ってしての体面は卒業し、車道を飛ばすクルマには道をゆずる。そういう境地に至ったらしい。しかし、そうかといって普段乗るクルマは何でもいいわけではなさそうだ。彼はシンプルで乗って楽しいクルマがいいと言う。
我々の前方を走るBMW2002 に追いつき追い越す。
ゆっくり走ってはいるが、運転手はレーシングドライバーかもね?