万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アメリカ政府はFRBを手放すのか?

2009年01月25日 14時12分10秒 | 国際経済
【コラム】 北米共通通貨「アメロ」誕生?ウワサの真相を読み解けば…(R25) - goo ニュース
 もし、北米共通通貨「アメロ」の構想が実現に向けて動き出すとするならば、そのネックとなるのは、アメリカ政府が、FRBを手放すことができるか、という問題のように思うのです。

 かつて欧州では、共通の中央銀行であるECBを設立するに先立って、各国中央銀行の独立性の強化が図られたものです。何故ならば、加盟国のレベルで政府と中央銀行が結びついていると、ECBの政策決定に、特定の加盟国の影響が強まってしまうからです。つまり、特定の加盟国の経済事情に合わせてECBが金融政策を決定されるとなりますと、他の加盟国に不利益が及ぶ可能性があったのです。そこで、ESCBと呼ばれるECBを本店とした中央銀行のシステムでは、支店となり、政策決定にも参加する加盟各国の中央銀行に対しても、政府からの独立性が強く求められたのです。

 「アメロ」構想においても、おそらく共通の中央銀行が設立されることになりますので、もし、ESCB方式を踏襲するとしますと、アメリカ政府は、FRBの独立性を強化せざるを得なくなります。欧州の中央銀行と比較して、現在のFRBの独立性は低いとする指摘もあり、アメリカ政府は、FRBの喪失という大きな決断を迫られることが予測されるのです。ESCB方式ではなく、FRBにカナダとメキシコの中央銀行を接続させるという方法もありますが、両国が、簡単にこの案に同意するとも思えません。「アメロ」構想の行方は、アメリカ政府とFRBの行方でもあるのです。

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コメント (2)
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