マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

僕を葬る(おくる)

2007-06-08 16:03:06 | 映画ーDVD
ーぼくを葬る(おくる) ー
2005年 フランス フランソワ・オゾン監督 メルヴィル・プポー 、ジャンヌ・モロー 、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ 、ダニエル・デュヴァル 、マリー・リヴィエール 、クリスチャン・センゲワルト 、ルイーズ=アン・ヒッポー 、アンリ・ドゥ・ロルム 、ウォルター・パガノ 、ウゴ・スーザン・トラベルシ

【解説】
余命3か月と宣告された31歳のフォトグラファーが、死に直面したことにより自分自身を見つめ直す姿をつづったヒューマンドラマ。監督は『8人の女たち』の名匠フランソワ・オゾン。『まぼろし』に続き“死”を題材に取り上げたオゾン監督の分身とも言うべき主人公を、『夏物語』の実力派俳優メルヴィル・プポーが演じる。穏やかで静かな語り口と、主人公の心の葛藤を細やかに表現したプポーが印象的。

【あらすじ】
パリで活躍しているファッション・フォトグラファーのロマン(メルヴィル・プポー)は、ガンで余命3か月だと宣告される。化学療法を拒み、家族や恋人にも病気のことを話さず、たった1人で死を受け入れることを決意する。そんなとき、夫に問題があって子どもができない女性ジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)と知り合うが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
死を宣告された主人公が、どうやって自分の運命を受け入れるかー永遠の命題にフランソワ・オゾンが挑戦した作品です。

私はオゾン監督の意地悪で屈折した視線にいつも戸惑ってきましたが、この作品はずいぶん素直だなあ、と思いました。

31歳の新進気鋭、ただいま売り出し中のカメラマンロマン(メルヴィル・プポー)に、振って湧いた災難、癌の宣告。
医者は化学療法を勧めるが、成功率が5%以下では…。
しかも、その5%に残れたとしても、残りの人生は癌の再発の恐怖と化学療法の後遺症に悩まされることも目に見えていますものね。
私は、ロマンの選択もありかな、と思いました。

それから、彼の取った行動とは…
彼の美学なのでしょう、家族や恋人と距離を置いて、たったひとり、静かに死を待っていました。

ただ一人、世の中に逆らうように生きて来た祖母(ジャンヌ・モロー)には心を打ち明けます。

祖母を訪ねる途中で出会った女性(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)から、奇妙な申し出を受けるロマン。
悩んだあげく、その申し出を受け入れることにしました。
明らかに彼の心に変化が起きています。

一人で産まれて、一人で生きて、一人で死んでいくと心に決めても、最大に人を悩ませるのは孤独というものなのですね。
孤独とだけは、決して仲良くできません。

死と対峙して得たロマンの答えとはいったいなんだったのでしょうか。
彼の死に際には、ウソがななかったと思いました。
ひとつの理想の形でした。

主演のメルヴィル・プポーが、だんだんやつれていくロマンを好演していました。
彼の役者魂も見せてもらいました。

ディナーラッシュ

2007-06-08 15:59:59 | 映画ーDVD
ーディナーラッシュー
2001年 アメリカ ボブ・ジラルディ監督 ダニー・アイエロ 、エドアルド・バレリーニ 、カーク・アセヴェド 、ヴィヴィアン・ウー 、サマー・フェニックス 、マイク・マッグローン 、ジョン・コーベット 、マーク・マーゴリス 、サンドラ・バーンハード 、ポリー・ドレイパー 、ジェイミー・ハリス 、テッサ・ガイリン

【解説】
 冬のニューヨーク、トライベッカ。イタリアン・レストラン“ジジーノ”のオーナー、ルイは、長年のビジネスパートナー、エンリコがギャングに殺害されたことを知り気分が滅入っていた。もう一つルイを悩ませていたのは、彼の息子ウードの存在。イタリア帰りのこのチーフ・シェフは、ルイの反対を押し切り、伝統的な家庭料理で街の人々に愛されてきたこの店を、おしゃれな人々が集うトレンディ・レストランへと変えてしまったのだった。やがて日が沈み、今日もまた厨房もフロアも様々な思惑が錯綜する<ディナーラッシュ>の時間がやって来た。しかし、今日はいつもとどこか様子が違っていた……。

【感想】
こんなレストランに行ってみたい!!
ハンサムなスターシェフが、天才的ともいうべきお料理を、手際よく作ってくれる。
彼に任せておけば間違いない!

監督のボブ・ジラルディはCMや音楽ビデオの監督として有名な人らしい。
あの、マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」なんかを監督した人。
しかも、11軒もレストランを持っているんですって。

この映画も自分のレストランを使って撮影したそうです。

物語は、有名イタリアンレストラン「ジジーノ」のある一夜の物語。
今日のお薦めが読み上げられて、黒板に書かれていく。
さあ、開店、スタッフたちは戦闘状態についた。
今日も予約でいっぱい。
250人を突破しそうな勢い。
この店はスターシェフの評判のお陰で、毎晩大盛況です。

でも、この日はいつもの夜とは、少し違っていました。

スターシェフ・ウード(エドアルド・バレリーニ )はご機嫌斜めです。
いきなり、見習いコックをクビにしてしまいました。
父親であり、このレストランのオーナーのルイス(ダニー・アイエロ)と店の経営方針があわず、経営者を譲ってくれるように頼んでも、なかなか首を縦には振ってくれないのです。
ルイスは、死んだ奥さんと一緒にはじめた頃の家庭料理屋に戻すことを望んでいるのでした。

ルイスには、裏の顔もありました。
マフィアにつながるギャンブルの胴元も勤めていたのです。
ルイスがかわいがっている副シェフのダンカン(カーク・アセヴェド)はギャンブル狂。
この日もルイスに金を無心して断られたのに、違う胴元で賭けてしまいました。

ダンカンの借金取りに、マフィアの二人組が訪れて食事をはじめました。
太った方はなかなかのグルメのようです。

店は大混雑、嫌みな美術評論家や、食の評論家等、個性的な客に従業員たちは振り回されています。

そこへ、停電。
バーでは飲み物サービスが始まり、バーテンも大忙し。

ドキャメンタリータッチで、カメラは厨房、店内、ウード、ダンカン、ルイスを追っかけていきます。
おしゃれな会話、皮肉な会話、ヨダレが出そうな美味しそうな料理の数々。

ダンカンが少し心を入れ替えたかな、と示唆するシーンや、実は、ルイスはウードに店を譲る準備をしていたことが明かされ、二人は親子に戻って亡くなった母を忍ぶシーン等が織り込まれていきます。

そして、思いがけない結末。

音楽と料理が、じつに巧みなアンサンブルとなって、人生の機微が織り込むように描かれている秀作でした。

この監督でないと表現できない世界でした。

このDVDの特典には、レシピが付いていました。
きゃあ、美味しそうです。