マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

それでも生きる子供たちへ

2007-07-09 18:05:26 | 映画ー劇場鑑賞
ーそれでも生きる子供たちへー
2005年 イタリア/フランス ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES
監督=メディ・カレフ 、エミール・クストリッツァ 、スパイク・リー 、カティア・ルンド 、ジョーダン・スコット 、リドリー・スコット 、ステファノ・ヴィネルッソ 、ジョン・ウー
制作=マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソ
出演=ビラ・アダマ 、ハノウラ・カボレ 、ウロス・ミロヴァノヴィッチ 、ロージー・ペレス 、ハンナ・ホドソン 、アンドレ・ロヨ 、フランシスコ・アナウェイク・デ・フレルタス 、ベラ・フェルナンデス 、デヴィッド・シューリス 、ケリー・マクドナルド 、ジョナサン・ジョーダン・クラーク 、ジャック・トンプソン 、ジョシュア・ライト 、ダニエリ・ヴィコリト 、エマヌエーレ・ヴィコリト 、マリア・グラツィア・クチノッタ 、ザオ・ツークン 、チー・ルーイー 、ジャン・ウェンリー 、ユウ・ヨン

【解説】
7か国の子どもたちが直面する厳しい現実を、それぞれの国を代表する監督たちが赤裸々(せきらら)につづるオムニバス映画。少年兵士やストリートチルドレン、エイズやドラッグなど、実際に避けては通れない数々の問題を観る者に突き付ける。『インサイド・マン』のスパイク・リーや、『ライフ・イズ・ミラクル』のエミール・クストリッツァ監督などがその手腕を大いに発揮。それぞれが個性的で愛にあふれた素晴らしい作品を撮り上げた。

 
7人の監督とプロデューサーのマリア・グラツィア・クチノッタ

【感想】
マリア・グラツィア・クチノッタ、キアラ・ティレシ、ステファノ・ヴィネルッソが、世界の子供たちの窮状を救うために、社会意識を高め、責任感を換気するような映画を作りたいと企画し、国連のユニセフ、WFP国連世界食料計画も協力して、この映画ができたそうです。
この映画の収益全部がWFP国連世界食料計画に寄付され、世界の子供たちを救うために活用されるということです。

原題は「見えない子供たち」です。
主旨は、子供たちを救うための映画ですが、7人の監督が描いた世界はまさに大人から「見えない子供たち」(原題=ALL THE INVISIBLE CHILDREN/LES ENFANTS INVISIBLES)でした。

 第1話「タンザ」監督 メディ・カレフ
ルワンダで強制的にゲリラ舞台に入隊させられたタンザの話。

 第2話「ブルー・ジプシー」監督 エミール・クストリッツァ
セルビアモンテネグロの少年院で出所を間近に控えた15歳のウロス。しかし、父親は子供を使って盗みをさせる窃盗団の親方だった。将来は理髪店で働きたいという希望を持っていたウロスだったが…。
監督のエミール・クストリッツァはジョニー主演の「アリゾナドリーム」の監督です。

 
第3話「アメリカのイエスの子ら」監督 スパイク・リー
ブルックリンに住むブランカはごく普通のテイーンエージャー。
ある日友達から「エイズ・ベイビー」といじめられて帰ってくると、両親が言い争いをしていた。両親もHVI感染者で麻薬常習者、しかも自分もHVI患者であることを知る。

 第4話「ビルーとジョアン」監督 カティア・ルンド
ブラジルのスラムで、ゴミの回収をして生計を立てているビルーとジョアンの兄妹。ゴミを拾って生活しているこどもたちがいることは、ニュースでも見たことがありますが、この作品はドキュメンタリータッチで、悲惨な感じではなく、なんでも遊びに変えてしまう、子供の生きるエネルギーを表現していました。最後に映し出された都市にスラムが飲み込まれそうなサンパウロの風景は、都市化によって、さらに彼らが生きる場所を奪われかねないという警鐘に見えました。
個人的には一番好きな作品です。

 第5話「ジョナサン」監督 ジョーダン・スコット、リドリー・スコット
戦争写真家のジョナサン(デヴィッド・シューリス)は、戦争の悲惨にショックを受け、何もできない自分を責めていた。
森のなかへ彷徨い出て、自分も子供となって、戦争のなかで生きている子供を体験し、自分を取り戻す。
監督のジョーダンはリドリー・スコットの娘で、これが初の親子共同監督作品ということです。
他にケリー・マクドナルドが共演でした。

