マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ナチュラル・ウーマン

2018-03-16 21:54:17 | 映画ー劇場鑑賞

ーナチュラルウーマンーUNA MUJER FANTASTICA/A FANTASTIC WOMAN

2017年 チリ,ドイツ,スペイン,アメリカ 104分

 

監督=セバスチャン・レリオ キャスト=ダニエラ・ベガ (マリーナ) フランシスコ・レジェス (オルランド) ルイス・ニェッコ (ガボ)

 

【解説】

『グロリアの青春』などのセバスティアン・レリオが監督と脚本を担当した人間ドラマ。最愛の恋人をなくし、いわれのない偏見や差別にさらされながらも誇り高く生きるトランスジェンダーの主人公を映す。主演を務めるのは、自身もトランスジェンダーのシンガーであるダニエラ・ベガ。フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコらが共演している。

 

【あらすじ】

ナイトクラブで歌っているトランスジェンダーのシンガー、マリーナ(ダニエラ・ベガ)は、チリの首都サンティアゴで年齢差のある恋人オルランドと同居していた。マリーナの誕生日を祝った晩、家に戻ると急にオルランドの意識が遠のき、そのまま他界する。彼が亡くなったことでマリーナは予想外のトラブルに見舞われ……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

先日、エル・ファニング主演の「アバウトレイ」を見たばかり。

これは、未成年の女の子が、男性の心を持っていて、男性らしくなるためのホルモン治療をするためには保護者の同意がいるという問題で、レイの周辺の大人たちの反応を描いた作品でした。

 

この作品は、すでに女性の体となったマリーナ(ダニエラ・ベガ)が主人公です。

 

マリーナを演じたダニエラ・ベガ自身もトランスジェンダーの歌手で、この作品の舞台はチリのサンティアゴです。

今年度のアカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。

 

ナイトクラブの歌手マリーナは今日が誕生日。

恋人のオルランド(フランシスコ・レジェス )は、マリーナのためにレストランでサプライズを企画し、イグアスの滝への旅行に招待したが、そのチケットを紛失していた。

その夜、自分たちの部屋で愛し合った後、オルランドの具合が悪くなった。

マリーナはオルランドを病院に運ぼうとするが、慌てていて鍵を部屋に置き忘れてしまった。

マリーナが取りに戻っている間に、オルランドはフラフラと階段から転落してしまう。

 

自家用車で病院に運び込むが、マリーナは病室から出され、オルランドは亡くなってしまう。

医者は傷だらけで頭部ににも出血のあることでマリーナに疑いの目を向ける。

事情を知るオルランドの弟のガボ(ルイス・ニェッコ )が病院に到着し、マリーナはともかく解放される。

 

次の日、職場に行くと警察の性犯罪担当の捜査官が来る。

マリーナに話を聞きたいから、仕事が終わったら電話しろという。

オルランドの元妻から電話がかかる。

オルランドの車を引き取りたいというので、車をもって行く。

元妻は、マリーナのせいで離婚になったと思っている。

娘もいるので葬式には出るなと念を押す。

 

家に帰ると、オルランドの息子がいる。

いつアパートを明け渡すかと迫られ、愛犬も返せという。

 

疲れ果て、警察に電話を忘れると、警察に出頭命令が出て、身体を調べられた。

きわめつけは、息子とその仲間による暴力。

拉致され、テープで顔をぐるぐる巻きにされ、車から放り出された。

 

愛する人が突然亡くなったというのに、悲しむいとまもなく、怒涛のように押し寄せてくる災い。

チラシにも掲載されている、斜め45度に体を倒して向かい風に立ち向かうマリーナの姿。

トランスジェンダーの人が立ち向かわないといけない、世間の風当たりというものをストレートに表現していました。

 

☆ネタバレ

オルランドが残した鍵、それはオルランドが通っていたサウナのロッカーの鍵でした。

マリーナは女の姿のまま、男専用ゾーンに入って行ってロッカーを開けますが、そこには何もありませんでした。

それで何かを悟ったのでしょう。

自分らしく生きること。

犬も取り返し、スタージに立って、オペラのアリアを歌い上げるマリーナの姿がありました。

 

私は、ロッカーの中にはイグアスの滝行きのチケットがあると期待していました。

結局、チケットはなかったんだなあ。

それから、息子から犬はどうやって取り戻したんだろうとも思いました。

 

そういう疑問は残ったけど、マリーナは愛する人の死というどん底で、いろんな人から足蹴にされながらも、自分を見失わず、前を向いて歩き出せたのは本当に良かったと思いました。

やはりオルランドが幻影となって、マリーナを導いてくれたから。

愛を本当の意味で感じられたからだと思いました。

マリーナが元妻に車を届けに行くときにかかる「ナチュラルウーマン」キャロル・キングじゃなく、アレサ・フランクリンが歌っているそうです。

マリーナの心情にぴったりでした。

トランスジェンダーといえば、自分に関係ない感じだけど、障害や病気や劣等感を持ちながら生きている人は、私も含めてたくさんいると思うと、この作品は、ユーモアもあって、とても勇気をもらえる作品でした。



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