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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府のピコ太郎氏起用は不真面目では?

2017年07月16日 14時55分48秒 | 日本政治
 報道によりますと、日本国政府は、動画の発信で世界的にその名が知られるようになった歌手のピコ太郎氏を、国連のPRに起用するそうです。しかしながら、この起用、不真面目なのではないでしょうか。

 ピコ太郎氏の活動の内容とは、国連本部で開催を予定されている日本国主催のレセプションに出席し、パフォーマンスを披露するというものです。実のところ、既に外務省では、同氏のヒット曲である「PPAP」の替え歌を使った動画を作成しており、今般の起用もその流れにあります。小池東京都知事もエコ対策の一環として、同氏とのコラボで白熱電球のLED電球への無償交換事業のPR動画を作成しており、何故か、政治サイドでの積極的な起用が目立っているのです。

 ピコ太郎氏を初めて見たときの偽らざる印象とは、“堅気の人ではない”というものです。パンチパーマ、ちょび髭、サングラス、豹柄のロングマフラー、黄色の開襟シャツのいで立なのですから。また、“日本発で全世界でヒット中”と宣伝されながらも、これといって日本らしさも感じられませんでした。一般の日本人の多くも、同じような感想を持ったのではないでしょうか。そして、氏が元コメディアンであったこともあり、他の諸国の人々が同氏のパフォーマンスを見ましても、真面目な印象は受けないと推測されるのです。

 ピコ太郎氏が登場する国連の活動分野が、貧困・飢餓撲滅を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」であることを思い起こしますと、この起用には大いに疑問があります。ピコ太郎氏の世界的ヒットのきっかけとなったのは、世界的なポップ歌手のジャスティン・ビーバー氏が気に入ったことによりますが、いわば、先進国の“セレブ”の世界でのお遊びとも言えます。一方、貧困や飢餓に苦しむ人々とは無縁の世界であり、その日の食事にも事欠く最貧国では、国民の多くは、スマホやPCでさえ手の届かぬところにあります。国連の目的が貧困や飢餓の撲滅や教育の推進であったとしても、その宣伝の動画が、先進国でヒットしたおふざけ動画では、最貧国に対する配慮を欠いているとしか言いようがないのです。

 ピコ太郎氏の起用には、知名度が高く、自分達が楽しければそれで良し、とする傲慢な先進国の驕りが感じられ、偽善のにおいさえ漂います。日本国政府が世界の貧困・飢餓問題に誠実に取り組んでいる姿勢を世界にアピールしたいならば、支援対象国に対するおもいやりや真面目さが伝わる表現方法を選択すべきではなかったかと思うのです。

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コメント (4)
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