 
第6話「チロ」監督 ステファノ・ヴィネルッソ
ナポリのチロは少年の窃盗団の一員。白昼堂々、荒っぽい手口で高級車の男性からローレックスをかっぱらうが、犬に追いかけられて怖くてお漏らしをするなど、子供は子供。
その品物をお金と引き換えるために、ボスともちゃんと渡り合えるけど、本当の目的は閉園後の遊園地で遊ばせてもらうことでした。

 
第7話「桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ)」監督 ジョン・ウー
中国の裕福な家庭の桑桑(ソンソン)と、捨て子で貧しいおじいさんに拾われて育てられている子猫(シャオマオ)が、きれいなフランス人形でつながれた数奇な運命を描いています。
子猫(シャオマオ)の笑顔に会うだけで、この作品の価値はあります。

この映画を見終わって、それぞれの監督の真摯な作品作りはひしひしと伝わってきましたが、気持ちは落ち込むばかりです。
確かに、大人の視線から外れてしまっている子供たち。
でも、大人たちはそれ以上に疲れきっているように思います。
子供を兵士にするなんて、論外ですが、栄耀栄華を誇っているアメリカの子供でさえ、ブランカのように病を押し付けられているのです。
子供を守り慈しむ余裕が、どの社会にも希薄だなあと暗い気持ちになりました。
希望さえあれば、人は生きてゆけます。
やはり、政治の問題は大きいと思いました。


キサラギ

2007-07-06 12:01:57 | 映画ー劇場鑑賞
ーキサラギー
2007年 日本 佐藤祐市監督 小栗旬 、ユースケ・サンタマリア 、小出恵介 、塚地武雅 、末永優衣 、米本来輝 、平野勝美 、酒井香奈子 、宍戸錠 、香川照之

【解説】
自殺したアイドルの1周忌に集まった5人の男が、彼女の死の真相について壮絶な推理バトルを展開する密室会話劇。『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞を受賞した古沢良太の巧みな脚本を、『シムソンズ』の佐藤祐市監督が、コミカルかつスリリングに演出。小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、ドランクドラゴンの塚地武雅、香川照之という人気、実力を兼ね備えた5人が繰り広げるハイテンションな会話劇から目が離せない。

【あらすじ】
売れないグラビアアイドル如月ミキが自殺して1年、彼女のファンサイトの常連である5人の男が追悼会に集まる。家元(小栗旬)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)ら5人は、思い出話で大いに盛り上がるはずだったが、「彼女は殺された」という言葉を引き金に、事態は思わぬ展開を見せ始め……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
評判通り、いえ、それ以上の面白さでした。
これは、舞台の脚本の映画化かな?
一場面のみ、たった5人の出演者、お手並み拝見、という感じで気取ってみてたら、笑わせて、泣かせてもらいました。

グラビアアイドル如月ミキの1周忌追悼に集まった、ファンサイト掲示板の常連の人たち。
今風のオフ会。
オタクたちが織りなす、こだわりトークが炸裂、のはずだった。
そこに提起された「如月ミキは誰かに殺されたんじゃないか」という疑問。
「まっさか~?」
後の展開は映画を見ないとわかりません。
脚本が完璧だと思いました。

俳優たちもいい。
香川照之がキモイ感じで登場して、一番ぶっ飛んでいそうなのに、結局はカナメでしたね。
ユースケ・サンタマリアが浮きそうになるんだけど、必死に頑張っていたという感じ。
小出恵介が一番、テンションの高いパート。
塚地武雅がキャラと違って、二枚目を演じたところも面白い。
なんせ「ジョニー・デップ?!」だものね。
ここに食いついた人は、見るべし。
進行役の小栗旬、よかった!!

エンディングの踊りと歌、笑わせてもらいました。
面白い!!最高!!

