kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

再編劇の始まり

2013-01-08 08:09:24 | 日記
自動車業界は完成車メーカーを頂点に裾野の広い産業地図を描いています。
素材産業では化学、鉄鋼、非鉄、ガラス、ゴムなどもすべて自動車生産には
欠かせない分野です。またカーエレクトロニクスが進み電子部品なども年々
部品点数は増加しています。東日本大震災後、自動車各社が社員を派遣して
まで復旧に尽力したルネサスエレクトロニクスも今や自動車生産に欠かせない
マイコン大手だったからです。タイ洪水の時にもロームの現地工場が浸水して
生産ストップしたことによりホンダを初め自動車生産に大きな影響を与えました。

中小企業を含めて裾野が広いピラミッド構造の日本の自動車産業の強さの
秘密がそこにあり今も日本の自動車産業が世界のトップ集団を走っています。
だから完成車メーカーの良いことは部品メーカーにも良いことだという良好な
関係が今まで続いていました。しかし今後はその関係にも変化の波が起こり
そうです。

5日付の経済紙の1面に次のような記事が載りました。「ホンダ、主力車種の
部品費3割減」これから世界の自動車市場は新興国の伸びが先進国を大きく
上回ると予想されています。新興国で販売を伸ばすには低価格の車の投入が
避けられません。そのためにはコストを抑えた自動車生産が勝敗を分けます。
およそ3万点にも及ぶ部品が必要な自動車では製造コストの8割と言われる
部品調達費の削減がどうしても必要です。そのためには車の土台部分の車台
を共通化して開発費を抑え大量生産することによりコスト低減につなげること
が必要です。

車台を共通化することにより大量に同じ部品を発注して部品購買費を引き下げ
る。そうすると部品メーカーは大量発注をこなすために大きな生産能力が必要
になります。勿論多額の設備投資も必要になるでしょう。また世界各地に生産
拠点のある完成車メーカーのために部品供給が求められるでしょう。完成車メ
ーカーの要求にこたえられない部品メーカーは取引の継続が難しくなるでしょう。

いずれホンダの動きは他のメーカーにも広がる可能性が高くなるでしょう。単独
での投資に限界のある企業にとっては残された道は合併による規模の拡大しか
ありません。あるいは買収の対象になるかもしれません。これから部品メーカー
は大手の系列や独立系を問わず再編に進むかもしれません。

まず系列以上に危機感の強い独立系メーカーが先陣を切るような再編劇が今後
起きる可能性はかなり高くなりそうです。株価の刺激材料として合併、買収は洋の
東西を問わず株価にインパクトを与えます。円安で一息ついた自動車メーカーは
5年後10年後を見据えた戦略を推進しそうです。完成車メーカーが円高対策として
アジア企業から部品調達を増やしています。

完成車メーカーの選別に漏れれば円安で潤う業界でも生き残ることが出来ませ
ん。部品メーカーには品質が良くしかも安価な部品を大量に供給できる役割が
求められます。ひょっとしたら今年は部品業界の再編元年になるかもしれません。
部品各社の株価から目の離せない年になりそうです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« もう一つの円安の側面 | トップ | やっとスピード調整 »

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事