“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「「腸と脳」の科学」(坪井貴司著/講談社)

2024-10-10 09:36:18 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:「腸と脳」の科学~脳と体を整える、腸の知られざるはたらき~

著者:坪井貴司

発行:講談社(ブルーバックス)

 記憶力の低下、不眠、うつ、発達障害、肥満、高血圧、糖尿病、感染症の重症化……すべての不調は腸から始まる。腸と脳が情報のやり取りをしていて、お互いの機能を調整している「脳腸相関」と呼ばれるメカニズムが、いま注目を集めている。〈乳酸菌飲料を飲んで睡眠の質が上がる〉〈ヨーグルトを食べて認知機能改善〉……という謳い文句の商品もよく見かけるようになった。腸内環境の乱れは、腸疾患だけでなく、不眠、うつ、発達障害、認知症、糖尿病、肥満、高血圧、免疫疾患や感染症の重症化……と、全身のあらゆる不調に関わることがわかってきている。腸が、どのように脳や全身に作用するのか。最新研究で分子および細胞レベルで見えてきた驚きのしくみを解説。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「統計力学の基礎 Ⅰ」(清水 明著/東京大学出版会)

2024-10-10 09:35:52 |    物理



<新刊情報>



書名:統計力学の基礎 Ⅰ

著者:清水 明

発行:東京大学出版会

 統計力学は、ミクロ系とマクロ系を結びつける、現代物理学の支柱を成す理論のひとつである。同書は、名著「熱力学の基礎」の著者が、研究者にも役立つような最新の研究の進展を踏まえた透徹した論理を、初学者にも理解できるように丁寧に解説したテキストの第I巻である。
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●科学技術センター●NICT、29の国と地域が参加するGPAIの東京専門家支援センターを設置しAIに関する国際的なパートナーシップを推進

2024-10-10 09:35:17 |    人工知能(AI)
 情報通信研究機構(NICT:エヌアイシーティー)は、2023年12月に開催されたGPAIジーペイ(Global Partnership on AI、AIに関するグローバル・パートナーシップ)閣僚理事会において、日本政府の提案により、GPAIに所属するAIの専門家を支援する組織を東京に設置することが承認されたことを受け、パリ、モントリオールに続き、世界で三つ目の専門家支援センターとして、NICT内にGPAI東京専門家支援センター(GPAI Tokyo Expert Support Center)を設置した。

 また、同センターのセンター長に、原山優子 東北大学名誉教授が就任した。

 NICTは、広島AIプロセスの推進も含め、AIに関する国際的なパートナーシップを一層推進していく。

 GPAIは、2020年6月に発足したが、日本は当初から参画し、2022年11月には東京で「GPAIサミット」を開催した。

 2023年10月30日に合意された「広島AIプロセスに関するG7首脳声明」において、G7首脳は、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」及び「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」を歓迎するとともに、関係閣僚に対し、GPAI等とのプロジェクトベースの協力を更に前進させることを求めた。

 また、2023年12月1日に合意された「広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」において、プロジェクトベースの協力に関し、GPAI東京センターが支援するプロジェクトを含め、広島AIプロセスの成果の実装支援に貢献する生成AIに関するプロジェクトを歓迎することが盛り込まれた。

 GPAIには実証的な知見に根ざしたプロジェクト活動の推進が期待されていることから、日本政府は、上記国際指針及び行動規範の内容を実現するための調査研究を支援し、生成AIの政策立案のためのエビデンスを蓄積するプロジェクトを始めとする活動を推進するため、2023年12月13日のGPAI閣僚理事会で、GPAI東京専門家支援センターの設立を提案し、承認された。

 これを踏まえ、NICT内にGPAI東京専門家支援センターを設置し、原山優子 東北大学名誉教授がセンター長に就任した。

 GPAI東京専門家支援センターでは、GPAIの枠組みの下、広島AIプロセスを推進する生成AIに関するインパクトのあるプロジェクトを始め、GPAIの専門家による調査研究やプロジェクトに対し、運営・管理面での支援を提供する。

