万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米機不時着―人格が人命を救う

2009年01月17日 15時48分54秒 | アメリカ
米機不時着 「プロの仕事」英雄機長に喝采(産経新聞) - goo ニュース
 機長の的確な判断と巧みな操縦により、乗客乗員の命を救った米機不時着のニュースは、危機に直面した時にこそ真価を問われる人格というものについて、考えさせられる機会となりました。奇跡とも言える偉業は、サレンバーガー機長、ならびに、救助にあたった方々の人格によるところが大きかったと思うからです。

 第一に、サレンバーガー機長は、両翼のエンジン脱落という絶望的な状況下にありながら、パニックに陥ることなく、被害を最小限に留めるべく、最善の判断を行いました。もし、機長に判断力が欠け、鍛え上げられた不動心が備わっていなければ、あるいは、ニューヨーク市民を巻き込んだ大惨事となっていたかもしれません。

 第二に、不時着した後も、機長は、乗客を助けることを最優先し、責任者としての任務を全うしました。もし、機長に責任感が欠け、乗客よりも自己を優先するような人物であったならば、これほどまでスムースに乗客の機外への脱出ができたかわかりません。

 第三に、自分の仕事を放り出しても、乗客の救出に駆け付けた船舶会社の船員のかたがたがおりました。もし、危険に晒されている人々を、率先して助けようとする正義感にあふれた人々が存在していなかったらならば、全員の生存は難しかったことでしょう。

 教育の現場にあっては、道徳はとかくに煙たがられているようですが、目に見えないようで、高い道徳心や崇高な人格こそが、人々の命を救っているのかもしれません。うわべだけの平和教育などより、この事件のお話を読み聞かせる方が、よほど、人々の心に人としてのあり方を教えるのではないか、と思うのです。

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コメント (8)
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