kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

オリンパスに足りないもの

2012-12-07 08:27:56 | 日記
オリンパスの株価が低迷しています。先月から進んだユーロ安で欧州での
売上比率の高い多くの精密各社の株価が軒並み大きく上昇する中でオリン
パスの上昇は限定的です。原因はどこにあるのでしょうか。オリンパスは資
産運用の失敗、それを隠すために損失飛ばし行為を続けていましたが外国
人社長の元で巨額の損失隠しが表面化して自己資本の大幅な棄損を招き
ました。

会社側は一桁台まで低下した自己資本比率を回復させるために資本提携
先を模索していました。多くの企業が手を挙げる中で最終的にソニーから
500億円の出資を受けました。支援企業決定の重要な要素に不振の映像
部門の立て直しのためにもっとも支援効果の期待できるソニーが選ばれた
経緯がありました。

株価は出資企業決定を受けて9月18日には1626円まで上昇しましたが、その
後は材料出尽くしで下落傾向が鮮明になり11月中旬には1300円割れまで下
げました。その後は円安を支援材料に多くの銘柄と一緒に上昇しましたが
1400円を越えた時点で息切れして現在1300円後半で推移しています。

オリンパスの映像部門は今期10億円の黒字予想だったのが一転80億円の
赤字予想になり好調な医療器部門の足を引っ張っています。そもそも黒字
予想が大幅な赤字に転落すること自体、会社側の利益予想の精度を疑い
ます。

果たしてソニーとの相乗効果でどこまで立て直すことが出来るのでしょうか。
ソニーだってコンパクト主体のデジカメ部門の収益は厳しく今後もスマホの
一層の普及でコンデジ部門の収益改善は見込み薄です。オリンパスの取る
べき道はデジカメを中心とした映像部門の撤退しかないと思います。映像
部門の黒字見通しに懐疑的な見方が多く株価の重しになっているようです。

漢方薬で有名なツムラは「バスクリン」という入浴剤でもトップブランドでした。
しかし花王の新規参入で競争が激化、人口の長期的な減少で国内事業で
ある入浴剤の利益の大幅な伸びは期待できませんでした。ツムラに転機が
訪れたのは2004年です。それまで創業者一族が100年余経営に携わってき
ましたが、創業者一族以外から初めての社長が誕生しました。

新社長になった芳井順一氏は第一製薬(第一三共)から1995年に会社再建の
ためにツムラに入社しました。芳井氏は入浴剤などの家庭用品部門を2006年
に分社化してその後2008年には投資ファンドに売却しています。第一製薬で
営業部長職だった芳井社長はおそらく西洋医学にない漢方薬に無限の可能
性を感じて経営資源を漢方薬一本に絞ったのでしょう。おそらく生え抜き社長
なら創業者に遠慮して黒字の家庭用品部門の売却まで踏み切れなかったで
しょう。

今オリンパスに求められているのはこの決断です。ソニーとの相乗効果が
最大限に発揮できたとしても映像部門の持続的な黒字計上は内外の環境を
考えたら難しいでしょう。ここ数年赤字続きの映像事業を立て直すには小手
先の対策では効果が出ないことは明白です。

この際世界シェア7割とも言われている内視鏡を中心とした医療部門に経営
資源を集中させるべきです。それを実行できるかどうか生え抜きの現社長に
出来るかどうかで株価の居所も違ってくるように思います。
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