ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

姉のこと

2005-04-04 | いろんな人
姉と私は、四つ違い。
小さい頃は、姉にかなうものは、
何もなかった。


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これは 色の違いがくっきりとしたビオラ。
他の花との色の組み合わせが
思ったより難しいが、
おサルの顔みたいで かわいい。

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姉はとっても怖がりだった。
お墓が怖い。
暗がりが怖い。
火の見やぐらの半鐘(!)の音が怖い。
パトカーのサイレン(ウ~~ウ~~だった)が怖い。

ひとつには 子供を操る手段として、
脅してしつける大人がいたこと
(家族とは限らない)。

もうひとつには 梅図かずお大先生の、
「へび女」や「くも少女」などの
こわ~~~い漫画が大好きだったこと。

それにしても、お寺の娘がお墓が怖いと、不便。

姉はいつも遠回りをして家に帰っていた。
お墓が見える道は怖いから。



4歳違うと、ケンカにならない(ハズ)。
プロレスごっこをしても、
(力道山とか、ジャイアント馬場とか?)
妹が負けたり痛みを感じたりして、
泣き声が終了のゴング代わり。

叱られるのは、いつも、おねーちゃん。

妹(私)が 小さい頃 身体が弱かったから、
母親は 妹にべったり。
「私は橋の下から 拾われてきたんだ。」
とかなり悩んでいたという。

そして、かなり意識的に 妹をいじめた、
と大学生になってから告白された。



それまで 顔を合わせればケンカしていたのが、
姉が大学に入り、都内のアパートに引っ越してから
急に仲良くなった。

姉の恋人(現・夫)と三人で 
館林につつじを見に行ったのは
私がまだ高校生の時だったと思う。



姉妹がいてよかった、と本当に思うようになったのは、
大人になってから。

なかなか会えないけれど。



姉は父親似、私は母親似。
姉は私より10センチ背が低く、
私と違って丸顔で、
私と違って目が大きく、
私と違って二重もはっきりしている。
私と違って、小柄で可愛い。

昔から、私の姉と会った人は 口を揃えて
「お姉さんて、美人ね!
 全然、似てないのね!!」
と言ったものだ。



姉は私と違って 小さい頃から ハキハキした子で、
積極性、二重丸。

私と違って 男勝りで、
男の子とケンカして泣かせた事も
一度や二度ではない。

私が中学に入った時、
もうそこには在籍しない姉の亡霊がまだあって、
「あの○○の妹か。」
とよく言われた。
 
先生にも、先輩にも。



気の強い母には、
姉のように 打てば響くようなタイプが
良かったらしい。
「オメエはぼんやりしでで、
 薄らばがって言うんだが、
 薄らトンカチって言うんだが、
 なに言ってもひびがねえ。
 おねえちゃんと、違ってなぁ。」
みたいなことをよく言われた。

姉は姉で、
過剰な期待をかけてくる親に応えるべく、
日々擦り切れそうになりながら
頑張っていたらしいのだが。



国立の大学に 入れなかった。
滑り止めの大学にしか合格しなかった。

入りたくなかった大学に入り、
教員免許は取らなかった。

大学でで‘イイヒト’を見つけて
一緒になった。

姉に言わせると、これらは全部
親に対する反乱だったそうだ。



折れた両親は 親戚の住職の紹介で
大きなお寺で結婚式を挙げさせた。

新築したばかりの広間で、
可愛い姉と
当時まだ細かった義兄は
それなりに美しいカップルだった。



義兄はサラリーマンだった。
姉は専業主婦だった。

姪が生まれ、二人目を身ごもった時、
義兄は お坊さんになって
実家の寺を継ぐ決心をした。

私がなかなか結婚しなかったせいもあり、
長女の姉は 責任を感じていたろうと思う。



実家で気の強いオンナ同士、
しょっちゅう母とぶつかりながら、
それなりに苦労をして 生きてきた。

子供は 実家に帰ってから 男の子がふたり生まれた。

父が倒れたのは そのあとだった。

父の仕事を 母と義兄と姉で分担して 
寺と寺の収入とを守った。

だんだん姉は 血圧が高くなった。
父も母も高い。(私は低かったが。)

ストレスは 他人が見てストレスかどうかは
関係がない。
本人がストレスに思うかどうかだ。

姉はストレスに晒された半生をずっと生きてきた。



私が癌とわかる前に、
姉はパーキンソン病に侵されているとわかった。

「温泉にでも、行きたいわね~。」
が、姉の口癖。

2004年7月、
「行きたいわねぇ。」
「行きたいねぇ。」

そんな電話の愚痴・たわごとが、実現した。
姉と二人の熟女の旅。
初めてだった。