ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

慰撫と逆なで

2020-10-17 | なんでもないこと
人は 一度 傷つくと
傷に敏感になる。

傷つきそうになると
 
少しだけ傷つくと

敏感に察知する。


察知したからといって
上手に避けられるかというと
そうでもなくて

逆に動けなくなって
じっと傷つけられたままになっていたりもする。



人は 決して 喜んで傷ついているわけではない。

よろこんで じっとしているわけでもない。

けれど 動けなくなる、という事は 
実際にあるのだ。



腕に 予防接種の注射針が入り込んでいくのを
じっと見つめるタイプの子供のように

あるいは 

痛みを感じる事で 生きている事を実感できる
老人や病人のように

じっと 痛みを受け入れる。

そんな事もなるのだ。




痛みは 決して 身体に良いものではないと思う。

痛みや 痛みのように感じる冷たさは
後々まで 影響を残したりするから、

まずは その影響 ―― 痛みという刺激によって
収縮した筋肉や 収縮した心を
温めて 柔らかくほぐしてあげなくてはいけない。

縮こまったままでは
縮こまった筋肉や心が
また痛みを呼び起こすので。





東日本大震災の後
私の読書の傾向は
少し変わった。

「日本」を鼓舞するもの、応援するもの、尊ぶもの、
褒めるものを求めるようになった。

まるで自分の心を愛撫するように。

あるいは それが有効な自慰であるかのように。



そう、それは
とても気持ちの良いもので、
癖になる。

癖になって しばらく続く。

しばらく続いて、ようやくこの頃 少し落ち着いてきた。



けれど 逆なでするような刺激には
まだ過敏で、
好き嫌いが震災以前よりも激しい。



日本人をもっと褒めてよ。

バカにしないでよ。

乳がんだからって、何がいけないのよ。

傷ついた場所に まだ傷はあるのよ。



どうやら 私のアタマは 
変な場所を 今夜もグルグルしているらしい。



吐き出す場所を持っていて良かった。



ありがとう。