ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

松竹大歌舞伎「義経千本桜・すし屋」「釣女」 @岐阜県羽島市・不二羽島文化センター

2017年11月26日 | 歌舞伎・文楽

松竹大歌舞伎「義経千本桜・すし屋」「釣女」(11月24日・不二羽島文化センター)

 前日の「中村獅童による歌舞伎の見方」に続いて、こちらは歌舞伎巡業公演。毎年この岐阜県羽島市の会場に出かけているが、いつも困るのが駐車場。もちろんいくつか用意してあるのだが、毎回満車になってしまい、代替場所を尋ねると「もうありません」と言われてしまうことも。この日はそれを予測して少し早く着くようにしたので良かったが、周りの席の人達が「路上駐車した」という声が聞こえてきた。ここは催し物に積極的な素晴らしい会場だが、駅から遠くて乗用車で来る客が多いはずなので何とかしてもらわないとなァ。

今回も例年の如くチケット購入に出遅れて(←いい加減学習しろ)2階席。遠いがど真ん中でなかなか視界は良く、どのみち花道は用意されていないので見やすかった。ただいつもバッグに入れている単眼鏡を忘れてしまったので、ちょっと役者の表情の細かい所までは見ることが出来ないのが残念。

「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」の「すし屋」の段は以前、歌舞伎座で観たことがある。その時の配役は菊五郎。菊五郎の権太は品の良さが滲み出てしまっていたが、今回の獅童はまさにぴったりのちょっと荒くれた雰囲気(獅童が品が無いという訳ではありません・笑)。この日は舞台袖ではなく客席後方から登場。つかみで観客を沸かせた。昨日自分の目と鼻の先に居た人物が、今日は1000人を相手に芝居だ。最期の場面の悲しみはあまり伝わってこなかったが、長い台詞回しは素晴らしかった。娘お里の役は米吉。米吉を観るのは2度目かな。口跡もはっきりとしているし、娘役の若い美しさ、可愛らしさが出ていて良かった。贔屓にしている亀蔵は悪役を演っている時のようなアクの強さは無いものの、やはりこの人が出ていると舞台が締まる。

「釣女(つりおんな)」は松羽目物。松羽目物(まつばめもの)とは能や狂言をルーツとする演目で、それらと同様に松の絵が背景の舞台で、衣装も同様のもので演じられる。先日観た「棒しばり」のように滑稽なものもあり理屈抜きで楽しめる。「釣女」も楽しい演目。ボケ役の太郎冠者が亀鶴。萬太郎は先程の「すし屋」に続いて高貴な役(歌舞伎では高貴な男性は白塗りの化粧で表わされる)。お楽しみの醜女(しこめ=ブス)役は稀代のキャラクター亀蔵。うん、さすが、ブスだなァ(笑)。今は歌舞伎人気が高いので大丈夫だが、今後の歌舞伎の裾野を拡げる為に、こういう”志村”的な分かり易く楽しい演目、どんどん小中学生に見せるべきだと思うんだけどなァ。

 

一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
すし屋

いがみの権太              中村 獅童
梶原平三景時              中村 亀鶴
弥助実は三位中将維盛  中村 萬太郎
娘お里                      中村 米吉
弥左衛門女房おくら     中村 梅花
若葉の内侍                 澤村 宗之助
鮓屋弥左衛門              片岡 亀蔵


二、釣女(つりおんな)


太郎冠者        中村 亀鶴
大名某           中村 萬太郎
上臈             中村 米吉
醜女             片岡 亀蔵

コメント
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