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広大なニューヨーク州の南部に位置するキャツキル山地(Catskill Mountains)はアメリカの北東部に広がるアレゲニー高地(Allegheny Plateau)の一部である。フライフィッシングが好きな友人はこの地域をアメリカにおけるフライフィッシングの聖地と呼んでいる。1000メートル級のなだらかな山脈が続くこの地域を横切るルート17はニューヨークの郊外から内陸の中都市 Binghamton をつないでいる。そのルートは片道2時間の信号無しハイウェイであり、そのワインディングルートは山の中腹を横切り上流の水がせせらぐ渓谷を超えて小さな町が展開する光景を連続して見せてくれる。時々路上から見えるぽつんぽつんと存在する小さなロッジの煙突からは暖炉で焚き木を燃やしているのであろう白い煙が優しくたち昇っている。夏の深緑に満ちた光景や秋の紅葉の季節とはまた違った乾燥した冬のシンプルな光景も切れのある晴れた空のブルーと調和して光っており、それは神秘性を秘めた美しさであった。空の美しさをドライブという手段で場所と角度を徐々に変えながら堪能する事が出来た。
今回使用したクルマはランドクルーザーではなく、V6 . 260馬力のパワーを持つ2012年型のGTカーです。朝の7時に出発した今回のツーリング(フォーリングかな?)は片道3時間、往復で6時間、距離は350マイル(550キロ)の走行です。ハイウェイの制限スピードは55マイル(約90キロ/H)。いくら高性能なGTカーでもやはり制限スピードは意識するべきである。それは、ネズミ捕り(警察)に捕まるかどうかの視点ではなくて、ドライブを楽しむ為に、そして他の車両に迷惑を掛けない為にハイウェイの上でも紳士でいたいと感じているからだ。
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週末のグランドツーリング。キャッツキル山地の山々のほとんどは広葉樹で覆われている。葉を全て落とした冬の広葉樹の樹海は美しい。その美しさは空に反映しており空と一体である。澄み切った冬空の青色が一年の内で一番美しい。
クルマが快適だと手持ちぶたさを感じるのか、音楽(サウンド)を求める様になる。静かな室内で音楽に身を包む事は悪くない。それは静かで快適な走りが前提となっている。走りながら音楽を楽しむ世界とクルマの走りそのものを楽しむ世界は異なっているが重なっている。音の世界は走りに付属した付加価値である。
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我に返ってステレオのスイッチを切ってみる(サウンドオブサイレンス)。クルマの振動や風切り音、そしてカーブでは体にかかるGを感じる。オートマチックのGTカーは坂道の登りでもアクセルを踏み込めばいくらでも加速する。時々スピードメーターに目をやってスピードを調整しないとやばい。自制力が必要だな。平行して走る走行車を軽々ぶち抜く事は容易だが、緊張感が増えるし優越感を感じてもしょうがない。景色を楽しみながら車間距離を保って他車に干渉しない、受けない、走りが楽しむ走りのコツじゃーないかと思う。
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ルート17を走り終えて、ローカルな道を更に西に向かって走ります。ハイウェイを降りた後はスピード感が高速に慣れているのでスピードを出してしまいやすいものです。ランクル60ならほっとするが、GTカーだと手持ちぶたさを感じます。積雪の後の田舎道を走ります。窓を開けると外は氷点下です。厳しい冬の寒さにはやはり新しい車が快適です。悔しいですがその点は旧車は新車に勝てません。
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最高のGTカーとは何か?などとステアリングを握りながら思ってみる。それを詰めるには枠が必要だと思った。その枠はよく晴れた週末の朝の空いた道を2-4時間気持ち良く走る事の出来るクルマであるという事だ。長くても片道2時間15分を超えない方がいい。それは矢沢永吉がコンサートは2時間15分を超えたらダメだ、それを超えると聴衆が飽きてくるからね。っと言っていたので、ドライブにもその名言を応用するのがいいんじゃないかと勝手に思った。気分転換と充実感を味わって来週の活力に繋げるドライブには時間とコース(信号の少ない好い景色)がいい。
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速度制限55マイルの枠組みを考えると、高性能なクルマは不要ではないかと思われる。100キロ/Hのスピードで2時間気持ち良く走る為のエンジンは大きすぎても小さ過ぎても良くない。エンジンの音も静かな方がいいという訳ではない。焦点はステレオを楽しむ事ではなくて走りを楽しむ事なのだから。いろんな場所や角度から空を眺める事が出来るのもドライブの醍醐味です。青い空はいつも視界にあるがそれを見る舞台は瞬時に異なります。ドライブに駆るクルマというのは分母の様なものです。ですからどんなクルマで走るのかという結果はその印象が思い出として残ります。
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運転にはストレスが付きまといます。古いランクルで走る事のストレス、高性能なGTカーで性能を抑えて走る事のストレス。本当はGTRで走りたいけど予算的に無理だというストレス等、しかし、自分にとって好いとするクルマというのは2-4時間運転してみてその感動がストレスに勝るかどうかという事が一つの目安じゃないかとも思う。
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外は氷点下でも冬の太陽の日差しを窓から受けると暖かさを感じる。クルマが快適だと眠気も誘う。そんな時は窓を開けてみる。窓を開けて暖房の送風を浴びなら走る行為は、それも冬のドライブのテクニックの一つだと言ったら怪訝な顔をされるかな。
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太陽が西に傾く時間というのは不思議なもので頭の中が停滞しあまり考えたり感じたりする事が停滞する。無心で走っているといったら分かりやすいだろうか、よって景色などもあまり覚えてはいない。おそらくそれは、早く帰ろっ、という気持が浮き上がってくるからかも知れない。
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夕方の5時を過ぎると空は青さを失ってくる。ヘッドライトを照らす程の時間になると頭の中は晩御飯のおかずの事などを考えたりする。車が楽しみの為の媒介的な存在から実用的な存在に変わるのもこの時間である。と、同時にラジオから流れる快適な音楽が吸収されやすい時間なのかも知れない。
ランドクルーザーを置いて快適な車で走り込んだ一日であった。こうやって時々性能が良く新しいクルマを走らせる事によって、更に古いランクルの良さを認識させられ、その存在に確信出来るのであった。冬の青空を何とか自分のものにしたい。その為の一つの方法がドライブである事は間違いない。ドライブにシーズンオフっていう概念は存在しないんだね。