ただね、その後のはいらなかったんじゃないかなあ?
これがほんとの「蛇足」だと思いましたが…。

麦の穂をゆらす風

2007-07-05 11:30:10 | 映画ーDVD
ー麦の穂をゆらす風ー
2006年 イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン ケン・ローチ監督 キリアン・マーフィ 、ポードリック・ディレーニー 、リーアム・カニンガム 、オーラ・フィッツジェラルド 、メアリー・オリオーダン 、メアリー・マーフィ 、ローレンス・バリー 、ダミアン・カーニー 、マイルス・ホーガン 、マーティン・ルーシー 、ジェラルド・カーニー 、ロジャー・アラム 、ウィリアム・ルアン

【解説】
イギリスの名匠ケン・ローチによる、カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた人間ドラマ。20世紀初頭のアイルランド独立戦争とその後の内戦で、きずなを引き裂かれる兄弟と周囲の人々の姿を描く。主演は『プルートで朝食を』のキリアン・マーフィが務め、戦いの非情さに心を痛めながらも祖国の自由を願う青年を熱演。アイルランド伝統歌の名曲「麦の穂をゆらす風」にのせてつづられる、歴史と運命に翻ろうされた人々の悲劇が胸に迫る。

【あらすじ】
1920年アイルランド、英国による圧政からの独立を求める若者たちが義勇軍を結成する。医師を志すデミアン(キリアン・マーフィ)も将来を捨て、過酷な戦いに身を投じていく。激しいゲリラ戦は英国軍を苦しめ停戦、講和条約にこぎつけるものの、条約の内容をめぐる支持派と反対派の対立から同胞同志が戦う内戦へと発展する。 (シネマトゥデイ)

【感想】
辛い映画でした。
内戦状態にある国には、いまも起こっている悲劇でしょう。

最初は、自国民の自由のために理想に燃えて立ち上がった若者たちでした。
そのひとりデミアン(キリアン・マーフィ)は、医者としてロンドンに赴く矢先に、圧政に苦しみ、痛めつけられる人たちを目の当たりにし、兄がリーダーを務める義勇軍に入隊します。

ゲリラ活動は悲情です。
裏切り、リンチ、逮捕、拷問、処刑。
恐ろしいことの連続。
でも大義のあるうちは、辛くても耐えていける。

イギリスが巧妙な和解案を提出、そして、条約締結、若者たちは身内から分裂してしまう。
深まる疑心暗鬼、やがては、兄弟が諍う結果に。

尊敬していた兄、小さいときから優秀だった自慢の弟。
なぜ、こんなことに…

戦争は、なんのかんの言っても結果は全部悲劇です。
誰も無傷ではいられない。
内戦となれば、親兄弟友情もずたずた。
みんな、平和のときであれば、優しいいい人ばかりなのに…。
慰めの言葉も見当たりません。

こんな悲惨な出来事を経て得た平和。
こころして、大切にしたものです。

キリアンが、感情に流されることなく、自分の信念に従って行動する純粋な若者を好演しています。
彼の澄んだ瞳が生きる、ぴったりの役でした。

守護神

2007-07-05 11:27:28 | 映画ーDVD
ー守護神ー
2006年 アメリカ ケヴィン・コスナー 、アシュトン・カッチャー 、ニール・マクドノー 、メリッサ・サージミラー 、クランシー・ブラウン 、セーラ・ウォード 、ボニー・ブラムレット 、ブライアン・ジェラティ 、ジョン・ハード 、アレックス・ダニエルズ 、オマリ・ハードウィック

【解説】
アメリカ沿岸警備隊を舞台に、伝説のレスキュースイマーと若き訓練生の心のきずなを描いた感動ドラマ。監督は『コラテラル・ダメージ』のアンドリュー・デイヴィス。伝説のスイマーを『フィールド・オブ・ドリームス』のケビン・コスナー、彼に導かれる若きスイマーを『バタフライ・エフェクト』のアシュトン・カッチャーが演じる。沿岸警備隊の全面協力によって生み出されたリアルなストーリーと迫力の海難救助シーンを堪能したい。

【あらすじ】
任務中に大切な相棒を失い、心と身体に深い傷を負ったベテランのレスキュースイマー、ベン・ランドール(ケビン・コスナー)は、レスキュー隊員のエリートを育成するスクールの教官に赴任することになった。彼は訓練生の1人で、高校の水泳チャンピオンだった経験を持つジェイク・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)に興味を示す。 (シネマトゥデイ)

【感想】
よく似ていると評される「海猿」をしっかり見たことがないので、ここでは比べることはできませんが、日本人なら思い出してしまうでしょうね。

でも私は、身を犠牲にして生命を救うというテーマで、「バックドラフト」や「炎のメモリアル」の方を思い浮かべました。
また、訓練ということで、「愛と青春の旅立ち」や「GIジェーン」「フルメタルジャケット」なんかのシーンも浮かびました。

