万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

人口減少時代に相応しい国家像

2009年01月02日 14時37分20秒 | 日本政治
人口減社会に本格突入 最大の5万1000人減少 20年推計(産経新聞) - goo ニュース
 政府は、人口規模の維持こそが、至上命題と思いこんでいるようです。しかしながら、人口減少時代には、それに相応しい国家のあり方があるように思うのです。

 人口規模こそが国力の源泉とする”規模は力なり”の発想に基づけば、政府の政策は、出生率の向上を目的とした出産・育児支援政策か、あるいは、移民受け入れ政策となります。特に後者の政策は、社会内部の変質を伴いますので、激しい副作用を覚悟しなくてはなりません。また、前者の政策にしましても、無責任な親の増加を助長するというマイナス面がないわけではありません。一方、国のあり方に関する評価基準を、量ではなく質に転換しますと、別の国家像が現われてきます。それは、人口規模は小さくとも、国民の生活レベルが高く、治安もよく、信頼社会が保たれ、学術・文芸が盛んであり、良き伝統が息づき、国民の多くがスポーツを楽しみ、健康を維持している国家です。いわば、”知は力なり”の国家像です。

 幸いにして、ロボット技術の発展は、労働集約型の産業における労働力不足を解消するでしょうし、先端化したコンピューター技術は、事務作業をもさらに合理化するかもしれません。技術は、人口減少を乗り越える可能性を秘めています。いたずらに規模を追求して混乱を招くよりも、人口の自然減少を受け入れ、質の向上を目指す方が、国民にとりましては、幸福な国家のあり方のように思うのです。

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コメント (6)
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