万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

平沼新党は保守層の受け皿

2009年01月19日 15時38分35秒 | 日本政治
平沼元経産相、総選挙後に新政党結成めざす(朝日新聞) - goo ニュース
 小選挙区制が導入された時、日本国は、近い将来に、二大政党制に向かうものと予測されていました。しかしながら、二大政党制に至る以前に、既にこの制度の欠点が表面化してしまい、路線の見直しを迫れているように思うのです。

 国民の多様な意見を表出しない、というよく知られた欠点の他に、この制度には、両政党の対立軸が明確でない場合、国民の選択肢がなくなる、という問題点があります。例えば、現在、自民党と民主党との政策を比べてみますと、両者ともリベラルに傾いてしまい(自民党は、公明党の連立により、急速に左傾化・・・)、保守層を代表する政党がなくなってしまいました。どちらを取りましても、政治においては融和派であり、経済においても大きな政府を志向しています(明確な対立軸を構成するためには、現実主義vs.理想主義と小さな政府vs.大きな政府の組み合わせとならなくてはならない・・・)。二大政党の間で、すっぽりと保守層の支持を受け止める政党が抜け落ちてしまっているのです。そもそも、政治、経済、社会といった各分野におけるすべての選択肢を、たった二つの政党で代表しようとするところに、無理があるのかもしれません。

 この文脈において、平沼元経産相の新党構想は、行き場を失った保守層や無党派層を吸収し、代表しようとする試みと言えましょう。国民に参政権という選択権がありましても、現実には選択肢がないとなりますと、民主主義は健全に機能しないと思うのです。 

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コメント (20)
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