だから、とてもいいテーマではあるんだけど、見終わった印象は平凡だなあ、という感想でした。

ラストは泣けます。
ベン・ランドール(ケビン・コスナー)の思い、ジェイク・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)の思い。
ベンには、幸せな結末を用意して欲しかったなあ。

時折見せるアシュトンのお茶目な顔には、にんまりしますし、久々のケビンのかっこよさにも拍手です。

そして、日々、人々の安全と救命に命をかける沿岸警備隊の人たちには、敬意を払いたいと思いまた。

ダイハード4.0

2007-07-01 11:54:57 | 映画ー劇場鑑賞
ーダイハード4.0ー
2007年 アメリカ レン・ワイズマン監督 ブルース・ウィリス 、ジャスティン・ロング 、ティモシー・オリファント 、クリフ・カーティス 、マギー・Q 、シリル・ラファエリ 、メアリー・エリザベス・ウィンステッド 、ケヴィン・スミス 、ジョナサン・サドウスキー

【解説】
ブルース・ウィリスが悪夢のような事件に遭遇しながらも知恵と体力を駆使して巨悪と戦い抜く、大人気アクションシリーズ第4弾。ウィリスは人間味あふれる主人公ジョン・マクレーンを演じるほか、製作も兼任。『アンダーワールド』のレン・ワイズマンを監督に迎え、全米を襲うサイバーテロの野望に立ち向かう最強に“運の悪い”男の不死身の奮闘を活写する。閉鎖的な空間での死闘が多かった前作までに比べ、カーアクション満載の豪快なアクションの数々に圧倒される。

【あらすじ】
デジタルによって制御されている全米の都市機能の壊滅を狙う謎のサイバーテロ組織が動き出し、システムがテロによって攻撃されようとしていた。アメリカ政府ですら機能不全に陥ってしまう緊急事態のなか、これまで幾度となく危機を救ってきた元刑事のジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が、再び事件解決に乗り出す。 (シネマトゥデイ)

【感想】



ジョン・マクレーンがみごとにスクリーンに帰ってきてくれました。
期待は、裏切られませんでした。
すごいなあ。

このシリーズのよさは、世界一ついてないジョン・マクレーンをブルース・ウィリスの魅力と重ねて見ることができるところじゃないでしょうか。

見終わって、アナログ対デジタルの対立の構図を表現しきれていない、と夫は苦言を呈していましたが、私は、ノープロブレムだと思いました。

それより、今回のジョンは忍耐強かったですよね。
ハッカーの若造マシュー(ジャスティン・ロング)に辛抱強く付き合って、結局は彼のヒーローとなりました。
「誰もやらないから、自分がやる」と語っていましたが、それがジョンのスタンスです。

いろいろ突っ込みどころは満載だけど、ひとときも観客を退屈させない楽しさでした。
これぞ、娯楽アクションの王道!

オペラ座の怪人

2007-06-29 12:42:58 | 舞台
劇団四季の「オペラ座の怪人」は1988年の日成劇場を皮切りに、全国でロングラン上演を繰り返しているヒット作です。
私は2002年の京都劇場の公演を見たことがあります。

それまで、ミュージカルをとはご無沙汰でしたが、とても感動したことを覚えています。

2004年にはジェラルド・バトラー主演で映画化されています。

そして、今回の大阪公演、友達の尽力で前から5番目のセンター付近に座席が取れ、わくわくしながら見に行きました。

私はこのミュージカル、本当に好きだなあ。
まず、ストーリーがいい。
構成がいい。

最初のオークションのシーン、不気味な感じで音楽もなくはじまり、ラウル・シャニュイ子爵 が落札するオペラ座のいろいろな品物。
そして最後に紹介される、豪華なシャンデリア。
観客が、つり上げられていくシャンデリアに気を取られていると、舞台は歌劇アイーダを模した「ハンニバル」のお芝居のリハーサル中。

