蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

恒春園  芦花公園

2008-02-12 22:14:30 | 古民家、庭園
徳富蘆花は、明治39年世界を周遊する旅から帰ると、田舎暮らしに憧れ、現在の世田谷区粕谷に土地を求め古民家を移築した。その後書院や客間を建てまして、今の姿となる。


寒さが少しだけ和らいだ感の日で、公園の入口の梅が、咲きだした。


母屋も書院も、今では鬱蒼とした木々に囲まれているが、昔の写真を見ると、かなり遠くからでも棟々が見渡せたようだ。


梅花書屋。おそらく「みみずのたはごと」序文に見える明治42年に建てたはなれの書院だろう。


秋水書院。大逆事件にちなんだ命名だ。芦花は、キリスト教の影響を生涯捨てなかったが、同時に社会運動にも深い理解を示したようだ。この書院の命名は有名な逸話がからむが、この落ち着いた佇まいは、まるでそれらの事柄と無縁のように感じさせる。




梅花書屋の内部。ほとんどオリジナルと思われるゆがみの大きいガラスがそのままである。


縁側は意外なほどに狭い。質素のようだが、あのガラスを嵌めた障子の造りの繊細な事。なにか釣合わない感じもする。
今日に於いては、徳富蘆花は有名ではあるが文学的興味から読まれる作家では無いのだろう。私自身、昔の描写に惹かれるものはあるが、特に傾倒するという作家ではない。
しかし、恒春園には充分な魅力があると思う。




梅花書屋と廊下に挟まれた、井戸の脇に梅の古木があった。おそらく、書屋の命名もこの木から来ているのだろう。実に微かにではあったが、その木にも華の気配があった。