手延べラーメン

  手延べラーメン  2013.5.23.  金森正臣

 カンボジアには、昔から中国文化が流れ込んでいたと思われる。地図を広げて見ると、中国から海岸沿いに南に移動すると、ベトナムを経てメコン川の川口に出る。大河であるから、川口から奥を探ると、そのままカンボジアに上がってくる。
以前は、メコン川の川口までカンボジアであったから(現在はベトナム領)、特に国の境ははっきりしなかったであろう。それよりも、カンボジアやベトナムの国が成立する以前から、中国文化は流れ込んで来ていたと思われる。

 カンボジア料理の様式を見ると、調理の基本は中国式で、煮込みや炒め物が必ず加わる。
もっとも地方の貧しい農民や漁民は、町で食べる料理と異なり、ご飯に塩漬け魚や炭火で焼いた魚・肉などで、アフリカの焼く調理文化に近い。タイやベトナムと共通の調理文化を持っていることは、多分ずっと昔に、中国人が沿岸沿いに移動して来たことに起源が有るのであろう。

 名字を聞くと明らかに中国名であるが、本人たちは出自が中国だとは認識していない人も多い。この様な現象は、少なくとも数代にわたって、カンボジアに住んでおり、自分の出身が中国であることを確認できなくなっているのであろう。それでも、純粋なクメール人の家庭とは、行事や子どもの躾が異なっていることが多い。

 最近移動して来た中国人(華僑と認識している人たちもいる)のレストランでは、手延べラーメンが良く見られる。カンボジアの人たちは、当たり前のように思っているが、日本であったらこれだけで、店が繁盛すること間違えなし。店頭で青年が麺を注文ごとに伸ばしている様は、なかなか見応えがある。
手延べの他には、刀削り麺もある。でもカンボジアに来ている中華料理は、基本的に庶民料理で、宮廷料理などの高級料理はほとんど来ていない。
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