それも、劇場主が大金持ちにオペラ座を譲るために案内していて、舞台の中の世界も雑然としている。
みんなの気持ちが散漫になって、落ち着かない。

そこに持ち上がるファントムの噂。
プリマドンナの降板とクリステイーヌの抜擢。
どんどん物語は進んでいきます。
観客は付いて行くのに必死。

この一連の流れが落ち着くのが、クリスティーヌの初舞台が無事終わるところ。
幼なじみのラウルが楽屋に来て、クリスティーヌを誘いますが、クリスティーヌは謎の声に導かれて地下室へ。

ここに流れる名曲「オペラ座の怪人」。
舞台装置の仕掛けにも驚きながら、主人公たちと一緒にオペラ座の地下の湖へと導かれていきます。

とにかく、曲がいい。
「Angel of Music」「Music of the Night 」「All I Ask of You 」「Masquerade/Why So Silent...? 」など。
全部いいです。
ロイド・ウェバーが当時の恋人サラ・ブライトマンにオマージュして作った作品と言われています。
ウェーバーは怪人と自分を重ねていたとか。

コンプレックスやその裏返しの傲慢さ、残忍さ、嫉妬、うらはらの純粋さなど、誰もが持っている弱さを怪人は見事に体現してくれます。
ウェーバーならずとも、心当たりは誰にもあるでしょう。

クリステイーヌは「顔の醜さではない、心の醜さ」と言いますが、でも、醜い顔には耐えられないよ。
それでも、怪人はクリスティーヌとラウルを許し、こつ然と姿を消します。
何処へー。
怪人の行く末を思うと、あはれが募ります。
愛されたかっただけなのに…。
これは、すべての恋する人たちに当てはまる思いではないでしょうか。

昨日、友達が「怪人は、ずっと地下にいる人だから、色白だし線も細いのよ」と教えてくれました。
そうすると、映画の怪人役のジャラルド・バトラーはイメージが違っていましたね。
容姿だけではなく、体力や生い立ち、その他の何もかもに自信がないから、怪人に成り果ててしまった男の悲劇だったのね。納得…。

今回、さらに感動して、ますますこのミュージカルが好きになりました。

300 <スリーハンドレッド>

2007-06-27 19:43:19 | 映画ー劇場鑑賞
ー300 <スリーハンドレッド>ー
2007年 アメリカ ザック・スナイダー監督 ジェラルド・バトラー 、レナ・ヘディ 、デヴィッド・ウェンハム 、ドミニク・ウェスト 、ミヒャエル・ファスベンダー 、ヴィンセント・リーガン 、トム・ウィズダム 、アンドリュー・プレヴィン 、アンドリュー・ティアナン 、ロドリゴ・サントロ 、マリー=ジュリー・リヴェス 、スティーヴン・マクハティ 、タイロン・ベンスキン 、ピーター・メンサー

【解説】
『シン・シティ』でも知られるフランク・ミラーのグラフィック・ノベルを基に、スパルタの兵士300人がペルシアの巨大軍と戦う姿を描いたアクション超大作。監督は『ドーン・オブ・ザ・デッド』のザック・スナイダー。屈強なスパルタの王レオニダスを『オペラ座の怪人』のジェラルド・バトラーが演じる。色彩のバランスを操作し、独特の質感になるよう画像処理を施した斬新な映像美とともに、屈強な男たちの肉体美も見どころとなっている。

【あらすじ】
紀元前480年、スパルタ王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は、ペルシアの大王クセルクセス(ロドリゴ・サントロ)から服従の証を立てるよう迫られる。そこで、レオニダス王が取った選択肢は一つ。ペルシアからの使者を葬り去り、わずか300人の精鋭たちとともにペルシアの大群に立ち向かうことだった。 (シネマトゥデイ)

【感想】
残酷、内容がない、アラブへの偏見がある、エグイとか、いろいろ批判されているみたいですが、「シンシティ」みたいと言われて見たら、それなりに楽しめました。



劇画調だし、これほど鍛えられた男の裸が、こんなにたくさん並んだことも、かつてないんじゃないでしょうか。
スパルタ王レオニダスのジェラルド・バトラーもかっこいいと思いました。
ただのボディビルダーではなく、闘える体に見えました。

私は、長い長い戦闘シーンを、子供の頃に読んだ「義経物語」と重ねて見ていました。
戦争で必要なのは、戦略と有能なトップと鍛えられた戦士だなあ、なんて。

疑問だったのは、レオニダスは何を守るために闘ったのかな、ということ。
議会はセロンの言いなりで、勝っても負けても、彼が受け入れられるはずはないようでしたもの。
もともと生きて帰る気のないような、王妃との別れでした。
国家の体制のなかで、王と議会、神職者の関係が、もうひとつわかりにくかったと思いました。

