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●科学技術ニュース●世界無線通信会議において成層圏通信プラットフォームの携帯電話基地局向け周波数帯の追加が正式決定

2024-01-11 09:39:09 |    通信工学
 アラブ首長国連邦のドバイで開催されたITU-Rの2023年世界無線通信会議(WRC-23)において、700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯の追加が正式に決定された。

 ソフトバンクは、国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)やアジア・太平洋電気通信共同体(APT)において、成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)向け周波数帯に関する国際標準化活動を行い、HAPSの携帯電話基地局で利用可能な周波数帯の拡大の検討について、ITU-RやAPTで日本を代表して議論を主導してきた。

 今回の決定により、各国・地域でHAPSによるモバイルブロードバンド通信を導入する際に、周波数帯の柔軟な選択が可能となり、既存のスマートフォン(スマホ)などでの利用が可能になる。

 ソフトバンクは、ITU-Rの2019年世界無線通信会議(WRC-19)において、WRC-23の議題として、HAPSの携帯電話基地局向け周波数帯の拡大を目指した提案が採択されて以来、同提案の実現を目指し、ITU-RやAPTにおける議論を主導してきた。

 この過程においては、ITU-Rにおける拡張候補帯域(700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯)に関する技術的研究や無線通信規則の改定案の検討に関する議論や、APTからWRC-23に提案する無線通信規則の改定案の取りまとめなどに日本を代表して積極的に参加し、今回のWRC-23の決定に大きく貢献した。

 従来、HAPSを携帯電話の基地局として利用する場合、ITU-Rが規定する無線通信規則においては、2GHz帯の携帯電話向け周波数の電波の利用が国際的に認められている一方、その他のグローバルバンドである700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯などの利用は認められていなかった。

 今回のWRC-23の決定は、ITU-Rが規定する無線通信規則を改定し、2GHz帯以外のグローバルバンドにも拡張することで、各国・地域におけるHAPSの導入をより柔軟にするもの。

 この決定を受けて、今後各国・地域におけるHAPSの導入に向けた検討や、制度の整備が進むことが期待される。

 また、将来的にはより多くの国・地域において、HAPSの携帯電話基地局とユーザー間で、既存のスマホを使って通信を直接行うことが可能になる。

 特に地上の基地局ではカバーが難しい上空や離島の他、山岳地帯や発展途上国など、通信環境が整っていない場所への安定した通信ネットワークの提供や、大規模な災害によって地上基地局の通信サービスが中断した場合の、早急な通信エリアの復旧を実現できる。

 ソフトバンクは、HAPSの技術を活用して世界中の人々やあらゆるモノがつながる社会を実現するために、引き続き各国・地域の関係当局と連携および調整をしながら、HAPS向け周波数帯に関する国際標準化活動や実用化に向けた研究開発に取り組んでいく。<ソフトバンク>
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