マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

終着駅 トルストイ最後の旅

2010-09-28 10:18:14 | 映画ー劇場鑑賞

ー終着駅 トルストイ最後の旅ーTHE LAST STATION

2009年 ドイツ/ロシア 

マイケル・ホフマン監督 ヘレン・ミレン(ソフィヤ・トルストイ)クリストファー・プラマー(レフ・トルストイ)ジェームズ・マカヴォイ(ワレンチン)ポール・ジアマッティ(チェルトコフ)アンヌ=マリー・ダフ(サーシャ・トルストイ)ケリー・コンドン(マーシャ)ジョン・セッションズ(ダシャン)パトリック・ケネディ(セルゲンコ)

 

【解説】

Dr.パルナサスの鏡』のクリストファー・プラマーと、『クィーン』のヘレン・ミレン共演の希有(けう)な愛の物語。ロシアの文豪トルストイとその妻の晩年をさまざまな角度からとらえる。この物語のキーマンとなる理想に燃えたトルストイの若き助手を、『ウォンテッド』のジェームズ・マカヴォイが好演。大作家の一番弟子と、一般的には悪妻として知られるトルストイの妻の確執と共に描かれる、年老いた夫婦の長年にわたる強いきずなに心動かされる。

 

【あらすじ】

ロシアの偉大な作家、トルストイ(クリストファー・プラマー)の妻(ヘレン・ミレン)は50年近く夫を献身的に支え続けてきた。その人生も終盤に近づいたころ、夫は弟子(ポール・ジアマッティ)と新宗教を興し、爵位も財産も捨てようとする。そんな折り、トルストイ信奉者の青年(ジェームズ・マカヴォイ)が助手として屋敷にやって来る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、文豪トルストイの晩年を描いています。

トルストイは1910年に82歳で旅先の駅アスターポヴォの駅長官舎で永眠しました。

 

なぜ、トルストイは伯爵で、しかも高齢なのに旅先で死ななければならなかったのかー世の中では「夫人との長年の不和に悩んで」と言われているようです。

では、トルストイの妻、ソフィアとはどんな人だったのでしょう。

人の家庭を除くような、女性週刊誌的な興味もわいてきます。

 

トルストイの妻は世界三大悪妻の一人と言われています。

ソクラテスの妻のクサンチッペ、モーツァルトの妻のコンスタンツェ、そして、トルストイの妻ソフィアだそうです。

 

この作品を見て驚いたのは、トルストイの屋敷の前にはたくさんのカメラマンやジャーナリストが取り囲んで、今で言うパパラッチ状態だったことです。

トルストイの私生活に大衆が興味を示していたことがよくわかりました。

すごい有名人だったのですね。

 

物語は、トルストイの一番若い弟子・ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)の目から語られます。

トルストイの一番弟子・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)に採用されたワレンチンはトルストイが営む理想郷に部屋をもらい、馬車で2時間かけてトルストイ邸に通い始めました。

 

チェルトコフとトルストイ

 

チェルトコフとトルストイはトルストイ主義という非暴力や私有財産を持たないなどの理想を掲げて活動していましたが、トルストイの妻・ソフィア(ヘレン・ミレン)は伯爵夫人という立場もあり、トルストイが著作権の権利を国家に移譲すべきというチェルトコフの主張に反対していました。

 

☆ネタバレ

映画は、理想と妻への愛情の間で揺れるトルストイの姿を追いかけています。

ワレンチンは最初、トルストイの理想に心酔して、理想を実践しようとしますが、トルストイの「人生は愛」という基本の心情に触れ、また愛する女性も得て、どんどん人間的に成長していきます。

 

ソフィアの信頼を得るワレンチン

 

ソフィアの信頼も得て、最終的にはソフィアとトルストイをつなぐ重要な人物となっていくのです。

 

ソフィアとトルストイは愛し合っているのは間違いのない夫婦だと思いました。

しかし、トルストイは自分の言い出した理想主義から抜け出せないでいます。

自分の作品は自分のものなんだから、思う通りにさせて欲しいという気持ちだったのでしょう。

 

でもソフィアにも、夫の作品に対する愛情はありました。

劇中で「『戦争と平和』は6回も清書した」と言っていましたし、登場人物の言動についても意見したとワレンチンに語っていました。

ソフィアにとって作品は、自分たちの夫婦愛の歴史だと言いたかったのかもしれません。

それを子供たちに残したいのだと。

 

でも喧嘩になると、感情的になり、ヒステリックに怒鳴ったり暴れたりするソフィアは不利でした。

トルストイの秘蔵っ子である娘のサーシャも父に味方して、ソフィアからトルストイを遠ざけてしまいます。

 

その旅路の果てでのトルストイの死去となってしまったのでした。

 

愛し合っていても、こういう悲劇で終わってしまったトルストイ夫婦。

これも男のタテマエと女のホンネのすれ違いの物語でした。

 

熟年夫婦に見ていただきたい、興味深い映画でした。

おおかたの妻なら、ソフィアに味方するのではないでしょうか?

トルストイに対しては、自分の愛情を惜しみなく注ぐかわいい妻です。

ヘレン・ミレンがいじらしいくらいの心情を表現していました。



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2 コメント

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そこまで・・・ (NAKAちゃん)
2010-11-21 08:38:47
私は ソフィアがあそこまで著作権にこだわらなくても良いのに・・と思ってしまいました。
それにしても 愛し合っているのが分かっているのに 寂しい夫婦ですよね?!
2人と マカヴォイさんの熱演が良かったです!!
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NAKAちゃんへ (マダムよう)
2010-11-21 11:02:36
この映画も、なかなか力作で面白かったですね。

私たちもいつしか老境に入っていって、そのうちに終着駅にたどりつくりでしょうね。

昨日も、友達夫婦と飲んで、自分たちのお葬式について話し合っていました。
そんなことも話題に上る年齢だなあ、としみじみ思いました。
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