kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

東芝は電機業界の縮図

2018-06-06 06:29:23 | 日記
東芝がパソコン事業をシャープに譲渡することを発表しました。
1989年東芝はダイナブックという商品名でノートPCを始め
て世に送り出しました。一時はノートPC販売世界一を記録した
こともありましたが、PCがスマホに情報機器の主役にとって代
われたことも逆風となり長い歴史に終止符を打ちました。

パソコン事業は不正会計の舞台ともなりました。「バイセル」
取引と言われている仕組みを悪用して実際は利益が出ていない
のに黒字を装う取引に手を染めていました。パソコン事業自体
が既に競争力を失い本来は事業撤退などを経営陣は決断しなけ
ればならなかったにも拘わらず不正会計の温床となっていたの
です。

東芝はこれで携帯端末事業、液晶テレビ事業、白物家電事業と
一時は主力事業の一角を占めた事業から次々に撤退しました。
まるで日本の電機メーカーが一時は世界のトップ集団を走って
いた事業が国際競争力を失い撤退や非中核事業に転落した縮図
が東芝の歩みそのもののようです。

国内市場に安住して世界の潮流を見誤ったことが多くの事業で
海外勢に敗れる原因になりました。液晶パネルも太陽電池も世
界一位まで登りつめたあとあっという間に海外勢にその地位を
奪われました。

特にデジタル製品はコモディティ化するスピードが圧倒的に早く
巨額な設備投資を迅速に決めて他社よりも少しでも早く量産して
初期投資を回収しなければ競争に勝てません。しばしば日本企業
は事業スピードの欠けるという指摘がされていますが、デジタル
分野では迅速な意思決定が出来ない企業は致命的な弱点を抱えて
いるようです。

花形産業といってもいつまでもその立ち位置を維持し続けること
はかなり難しいことです。2000年以前は欧米のライバルだけ見て
いればよかったのですが、韓台勢や中国企業が力をつけてからは
アジア勢が日本の最大のライバルとなっている分野が多くなりま
した。

かつては高品質が日本企業の売りでしたが、最近は急速にその差が
縮んできました。分野によっては既に日本企業よりも先行している
ところもあります。企業の戦略としてはより付加価値の高い製品を
開発するか、あるいは技術を生かした新分野に進出するかしか生き
残る道はありません。

iPhoneのような商品を日本の電機メーカーが開発できなかったこと
が電機業界の地盤沈下を招きました。日本の携帯端末は通信キャリ
ア主導で開発してきました。主導権は通信キャリアだったことが
ガラケーからスマホへの潮流の変化を見抜けなかったとの指摘も後
に言われました。今後日本の電機業界がどんな商品で勝負していく
のか米国やアジア勢の後追いの商品開発から脱しなければ地盤沈下
は止まりません。
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