ーそれでも生きる子供たちへー
2005年 イタリア/フランス ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES
監督=メディ・カレフ 、エミール・クストリッツァ 、スパイク・リー 、カティア・ルンド 、ジョーダン・スコット 、リドリー・スコット 、ステファノ・ヴィネルッソ 、ジョン・ウー
制作=マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソ
出演=ビラ・アダマ 、ハノウラ・カボレ 、ウロス・ミロヴァノヴィッチ 、ロージー・ペレス 、ハンナ・ホドソン 、アンドレ・ロヨ 、フランシスコ・アナウェイク・デ・フレルタス 、ベラ・フェルナンデス 、デヴィッド・シューリス 、ケリー・マクドナルド 、ジョナサン・ジョーダン・クラーク 、ジャック・トンプソン 、ジョシュア・ライト 、ダニエリ・ヴィコリト 、エマヌエーレ・ヴィコリト 、マリア・グラツィア・クチノッタ 、ザオ・ツークン 、チー・ルーイー 、ジャン・ウェンリー 、ユウ・ヨン
【解説】
7か国の子どもたちが直面する厳しい現実を、それぞれの国を代表する監督たちが赤裸々(せきらら)につづるオムニバス映画。少年兵士やストリートチルドレン、エイズやドラッグなど、実際に避けては通れない数々の問題を観る者に突き付ける。『インサイド・マン』のスパイク・リーや、『ライフ・イズ・ミラクル』のエミール・クストリッツァ監督などがその手腕を大いに発揮。それぞれが個性的で愛にあふれた素晴らしい作品を撮り上げた。
7人の監督とプロデューサーのマリア・グラツィア・クチノッタ
【感想】
マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソが、世界の子供たちの窮状を救うために、社会意識を高め、責任感を換気するような映画を作りたいと企画し、国連のユニセフ、WFP国連世界食料計画も協力して、この映画ができたそうです。
この映画の収益全部がWFP国連世界食料計画に寄付され、世界の子供たちを救うために活用されるということです。
原題は「見えない子供たち」です。
主旨は、子供たちを救うための映画ですが、7人の監督が描いた世界はまさに大人から「見えない子供たち」(原題=ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES)でした。
第1話「タンザ」監督 メディ・カレフ
ルワンダで強制的にゲリラ舞台に入隊させられたタンザの話。
第2話「ブルー・ジプシー」監督 エミール・クストリッツァ
セルビアモンテネグロの少年院で出所を間近に控えた15歳のウロス。しかし、父親は子供を使って盗みをさせる窃盗団の親方だった。将来は理髪店で働きたいという希望を持っていたウロスだったが…。
監督のエミール・クストリッツァはジョニー主演の「アリゾナドリーム」の監督です。
第3話「アメリカのイエスの子ら」監督 スパイク・リー
ブルックリンに住むブランカはごく普通のテイーンエージャー。
ある日友達から「エイズ・ベイビー」といじめられて帰ってくると、両親が言い争いをしていた。両親もHVI感染者で麻薬常習者、しかも自分もHVI患者であることを知る。
第4話「ビルーとジョアン」監督 カティア・ルンド
ブラジルのスラムで、ゴミの回収をして生計を立てているビルーとジョアンの兄妹。ゴミを拾って生活しているこどもたちがいることは、ニュースでも見たことがありますが、この作品はドキュメンタリータッチで、悲惨な感じではなく、なんでも遊びに変えてしまう、子供の生きるエネルギーを表現していました。最後に映し出された都市にスラムが飲み込まれそうなサンパウロの風景は、都市化によって、さらに彼らが生きる場所を奪われかねないという警鐘に見えました。
個人的には一番好きな作品です。
第5話「ジョナサン」監督 ジョーダン・スコット、リドリー・スコット
戦争写真家のジョナサン(デヴィッド・シューリス)は、戦争の悲惨にショックを受け、何もできない自分を責めていた。
森のなかへ彷徨い出て、自分も子供となって、戦争のなかで生きている子供を体験し、自分を取り戻す。
監督のジョーダンはリドリー・スコットの娘で、これが初の親子共同監督作品ということです。
他にケリー・マクドナルドが共演でした。
第6話「チロ」監督 ステファノ・ヴィネルッソ
ナポリのチロは少年の窃盗団の一員。白昼堂々、荒っぽい手口で高級車の男性からローレックスをかっぱらうが、犬に追いかけられて怖くてお漏らしをするなど、子供は子供。
その品物をお金と引き換えるために、ボスともちゃんと渡り合えるけど、本当の目的は閉園後の遊園地で遊ばせてもらうことでした。
第7話「桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ)」監督 ジョン・ウー
中国の裕福な家庭の桑桑(ソンソン)と、捨て子で貧しいおじいさんに拾われて育てられている子猫(シャオマオ)が、きれいなフランス人形でつながれた数奇な運命を描いています。
子猫(シャオマオ)の笑顔に会うだけで、この作品の価値はあります。
この映画を見終わって、それぞれの監督の真摯な作品作りはひしひしと伝わってきましたが、気持ちは落ち込むばかりです。
確かに、大人の視線から外れてしまっている子供たち。
でも、大人たちはそれ以上に疲れきっているように思います。
子供を兵士にするなんて、論外ですが、栄耀栄華を誇っているアメリカの子供でさえ、ブランカのように病を押し付けられているのです。
子供を守り慈しむ余裕が、どの社会にも希薄だなあと暗い気持ちになりました。
希望さえあれば、人は生きてゆけます。
やはり、政治の問題は大きいと思いました。
