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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

“慰安婦”総領事発言-事実は撤回できない

2017年07月01日 15時54分40秒 | その他
米ジョージア州レポーターニューズペーパーズからのインタヴューに応じた際に、篠塚隆駐アトランタ総領事が“慰安婦は、強制的に連行されたのではなく、性奴隷ではない”と発言しことを受けて、韓国国内では、激しい反発が起きているそうです。この時ばかりは、慰安婦合意の精神に反するとして…。韓国外務省の報道官は、記者会見の場で“発言の撤廃と謝罪を求める”と息巻いていますが、日本国政府は、この要求に決して応じてはならないと思うのです。

その理由は、第1に、昨年末の日韓慰安婦合意は、歴史的な事実に関する説明には及ばないからです。合意当時、歴史事実が有耶無耶になり、慰安婦=性奴隷の既成事実化を招くとする日本国内の批判に対して、日本国政府は、歴史的事実が適用外である点を強調しております。総領事の発言は、歴史的事実に他なりません。

 第2に、仮に韓国政府の要請を受けて本発言を撤回したとしますと、日本国政府が、公式に慰安婦を性奴隷と認めたと受け取られかねません。今般の一件は、アメリカのメディアの取材過程において生じており、韓国国内やレポーターニューズペーパーズの読者に限らず、国際社会全般に慰安婦=性奴隷という“フェークニューズ”が定着することとなりましょう。

 第3に、文政権発足と時を同じくして、米国内での慰安婦像の設置活動が活発化してきているようです。その背景には、慰安婦問題で共闘する中国や北朝鮮の影も見え隠れしており、当該発言については、中国外交部も韓国に同調し、「第二次世界大戦中、日本が反人道的な罪を犯したことは動かしがたい事実だ」と述べて批判しています。先日発表されたアメリカの人身売買報告書では中国は最下位のランクに引き下げられておりますが、一時的には対北対策で緩和した米中関係も、再度、緊張を高める気配を見せており、本件も、この文脈において理解されます。乃ち、韓国の慰安婦問題の“蒸し返し”は中韓北連合の復活の兆しであり、そうであればこそ、米中韓の結束強化の側面から安易に韓国に妥協すると、逆効果となる可能性も否定はできません。

 何れにせよ、歴史的事実は撤回することはできません。日本国政府は、今度こそ、判断を誤ってはならないと思うのです。

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コメント (2)
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