「中国戦闘機が緊急発進」=空軍発表―防空圏で「日米機確認」と主張(時事通信) - goo ニュース
中国政府が東シナ海上空一帯に防空識別圏(ADIZ)を設定したことで、東アジアの緊張が一気に高まりましたが、昨日頃より、中国の強気の態度はやや軟化しています。中国側の弱気に呼応するかのように報道もトーンダウンし、防空識別圏問題も、航空機の事前通知や防空識別圏の重複問題に矮小化されていますが、中国の野心を考慮すれば、危機が去ったとは言えない状況にあります。
第1に、ADIZの設定については、確かに、国際法に明文の規定があるわけではありません。しかしながら、どの国も、常識的な判断から他国の領空やEEZ上空に張り出して設定することは、極力控えています(現在、10か国程が設定…)。中国もまた、東シナ海上空の日中中間線程度の範囲に留め、日本国側のADIZと重複しなければ、これ程には問題視されることはなかったことでしょう。尖閣諸島を含み、かつ、必要以上に沖縄付近までに張り出したゾーンの設定が、覇権主義的行為とみなされたのです(大陸棚延長の主張と連動か?)。仮に、一方的な設定が無制限に許容されるのであるならば、地球上の全空域を自国のADIZに設定することも許されてしまいます。
第2に、日本領である尖閣諸島の領空にまで中国がADIZを設定したことは、戦争の発火点となる可能性が格段に高まったことを意味します。仮に、中国の軍用機が尖閣諸島の領空に接近した場合、日本国の自衛隊機はスクラブルをかけますが、今回のADIZの設定によって、日本側の警告を無視する可能性があります。また、逆に、日本国の自衛隊機が尖閣諸島領空に接近した場合に、中国機がスクラブルをかけてくるかもしれません。そして、両国の軍用機が接近する状況で、警告を無視して中国の軍用機が尖閣諸島上空を飛行した場合、並びに、日本国の自衛隊機が尖閣諸島上空を飛行した場合の両ケースにおいて、双方のどちらかが相手機を撃墜する可能性があるのです。
第3に、中国政府の発表によれば、ADIZを飛行する航空機に対しては、「指令に従わない航空機には武力で防御的な緊急措置」をとるとしていることです。”スクラブルをかける”ならまだしも、この強圧的な表現では、尖閣諸島の領空のみならず、ADIZ一帯を”領空化”し、武力行使を示唆するものと受け取られます。中国国内では、対日開戦論が熱気を帯びていますが、国民の不満と習政権の弱体化を考慮しますと、中国が、今回の措置で、開戦のチャンスを意図的に造りだしているとする憶測もあながち否定はできません。否、何時でも攻撃準備はできていると、日米を脅したとも考えられます(昨日のネット情報によると、中国側は、ADIZの設定は、日本国をターゲットにしていると説明…)。
第4に、国連海洋法条約の第87条では、公海上については、上空飛行の自由を定めています。一般のADIZ設定国は、安全のために民間機の事前通告を求めるのみですので、中国軍による一方的な管轄権行使は、この条約に違反します。しかも、軍用機にまで事前通告を求めるとしますと、もはや、ADIZの役割を逸脱しています(本来は、民間機の航路等を事前に把握しておくことで、軍用機を識別するシステム…)。
以上の諸点を考えますと、中国の野望には今なお警戒が必要です。中国が、普通の国であるならば、ADIZに関する国際ルール造りの場を設けることで対処することができますが、法の支配を無視する中国が、こうした平和的な呼びかけに素直に応じるとは思えないのです。
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中国政府が東シナ海上空一帯に防空識別圏(ADIZ)を設定したことで、東アジアの緊張が一気に高まりましたが、昨日頃より、中国の強気の態度はやや軟化しています。中国側の弱気に呼応するかのように報道もトーンダウンし、防空識別圏問題も、航空機の事前通知や防空識別圏の重複問題に矮小化されていますが、中国の野心を考慮すれば、危機が去ったとは言えない状況にあります。
第1に、ADIZの設定については、確かに、国際法に明文の規定があるわけではありません。しかしながら、どの国も、常識的な判断から他国の領空やEEZ上空に張り出して設定することは、極力控えています(現在、10か国程が設定…)。中国もまた、東シナ海上空の日中中間線程度の範囲に留め、日本国側のADIZと重複しなければ、これ程には問題視されることはなかったことでしょう。尖閣諸島を含み、かつ、必要以上に沖縄付近までに張り出したゾーンの設定が、覇権主義的行為とみなされたのです(大陸棚延長の主張と連動か?)。仮に、一方的な設定が無制限に許容されるのであるならば、地球上の全空域を自国のADIZに設定することも許されてしまいます。
第2に、日本領である尖閣諸島の領空にまで中国がADIZを設定したことは、戦争の発火点となる可能性が格段に高まったことを意味します。仮に、中国の軍用機が尖閣諸島の領空に接近した場合、日本国の自衛隊機はスクラブルをかけますが、今回のADIZの設定によって、日本側の警告を無視する可能性があります。また、逆に、日本国の自衛隊機が尖閣諸島領空に接近した場合に、中国機がスクラブルをかけてくるかもしれません。そして、両国の軍用機が接近する状況で、警告を無視して中国の軍用機が尖閣諸島上空を飛行した場合、並びに、日本国の自衛隊機が尖閣諸島上空を飛行した場合の両ケースにおいて、双方のどちらかが相手機を撃墜する可能性があるのです。
第3に、中国政府の発表によれば、ADIZを飛行する航空機に対しては、「指令に従わない航空機には武力で防御的な緊急措置」をとるとしていることです。”スクラブルをかける”ならまだしも、この強圧的な表現では、尖閣諸島の領空のみならず、ADIZ一帯を”領空化”し、武力行使を示唆するものと受け取られます。中国国内では、対日開戦論が熱気を帯びていますが、国民の不満と習政権の弱体化を考慮しますと、中国が、今回の措置で、開戦のチャンスを意図的に造りだしているとする憶測もあながち否定はできません。否、何時でも攻撃準備はできていると、日米を脅したとも考えられます(昨日のネット情報によると、中国側は、ADIZの設定は、日本国をターゲットにしていると説明…)。
第4に、国連海洋法条約の第87条では、公海上については、上空飛行の自由を定めています。一般のADIZ設定国は、安全のために民間機の事前通告を求めるのみですので、中国軍による一方的な管轄権行使は、この条約に違反します。しかも、軍用機にまで事前通告を求めるとしますと、もはや、ADIZの役割を逸脱しています(本来は、民間機の航路等を事前に把握しておくことで、軍用機を識別するシステム…)。
以上の諸点を考えますと、中国の野望には今なお警戒が必要です。中国が、普通の国であるならば、ADIZに関する国際ルール造りの場を設けることで対処することができますが、法の支配を無視する中国が、こうした平和的な呼びかけに素直に応じるとは思えないのです。
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