万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

教員職の二重保障は妥当?

2009年01月28日 15時37分48秒 | 社会
元中学教諭「指導力不足」で免職は違法 岡山地裁(朝日新聞) - goo ニュース
 ある専門職を公募し、採用試験の結果に基づいて雇用したところが、その専門職を全うする能力が欠けていることが判明し、他者に対しても不利益を与える場合、雇用主は、採用された人を解雇することはできるのでしょうか。一般常識からしますと、解雇できると考えられそうです。しかしながら、岡山地裁の判決によりますと、教職の場合には、二重に職が守られているようなのです。

 二重の職、それは、教員と公務員という二つの職です。地裁の論理によりますと、教員としての「指導力不足」により離職させることは合法であっても、公務員としての解雇は違法となるそうです。もし、この論理が妥当であるならば、教員採用試験は、公務員試験をも兼ねることになります。しかしながら、実際には、教職と公務員とでは、必要となる専門知識も違いますし、採用枠も当然に別々です。この判決の内容が一般化しますと、教職は、公務員への別ルートともなりかねません。

 まずは、教員の採用に当たっては、大分県の汚職事件などを反省材料として、指導力不足の教師の出現を、事前に防止するように努めるべきと言えましょう。その一方で、岡山地裁のように、公務員としての配置転換を怠ったのは違法と断ずるのも行き過ぎの感があり、もし、教職を二重に保障するならば、教職員採用試験に公務員試験の内容を加えるか、あるいは、不適格と判定した時点で、再度、公務員試験の受験を義務付けるといった工夫が必要なのではないか、と思うのです。

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コメント (6)
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