事故のあった橋 

事故のあった橋   2011.2.17.  金森正臣

 昨年の水祭りの最終日である11月22日に、カンボジアでは大きな事故が有った。祭りを締めくくるコンサートが終わったころに、橋の上で370人ぐらいの若者が将棋倒しになり亡くなった。この橋は、メコン川の分流であるバサック川の中島にかけられた橋で、コンサートはこの島で行われていた。

 そもそもこの中島は、数年前まで誰のものか分からない状態であったが、政府の高官が目を付け、奥さんが開発に関わって、新たな街を作り売り出していた。日本でも、信濃川の下流で、どこかの政治家が自分の土地として開発したことが有ったが、どこの国の政治家も同じような金儲けを企むものである。まだ完成していない状態であったが、かなり広い地域で、住宅や各種イベント会場、遊園地などが作られ始めていた。

 事故が有ったことで、中島は亡霊が出ると言う噂も立ち、嫌われ始めている。結婚式場も繁盛していたようであるが、事故後は誰も使っていない。このまま行くと、土地も建物も暴落する危険が有る。事故の調査もそこそこに、亡くなった方には見舞金が支払われ、調査は打ち切りになった。その後、直ぐに事故のあった橋のすぐ隣に、二つの橋を作り始めた(写真:奥に見える橋が事故のあった橋)。事故の反省から、一方通行にする予定だと言う。

橋が出来上がる頃には、皆少しずつ忘れて、土地も再び高値になって行くことであろう。 金持ちはますます金持ちになり、貧乏なものはいつまでたっても貧乏のまま。いかにも発展途上国を代表する橋の工事だ。
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