 NICTは、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」及び「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」等、広島AIプロセスの推進も含め、AIに関する国際的なパートナーシップを一層推進していく。なお、NICTでは、AIに関する研究開発・調査を機構横断的に推進する新しい組織の立ち上げを検討している。

 GPAIは、AI関連の優先事項に関する最先端の調査研究と応用活動を支援することにより、AIに関する理論と実践の間のギャップを埋めることを目的とする、産業界、市民社会、国際機関、政府、学界から、価値観を共有する専門家を集めたマルチステークホルダーのイニシアティブで、2020年6月に発足した。

 GPAIは、OECDの「AI(人工知能)に関する理事会勧告」(OECD・AI原則)への支持に基づき構築されており、意欲的な人材と専門知識を結集し、国際協力を促進している。また、国際協力を促進し、AIの課題に関する世界的な参照先となるべく行動することで、AIへの信用が広がり普及が進むよう、学際的な研究を共有し、AI実務者の間で重要な問題を特定するためのメカニズムを提供することを目指している。2024年6月現在、29の国と地域が参加している。<情報通信研究機構(NICT)>
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●科学技術ニュース●TDK、AI消費電力が1/100のニューロモルフィックデバイスの実用化に向け仏CEA及び東北大学と連携

2024-10-10 09:34:30 |    人工知能(AI)
 TDKは、スピントロニクス技術を用いた超低消費電力のニューロモルフィック素子、スピンメモリスタを開発した。

 スピンメモリスタが、ニューロモルフィックデバイスの基本素子として機能することを、フランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)の協力を得て実証し、今後は実用化に向けて東北大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センターと連携していく。

 消費電力を100分の1に低減できるニューロモルフィックデバイスの実用化を目指し、産学官の国際連携で開発を推進する。

 人間の脳はおよそ20Wで動作しており、現在使われているデジタルAI計算と比較して、より複雑な判断を行うことができる超低消費エネルギーデバイスと言える。

 ニューロモルフィックデバイス開発においては、人間の脳のシナプスとニューロンを電気的に模倣したデバイスを開発することを目指しており、メモリスタは脳のシナプスを模倣した素子。

 従来の記録素子は0もしくは1のデータを記録するデジタル記録に対し、同社のスピントロニクス技術を用いて開発したスピンメモリスタは、脳と同じようにアナログで記録できることが特徴。

 これによって脳で行っているような複雑な演算処理が低消費電力で可能となる。

 これまでの既存のニューロモルフィックデバイスに用いられているメモリスタは、抵抗の経時変化や正確なデータ書き込みには制御が困難、データを保持させるために制御が必要といった課題があった。

 スピンメモリスタは、それらの課題を解決できる素子として、耐環境性と安定した記録動作が期待でき、リーク電流を低減することで省電力化が実現できる。

 同社は、2020年からCEAと連携を開始し、スピンメモリスタを用いたAIデバイスの開発に取り組んでいる。

 CEAの協力を得ることで、スピンメモリスタを搭載したAI回路(3素子×2セット×4チップ)を開発し、音声分離デモンストレーションで機能することを確認した。

 これによって、AI回路においてスピンメモリスタが基本素子として機能することを実証した。

 このデモンストレーションでは、3種の音声(音楽とスピーチとノイズ)を任意の比率で混ぜても、開発したAI回路が3種の音声をリアルタイムで学習しながら分離することができる。

 一般的な機械学習では、事前に学習したデータに基づいてAI動作をさせることに対して、同デバイスは、環境の変化をリアルタイム学習できることが特徴。

 実用化に向けた製品製造においては、半導体製造工程とスピントロニクス製造工程の融合が必要となる。

 スピンメモリスタと類似した製品であるMRAMの製造ではこの融合が実現されており、同社は、MRAMの研究・開発で有力な学術機関である東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センターと共同で、融合技術開発を推進することを決定した。

 今後同社は、CEAと東北大学との産学官の国際連携で、AI消費電力を100分の1に低減できるニューロモルフィックデバイスの開発を推進していく。<TDK>
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