ホームページを見ていたらS先生の訃報が掲載されていた。数年前、ご自分が副院長をしていた病院で亡くなられていた。享年65歳。若い死であった。
私がS先生にお会いしたのは、入社して半年。最初の赴任地に行った時である。某地域の中核病院の副院長であった。その病院は、人口に比してベッド数が異常に多かった。県会議員の政治力が強かったらしい。そのため、薬の使用量も多かった。
ジェネリック医薬品と言う言葉がある。薬は、開発を行い治験を行い商品化される。その上で、医師に拡宣するわけだからお金がかかる。そのお金は当然のごとく、薬価に反映される。(薬価=薬価基準のこと。国家が決定する薬の値段。薬価基準に掲載されないと、医療保険には請求できない。)
ところが、その薬の特許が切れたとき、他社が同じ成分の薬を販売することがある。開発費や人件費を使っていないから、安価な薬が提供されることになる。それがジェネリック医薬品である。業界では「パチ」「ゾロ」と言われていた。
その病院では、Bと言う薬が半年で300万円も使われていた。ところが、その薬のゾロ品が出たのである。
私は新人ながらS先生に呼び出され、このままではゾロ品に替わってしまうことを宣言された。300万円の売上減は、私にはきつかった。そこで、「情報量やサービスでは、ゾロ品メーカーよりは当社の方が有利です。」と申し上げた。
しかし、S先生の恫喝とも言える一言は非情なものであった。
「安けりゃあ、ええんや。」
私は、この一言で「医者も商売。」と言う事実を思い知らされたと言っていい。
その後。私はいろいろな医者に会った。しかし、素晴らしい腕を持ち、かつ人間的にも尊敬できる医者は、残念ながら少数に過ぎない。
S先生の死を知り、昔を思い出しているが、「安けりゃあ、ええんや。」と言う言葉を聴かなかったら・・・。医者に絶望する時期はもっと遅かったに違いない。
私がS先生にお会いしたのは、入社して半年。最初の赴任地に行った時である。某地域の中核病院の副院長であった。その病院は、人口に比してベッド数が異常に多かった。県会議員の政治力が強かったらしい。そのため、薬の使用量も多かった。
ジェネリック医薬品と言う言葉がある。薬は、開発を行い治験を行い商品化される。その上で、医師に拡宣するわけだからお金がかかる。そのお金は当然のごとく、薬価に反映される。(薬価=薬価基準のこと。国家が決定する薬の値段。薬価基準に掲載されないと、医療保険には請求できない。)
ところが、その薬の特許が切れたとき、他社が同じ成分の薬を販売することがある。開発費や人件費を使っていないから、安価な薬が提供されることになる。それがジェネリック医薬品である。業界では「パチ」「ゾロ」と言われていた。
その病院では、Bと言う薬が半年で300万円も使われていた。ところが、その薬のゾロ品が出たのである。
私は新人ながらS先生に呼び出され、このままではゾロ品に替わってしまうことを宣言された。300万円の売上減は、私にはきつかった。そこで、「情報量やサービスでは、ゾロ品メーカーよりは当社の方が有利です。」と申し上げた。
しかし、S先生の恫喝とも言える一言は非情なものであった。
「安けりゃあ、ええんや。」
私は、この一言で「医者も商売。」と言う事実を思い知らされたと言っていい。
その後。私はいろいろな医者に会った。しかし、素晴らしい腕を持ち、かつ人間的にも尊敬できる医者は、残念ながら少数に過ぎない。
S先生の死を知り、昔を思い出しているが、「安けりゃあ、ええんや。」と言う言葉を聴かなかったら・・・。医者に絶望する時期はもっと遅かったに違いない。