万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米中間を行き来する北朝鮮-米中朝三国の本当の関係は?

2018年06月19日 15時02分53秒 | 国際政治
米国務長官、再訪朝示唆=非核化の具体策協議か
本日6月19日、北朝鮮の金正恩委員長は三度目となる訪中の途に就き、中国の習近平国家主席と会談するとの情報が伝わってきました。こうした矢先、アメリカのポンペオ国務長官も北朝鮮を再訪する意向を示しており、あたかも北朝鮮が米中両国の間で右往左往しているかのようです。しかしながら、米中朝の三か国の関係については、全く異なる二つの見方が成立つように思えます。

 第一の見解は、米中対立を前提とした、北朝鮮の‘蝙蝠外交’です。マスメディアでは、金委員長が習主席に対して米朝首脳会談について説明に赴いたとされていますが、トップ訪問である以上、単なる事後報告であったとも思えません。そこで、第一の見解とは、金委員長の訪中は、中国の後ろ盾を得て12日の米朝首脳会談に臨んだものの、アメリカの要求するCVIDによる非核化要求を事実上丸呑みした北朝鮮が、切羽詰って中国に援けを求めたとする見立てです。おそらく、金委員長としては、共同声明へのCVIDの書き込みが回避できたことをよいこととして、実際には、核の温存を目論んでいたのでしょう。しかしながら、アメリカ側がこれを許さず、非核化の実施を強く求めてきたため、アメリカに対する盾として中国にすがるしかなかったと推測できるのです。そして、この動きを受けたポンペオ国務長官の訪朝は、再度、北朝鮮をアメリカ側に繋ぎとめ、具体的スケジュールの下で非核化を実現するための‘念押し’ということになります。

 米中対立を想定した上記の見解は、表面上の動きを見れば、誰もが理解し易いシナリオです。しかしながら、その一方で、別の見解がないわけではありません。それは、トランプ大統領内通論です。この説は、アメリカ在住の岩田太郎氏が唱えているのですが、口では極めて攻撃的な発言を繰り返しつつも、結果だけを見れば、トランプ大統領は、中国、ロシア、北朝鮮を利していると言うのです。確かに、この見解には首肯すべき点があり、米中朝の関係は、裏ではしっかりと手を取り合っている協力者となります(もっとも、裏の裏があるかもしれませんが…)。しばしばトランプ氏、習氏、金氏の三者は似た者同士とも評されていますが、仮に三者が協力関係にあるとしますと、その背景には、さらに三者を上部から操る何らかの国際組織の存在を想定せざるを得なくなります。ロシアも協力者であるならば、この隠れた権力体としての国際組織の力は絶大です。つまり、トランプ大統領内通論は、必然的に全世界を蔭から支配する国際謀略論に行き着いてしまうのです。かの『シオンの議定書』には全世界に傀儡独裁政権を樹立させることで、世界を支配する手法が描かれていますが、現実は、まさにこの計画通りに進んでいることとなります。

 以上に二つの見解を述べてきましたが、米中朝の三国の真の関係は、一体、どのようなものなのでしょうか。第二の見解は、荒唐無稽なようにも思われますが、仮に、北朝鮮危機が、最終的に中国、ロシア、並びに、北朝鮮を利する形で終わるのであれば、俄然、信憑性を増してきます。米中朝三国の真の関係を見極めるには、‘まさかこのような事が現実にあるはずはない’とする先入観を排し、今しばらく、事の成り行きを注意深く観察してゆく必要があるように思えるのです。

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