2005年 イタリア/フランス ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES
監督=メディ・カレフ 、エミール・クストリッツァ 、スパイク・リー 、カティア・ルンド 、ジョーダン・スコット 、リドリー・スコット 、ステファノ・ヴィネルッソ 、ジョン・ウー
制作=マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソ
出演=ビラ・アダマ 、ハノウラ・カボレ 、ウロス・ミロヴァノヴィッチ 、ロージー・ペレス 、ハンナ・ホドソン 、アンドレ・ロヨ 、フランシスコ・アナウェイク・デ・フレルタス 、ベラ・フェルナンデス 、デヴィッド・シューリス 、ケリー・マクドナルド 、ジョナサン・ジョーダン・クラーク 、ジャック・トンプソン 、ジョシュア・ライト 、ダニエリ・ヴィコリト 、エマヌエーレ・ヴィコリト 、マリア・グラツィア・クチノッタ 、ザオ・ツークン 、チー・ルーイー 、ジャン・ウェンリー 、ユウ・ヨン
【解説】
7か国の子どもたちが直面する厳しい現実を、それぞれの国を代表する監督たちが赤裸々(せきらら)につづるオムニバス映画。少年兵士やストリートチルドレン、エイズやドラッグなど、実際に避けては通れない数々の問題を観る者に突き付ける。『インサイド・マン』のスパイク・リーや、『ライフ・イズ・ミラクル』のエミール・クストリッツァ監督などがその手腕を大いに発揮。それぞれが個性的で愛にあふれた素晴らしい作品を撮り上げた。
7人の監督とプロデューサーのマリア・グラツィア・クチノッタ
【感想】
マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソが、世界の子供たちの窮状を救うために、社会意識を高め、責任感を換気するような映画を作りたいと企画し、国連のユニセフ、WFP国連世界食料計画も協力して、この映画ができたそうです。
この映画の収益全部がWFP国連世界食料計画に寄付され、世界の子供たちを救うために活用されるということです。
原題は「見えない子供たち」です。
主旨は、子供たちを救うための映画ですが、7人の監督が描いた世界はまさに大人から「見えない子供たち」(原題=ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES)でした。
第1話「タンザ」監督 メディ・カレフ
ルワンダで強制的にゲリラ舞台に入隊させられたタンザの話。
第2話「ブルー・ジプシー」監督 エミール・クストリッツァ
セルビアモンテネグロの少年院で出所を間近に控えた15歳のウロス。しかし、父親は子供を使って盗みをさせる窃盗団の親方だった。将来は理髪店で働きたいという希望を持っていたウロスだったが…。
監督のエミール・クストリッツァはジョニー主演の「アリゾナドリーム」の監督です。
第3話「アメリカのイエスの子ら」監督 スパイク・リー
ブルックリンに住むブランカはごく普通のテイーンエージャー。
ある日友達から「エイズ・ベイビー」といじめられて帰ってくると、両親が言い争いをしていた。両親もHVI感染者で麻薬常習者、しかも自分もHVI患者であることを知る。
第4話「ビルーとジョアン」監督 カティア・ルンド
ブラジルのスラムで、ゴミの回収をして生計を立てているビルーとジョアンの兄妹。ゴミを拾って生活しているこどもたちがいることは、ニュースでも見たことがありますが、この作品はドキュメンタリータッチで、悲惨な感じではなく、なんでも遊びに変えてしまう、子供の生きるエネルギーを表現していました。最後に映し出された都市にスラムが飲み込まれそうなサンパウロの風景は、都市化によって、さらに彼らが生きる場所を奪われかねないという警鐘に見えました。
個人的には一番好きな作品です。
第5話「ジョナサン」監督 ジョーダン・スコット、リドリー・スコット
戦争写真家のジョナサン(デヴィッド・シューリス)は、戦争の悲惨にショックを受け、何もできない自分を責めていた。
森のなかへ彷徨い出て、自分も子供となって、戦争のなかで生きている子供を体験し、自分を取り戻す。
監督のジョーダンはリドリー・スコットの娘で、これが初の親子共同監督作品ということです。
他にケリー・マクドナルドが共演でした。
第6話「チロ」監督 ステファノ・ヴィネルッソ
ナポリのチロは少年の窃盗団の一員。白昼堂々、荒っぽい手口で高級車の男性からローレックスをかっぱらうが、犬に追いかけられて怖くてお漏らしをするなど、子供は子供。
その品物をお金と引き換えるために、ボスともちゃんと渡り合えるけど、本当の目的は閉園後の遊園地で遊ばせてもらうことでした。
第7話「桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ)」監督 ジョン・ウー
中国の裕福な家庭の桑桑(ソンソン)と、捨て子で貧しいおじいさんに拾われて育てられている子猫(シャオマオ)が、きれいなフランス人形でつながれた数奇な運命を描いています。
子猫(シャオマオ)の笑顔に会うだけで、この作品の価値はあります。
この映画を見終わって、それぞれの監督の真摯な作品作りはひしひしと伝わってきましたが、気持ちは落ち込むばかりです。
確かに、大人の視線から外れてしまっている子供たち。
でも、大人たちはそれ以上に疲れきっているように思います。
子供を兵士にするなんて、論外ですが、栄耀栄華を誇っているアメリカの子供でさえ、ブランカのように病を押し付けられているのです。
子供を守り慈しむ余裕が、どの社会にも希薄だなあと暗い気持ちになりました。
希望さえあれば、人は生きてゆけます。
やはり、政治の問題は大きいと思いました。