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★科学技術ニュース★東京大学、わずか2分子の厚みの超極薄×大面積の半導体を開発

2018-05-02 09:31:05 |    電気・電子工学

 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻荒井俊人講師、長谷川達生教授兼産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センター総括研究主幹らは、簡易な塗布法を用いて、手のひらサイズ(10㎝×10㎝)の面積全体にわたって分子が規則正しく整列し、かつ有機分子わずか2分子分(約10ナノメートル)の厚みをたもつ、超極薄×大面積×高性能な有機半導体デバイスを構築する技術を開発した。

 印刷や塗布によりフレキシブルな電子機器を製造するプリンテッドエレクトロニクス技術は、大規模・複雑化したこれまでの半導体製造技術を格段に簡易化できる革新技術として期待されている。

 常温での塗布により性能を発揮する有機半導体はこのための素材として有力だが、従来技術では、分子レベルで厚みが均質な半導体の形成は困難であった。

 そこで極限的に薄い生体の細胞膜にならい、分子を基板上に整然とならべた2分子膜1層のみからなる半導体を形成する新たなしかけを考案することで、今回の成果が得られた。

 この超極薄半導体の結晶性は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所熊井玲児教授と協力し、KEKの放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)を用いて確認した。

 今後は超極薄半導体の形成に適した分子材料の設計と製膜法のさらなる最適化により、フレキシブルな電子機器や超高感度分子センサーの実用化に必要な仕様を満たす超極薄TFTの開発を進める。

 さらに生体細胞膜に似た単層2分子膜の特徴を活かし、分子レベルの表面吸着や化学反応を制御できる究極の機能性人工超薄膜への展開を推進する。


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