中南米の人々はチキンを美味しく料理する事に長けている。その中でも特にグリルドチキンはシンプルながら旨い。街にある中南米系のレストランに入ってメニューの選択に迷ったらグリルドチキンを注文すれば外れる事は少ない。チキンを美味しく焼くという事は奥が深く、僕は未だに探求の路程を彷徨っている。中南米の人々は塩とニンニク、そしてクミンという香辛料を使用する。彼らから口頭でレシピを聞き出し再現してみるが、未だに自分の舌を満足させるに至っていない。ラーメンや寿司はカウンターで食するのがベストだと思う。それに比べて、グリルドチキンはもう少しハードルが低くグリルドレストランでなくても美味しく焼いたチキンを自宅でグリルド出来る様な気もするのだが、なかなか求めている味を実現しかねている。それは、あまりにもシンプルで普通で全然特別ではない故に、難しいのである。
チキンを焼きながらその横で知人から頂いた高価な地元産の14年物のウイスキーを嗜む。 チキンを焼く香ばしい臭いが煙と共に近所の空気を汚染しているが、その臭いさえ感じさせない程にコクが深い味わいである。グリルドチキンを美味しく焼くという課題に取り組む姿勢を持続けているが、あまりかしこまらず、こだわらず、陽気で楽天的で料理を作る事を楽しみ、家族や仲間に尽くす事を喜びその時間を大切にする、そんなポジティブなラテン気質が料理人には必要なのだろうと感じる。そんな気前があってこそ旨いグリルドチキンを焼く事が出来るのかも知れない。料理が深いという意味は実はこんな所に要点があるんじゃないかと思う。今回はウイスキーの力を借りようとしたが、本当はテキーラの方が良かったのであろう。あとは、音楽なんかも料理の味に関係あるじゃないだろうかとも思ったりした。
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