確かに、アジア全部を敵に回した感じはしました。
でも、主役はギリシャ人だし、一応「テルモピュライの戦い」を下敷きにしているようなので、まあ、アリかなと思いましたが。
醜い人は心も醜い、という描き方も、問題があると言えばそうかなあ。

どこをとっても、所詮は作り物の極地という映画なので、わかりやすいということでよしとしましょう。
私は、この手の映画はもっともらしい理屈を付けない方がいいと思います。
あくまで、映像、視覚で勝負。
観客に考えさせたら、負けです。
その点、この映画は成功していたと思いました。

ペルシャ王クセルクセス(ロドリゴ・サントロ)には驚きました。
あの、ラブアクチュアリーの色男が、こうもなってしまうかと。
でも、隠しきれないセクシーさもありましたね。

一番美味しいとこを持って行ったのが、デヴィッド・ウェンハム、「ロードオブザリング」のファラミアでした。
相変わらず、いい男でした。

映像の完成度は高いし、技術も確か。
娯楽映画としては、十分だと思いました。

ゾディアック

2007-06-26 10:06:43 | 映画ー劇場鑑賞
ーゾディアックー
2006年 アメリカ デヴィッド・フィンチャー監督 ジェイク・ギレンホール 、マーク・ラファロ 、ロバート・ダウニー・Jr 、アンソニー・エドワーズ 、ブライアン・コックス 、イライアス・コティーズ 、クロエ・セヴィニー 、ドナル・ローグ 、ジョン・キャロル・リンチ 、ダーモット・マローニー 、リッチモンド・アークエット 、ボブ・スティーヴンソン 、ジョン・テリー 、ジョン・ゲッツ 、キャンディ・クラーク 、フィリップ・ベイカー・ホール 、ジェイソン・ワイルズ 、マット・ウィンストン 、ザック・グルニエ 、アダム・ゴールドバーグ 、ジェームズ・レグロス 、クレア・デュヴァル 、ポール・シュルツ 、ジョン・レイシー 、エド・セトレキアン 、ドーン・リー 、ペル・ジェームズ 、リー・ノリス 、ジョエル・ビソネット 、トーマス・コパッチ 、バリー・リヴィングストン 、クリストファー・ジョン・フィールズ

【解説】
アメリカ犯罪史上最も危うい連続殺人鬼と言われる“ゾディアック・キラー”を題材にした話題作。ゾディアックに関わり、人生を狂わされた4人の男たちの姿を描く。監督は『セブン』のデビッド・フィンチャー。『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホールが、事件の謎を追い続ける風刺漫画家を演じる。徹底したリサーチを基に練り上げられたサスペンスとしても、4人の男たちの生き様をリアルにつづった人間ドラマとしても楽しめる。

【あらすじ】
1969年、自らを“ゾディアック”と名乗る男による殺人が頻発し、ゾディアックは事件の詳細を書いた手紙を新聞社に送りつけてくる。手紙を受け取ったサンフランシスコ・クロニクル紙の記者ポール(ロバート・ダウニーJr)、同僚の風刺漫画家ロバート(ジェイク・ギレンホール)は事件に並々ならぬ関心を寄せるが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この事件はアメリカでは有名なのでしょうね。
前半の事件をなぞっていく過程がとても退屈でした。
あれだけの情報量を短時間で理解するのは至難の業です。

後半は、ロバート(ジェイク・ギレンホール)が、家族も家庭も捨てて、事件の解明にのめり込んでいく様を描いて、面白かったです。

ポール(ロバート・ダウニーJr)がこの事件を世に出した仕掛人なのに、結局は身を持ち崩してしまうのが惜しいです。

捜査担当から、事件に翻弄されたストーキー刑事(マーク・ラファロ)のお人好しな感じがよかった。
ロバートのことを迷惑がっているのに、話を聞いてあげたりする、人間的な面が好感が持てました。

