万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

公明党代表の尖閣諸島棚上げ論のリスク

2013年01月22日 15時56分24秒 | アジア
 連立与党の代表として、安倍首相の親書を携えて中国の地を訪れた公明党の山口代表。あろうことか、香港のテレビ局の番組に出演し、尖閣諸島の棚上げ論を口にしたと言うのです。この発言、あまりにリスクが高いと思うのです。

 1978年に、小平氏が棚上げ論を打ち上げたのは、公式の政府間交渉の場ではなく、日本国内における記者会見の席でした。つまり、非公式の会見での発言なのですが、何故か、中国側は、しばしばこの時の発言を引いて、両国の棚上げの合意が存在したかのように振舞っています。山口代表の言葉は、「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」であり、この言い回しも、「次の世代は我々より賢明で、実際的な解決法を見つけてくれるかもしれない」と述べた小平発言とそっくりです。現実には、日本国政府は、1972年に両国間で棚上げの合意があったとする中国側の見解を否定しており、棚上げ論とは、中国側が一方的に造り出した虚像に過ぎないのです。にも拘らず、連立与党の党首が、”棚上げ論”を持ちだすとしますと、中国側に、みすみす棚上げ論を再燃させるチャンスを与えたようなものです。しかも、”次の世代の中国”は、小平氏の言うように”賢明な解決”を見つけるどころか、軍事力で暴力的に尖閣諸島を奪う勢いなのです。

 中国は、領海法で尖閣諸島を編入することで、既に、自ら主張した棚上げさえ破っています。今回も、中国は、”棚上げ”を日本国に認めさせつつ、時期を見て、軍事行動に出るつもりなのでしょう。これでは、同じことの繰り返しになるだけです。尖閣諸島は、法的に見ても、歴史的に見ても、紛れもない日本国の領土なのですから、中国に譲歩する余地は、全くないと思うのです。

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4 コメント

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Unknown (ねむ太)
2013-01-22 18:06:15
こんにちは。尖閣棚上げ論は中国が海洋法を立法し、尖閣も自分の領土であると、宣言した時点で無効になっています。
確信的領土と主張する相手に棚上げ論を展開しても、合意のふりをして中国人を送り込み占領してしまうでしょう。
甘すぎます。
日中友好条約、主権・領土の相互尊重
主権・領土の不可侵 主権・領土に対する内政干渉はしない、尽く踏みにじっていますので日中友好条約は破棄されたものと考えるのが普通でしょう。
このような事態になっても棚上げ論を述べるのは工作員か、日本国憲法の性善説を盲信しているかどちらかでしょう。
孫崎享氏・田中眞紀子氏も棚上げ論を支持していますが、事情は少々異なります。
孫崎氏の場合はイラン大使から別のポストに移動させられ「アメリカにやられたな」と囁かれた事で米国に私怨を持ち、何でもかんでも米国の陰謀だと陰謀論に走り、中国礼賛をしています。
田中眞紀子氏の場合は、角栄氏とともに北京を訪れた際に見せられた映画(検証の結果捏造である事は周知の事実なのですが)を実写フイルムと信じこみ、盧溝橋事件では日本軍が攻撃を受け「革命だ」と叫び戦争を始めた、南京では30万人を生き埋めにして殺した、森村誠一氏の悪魔の飽食をそのまま信じこみ、実際の記録フィルムを見たもん」と、言っています。
どこかのルーピー君と同じレベルでしかありません。
企業のトップとマスコミの、付ける薬も見当たらないほどの馬鹿さ加減も問題ですね。
日本軍が遺棄したとされる毒ガス弾(戦争終結に伴い武装解除され、相手に引き渡していますので責任は無いのですが)多額の処理費用や被害者への倍賞を求められた事をきっかけに撤退すべき処を、13億の市場だと進出に拍車をかけ、暴動で店舗や向上を破壊されても残ろうとする・・この様な目先の利益に目が眩みリスク管理も出来ない連中が領土問題や靖国問題で揉め事を起こさないで欲しいと言っているのですから、まともに話を聞く政治家は商人以下の大馬鹿ということですね。
公明党と連立解消し、公明党が野党になれば国会のねじれは解消されず重要な法案は全く通らない状態になってしまいます。
公明党は共産党や社民・みどりの風・国民の生活などと考え方が近く、創価学会の票目当てに野党が野合してしまう可能性のほうが大きく、参院選で野党が議席を増やす事が懸念されます。
しばらくは連立のまま飼い殺しにして置く他無いでしょう。
ねむ太さま (kuranishi masako)
2013-01-22 20:51:18
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 孫崎氏が、私怨でアメリカ陰謀論を公然と語っているとしますと、ポスト移動の人事(左遷?)は正しかったことを、自ら証明しているようなものです。国益よりも私的事情を優先する人物は、政府の要職に就けるわけにはゆきませんので。それにしましても、孫崎氏は、不自然なくらいにマスコミに持て囃されておりますので、おそらく、孫崎氏の背後には、支援者(中国?)が、日本国内の世論喚起に糸を引いているのでしょう。もっとも、多くの日本人は、孫崎氏を怪しい人物とみなしておりますが・・・。日本国は、自由な国なのですから、田中真紀子氏も、洗脳を解く機会があったはずです。にも拘らず、その機会を逸しているとしますと、やはり、自発的な親中派なのではないかと思うのです。
 専門家や政治家より、そして、中国との繋がりをもつ公明党よりも、案外、一般の日本国民の方が、中国の本質を良く見抜いているかもしれません。自民党には、公明党の内部からの切り崩しに注意していただきたいと思うのです。中国共産党の策略の基本は、相手方内部に味方の工作員を送り込むことですので・・・。
Unknown (Suica割)
2013-01-22 21:51:41
格好よく言ったら、歴史は繰り返す。
サブカルチャー的に言ったら、最後のコマで最初に戻るとなっているギャグという所です。
中国にとっては、棚上げは、現状維持+α、日本にとっては、現状維持-αの選択なので、すべきではありません。
こちらは冷静に自国の正当性を積み上げ、防衛努力を惜しまない事が一番の対策です。
Suica割さま (kuranishi masako)
2013-01-22 22:37:43
 コメントをお寄せくださいまして、ありがとうございました。
 公明党の山口代表は、発言を軌道修正したそうですが、中国にかかりますと、如何様にも発言が利用される可能性があります。国際社会に対する日本国政府の説明努力を無にするような発言は、あまりに無責任であると思うのです。

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