万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

派遣という労働形態の限界?

2009年01月07日 16時02分09秒 | 日本政治
製造業への派遣の見直し「性急すぎる」 財界トップ(朝日新聞) - goo ニュース
 かつて、派遣が登場したとき、産業界にも働く側にもメリットがあることが強調されたものです。産業界にとっては、景気や経営状況に合わせて雇用調整ができること、働く側にとっては、職場を自由に選べ移動できることです。しかしながら、昨今の不況下における雇用状況を見てみますと、この制度には、限界があるように思えるのです。

 確かに、個々の企業にとりましては、生産調整を迫られる局面で、容易に雇用調整ができるという側面はあります(ただし、それでも批難を浴びて、社会問題化しましたが・・・)。しかしながら、産業全体で見ますと、派遣会社に雇用調整力がないために、大量の失業者を出すことになりました。一方、働く側にあっても、派遣会社から代わりとなる職場の斡旋がないとなりますと、職場選択の自由どころか、即、失業ということになります。これでは、派遣のメリットは裏目に出ているとしか言えません。

 現状を鑑みますと、仲介する派遣会社に雇用調整能力を期待することには無理があり、別の仕組みを考案する必要があるようです。例えば、ハロー・ワークをより大規模な雇用機会提供サービスに発展させることも考えられます。現状では、ハロー・ワークで扱う対象は限られているようですが、官民の短期雇用や季節労働も含め、全国規模で運営されるシステムに改変することができれば、企業と働く側の双方にメリットをもたらし、多様な雇用形態の要請とも一致するかもしれません。社会インフラの一つとして、就職システムを整備することも、雇用政策の一つのようい思うのです。

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コメント (4)
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