初動捜査に甘さがあったんじゃないかな?
筆跡鑑定も、血液鑑定、DNA鑑定など、そもそも信頼に足るサンプルなのかしら?と疑問に思いました。

日本にも未解決事件がたくさんあって、そういうものに関わってしまった人たちのなかには、ロバートの気持ちがわかる人もいるでしょうね。

結局犯人が分からず、未解決事件なんだから当たり前ですが、観客もイライラ感を募らせて劇場を放り出される結果となります。
何を見所と考えるか…。
一緒に見た夫は「長い映画やなあ」と不満げでした。

イノセント・ボイス 12歳の戦場

2007-06-26 10:01:00 | 映画ーTV
ーイノセント・ボイス 12歳の戦場 ー
2004年 メキシコ ルイス・マンドーキ監督 カルロス・パディジャ 、レオノア・バレラ 、ホセ・マリア・ヤスピク 、ダニエル・ヒメネス・カチョ 、グスタボ・ムニョス 、オフェリア・メディナ

【解説】
激しい内戦で多数の犠牲者や亡命者を出した、1980年代の中南米エルサルバドルの内情を描いた戦争ドラマ。無名の俳優オスカー・トレスが少年時代の体験をつづった脚本を、メキシコ出身のルイス・マンドーキ監督が映像化。むごたらしい戦争の悲惨さや無意味さを母子のきずなを絡めて語り明かす。主人公の少年に3000人の中から選ばれたメキシコの少年カルロス・パディジャ。軍隊徴収直前の微妙な少年の心理を自然体の無垢な演技で表現している。

【あらすじ】
1980年代、中南米エルサルバドル。政府軍と反政府ゲリラ組織が血で血を洗う内戦を繰り広げている中、11歳の少年チャバ(カルロス・パディジャ)は、父親が家を出たため、母親と妹弟を守らなければならなかった……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
チャコが病気で苦しんでいる間は、なかなかしんどそうな映画は見られなかったので、そろそろちゃんと見ていかなくては。
ということで、この作品。

この子役たち、いったいどういう子たちなのかしら。
あの悲しそうな目、どういう演技指導をしたらできるのか?
しかも、主人公チャバを演じたカルロス・パディジャ、ただものじゃない、すごいわあ。

内戦激しいエルサルバドルの市街。
チャバはお母さんとお姉さんと弟と暮らしている11歳の男の子。
お父さんは、家を出て海外へ行ってしまった。
チャバは長男として、家を守る自覚がある。

でも、そこは子供、遊びに夢中になって帰りが遅れ、お母さんに叱られることもたびたび。
お母さんは、生活の疲れと内戦で神経の休まる暇がない。

それなのに、内戦は激化するばかり。
子供たちは12歳になると、まるで拉致されるように学校へ軍隊が来て徴兵されてしまう。
これでは、市民から支持されるわけはない。

お母さんの弟はゲリラ軍に身を投じている。
チャバもゲリラ軍に誘うが、お母さんはきっぱり断る。
チャバはなんとしても守りたいと思う。
でも、どうやって…。

学校も銃撃戦に巻き込まれ、それに加担したと言って、神父さんまでリンチにあう。
もはや、どこにも安全な場所はない。
田舎のおばあさんの住む村に身を寄せるが、そこにも徴兵のための兵隊が現れる。

屋根の上にぺたんと寝て、隠れる子供たち。
夜通し星を数えて過ごす。

一番辛かったのは、チャバのお誕生日のシーン。
みんながサプライズパーティーを開いてくれるのですが、ろうそくは11本しか立てていない。

内戦のなかでも、子供たちは無邪気に逞しく生きているところが悲しい映画です。
どんな状況でも遊びを考えだすし、あわい初恋もある。
子供にはここしか生きるところがない。

生き残ったチャバは国外へ脱出し、オスカー・トレスとなって脚本を書き、この作品を世に送ったわけですが、まだ世界にはチャバのような子がたくさんいるかと思うだけで、胸が痛くなります。

子供たちが無邪気に笑っていられる世の中が、一日でも早く来ますように。

チャコの思い出

2007-06-25 12:24:16 | Weblog
6月20日午前1時15分頃、私たちの大切な宝物、チャコがお星様になりました。
チャコを可愛がってくださった人たちのために、チャコの追悼を書きたいと思います。

今から11年前に、チャコは生まれました。
お母さんはビーグルのミッキー、5匹兄弟の一番お姉さんでした。
 生まれて間もなくのチャコとお母さんのミッキー。チャコは、お母さん似ね。

【ミッキーの飼い主で、チャコを取り上げてくださったかよさんが、チャコを我が家に連れてきた下さった時に、チャコの写真とともに下さったお手紙】
1996.10.6 夜中の2時頃生まれました。
一番最初に産声をあげ、その元気な声で、私は飛び起きました。
体重は280グラムでした。
1ヶ月後の11月5日には900グラムになっていましたよ。
ドッグフードも食べれるようになりましたが、まだ、お母さんのお乳を求めて走り回っています。
しばらく大変だと思いますが、よろしくおねがいします。

 我が家へ来た頃のチャコ

今だから言いますが、この時住んでいたマンションは犬を飼ってはいけないマンションでした。
お手紙にあるように、チャコが我が家へ来た当時は、ほんと大変でした。
夜はずっと泣いているし、家具やスリッパ、靴までも噛みちぎるし、しつけのできない甘い飼い主の私たちは、チャコに振り回されっぱなしでした。
でも、これは、チャコのせいばかりではないね。
私たちが甘やかしたせいです。

思春期を迎えた末っ子の次男が、難しくなっていた時期でした。
チャコの効果はてきめん、チャコは家族の潤滑油として、大切な存在になったのでした。

チャコとの幸せな生活は、永遠に続くと思っていました。
それなのに…
去年の秋から、ただの脂肪腫と思っていたものが変化し、結局癌になったようでした。

 今年のお正月

最初の出血のときはパニックになりました。
「チャコが死ぬ!!」って恐怖でした。
でも、癌だと覚悟が決まってから、できるだけチャコがしんどくないように、そして、みんなの生活のペースも変えないように、平常心でいようと心がけました。

チャコは今年の5月の始めからすごく悪くなったのですが、出血や痛みにも耐え、何度も復活してくれました。

タイトルにある写真が、亡くなる12時間ほど前の写真です。
なんと、穏やかに私を見つめていることでしょう。
自分の死期を悟り、私のことを忘れまいとみていてくれたのだなあ。
生涯で一番かわいい顔だと思います。

さて、この夜中にチャコは静かに息を引き取りました。
次男は宵の口からチャコについてくれていたし、夫も間に合いました。
口を閉じさせてあげて、目を閉じさせてあげたら、まるで眠っているようでした。

自分の使命を知っていたのでしょう。
次男の成長を見届け、どんなに酔っぱらって夜遅くても、1日2回の散歩を欠かさなかった夫の帰りを待っての最期でした。

20日は水曜日で、週に一度長男が帰って来る日でした。
さらに不思議なのは、東京で働いている長女が大阪へ出張で帰って来る日だということでした。
次男も、水曜日はたいていクラブで食事は外になるのですが、この日は遅くなりましたが家で食事をしました。
チャコのお陰で、図らずも家族が揃うこととなったのです。

チャコの亡骸をみんなに見てもらって、ごちそうとワインでチャコを送りました。
3人兄弟が揃うなんて珍しいことなので、たくさん写真を撮りました。
涙のない、楽しいお弔いでした。

私は最後の夜もチャコのそばで寝ました。
まるで、眠っているとしか思えないチャコでした。
亡骸でも側に置いておきたいと思いました。

 最後の夜

【私から子供たちへのメール】
21日午前10時半頃、チャコを火葬場に運んで行きました。職員のみなさんは手慣れた感じで丁寧に応対してくれました。今ごろチャコの魂は肉体から離れお母さんのミッキーが待つ天国へ旅だったことでしょう。家族が集まってチャコを送れて良かったね。この家族、私の誇りです。ありがとう。

【長男からのメール】
大したことはしてやれなかったが、チャコは幸せにあの世へ旅立ったことでしょう。

【娘からのメール】
チャコもきっと幸せな一生やったかな。うちも帰れてよかった。チャコが呼んだとしか思われへんね。

チャコは、天国へ旅立ちました。
病気になったことは、ほんとうに不運なことでしたが、チャコは家族の絆そのものだったし、絆の大切さを私たちに教えてくれたと思います。

チャコに会えてよかった。
チャコがうちの子になってくれて、本当によかった。

チャコを可愛がってくださった皆様に、心からお礼を申し上げます。
ありがとうございました。



しばらくこうしてチャコを忍ぼうと思います。
敷いてあるのは、チャコが我が家に来た時にくるまれていた、ミッキーとミニーがキスをしている柄のバスタオルです。