(1)消費者庁が、特定商取引法の改正を検討している。要請のない勧誘行為(不招請勧誘)に規制をかけようというのだ。
訪問勧誘への苦情は、新聞がもっとも多く、とりわけ読売新聞社への苦情件数が業界トップだった。6月10日に消費者庁で行われた専門調査会では、規制反対の弁を打った山口寿一・読売新聞社長に対し、疑問の声や質問が続出した。【注1】
(2)立つ瀬のない読売新聞社は、かっこうの反撃材料を見つけたのか、同調査会から5日後、
板東久美子・消費者庁長官
川上正二・消費者委員会委員長
山口俊一・内閣府特命担当大臣
宛てに「抗議書」を送りつけた。調査会で、山口社長の発言中に「笑った委員がいた」というのだ。
「複数の委員らが声をあげて笑う場面が複数回にわたって続き(中略)新聞協会の代表として山口を出席させた当社としては、極めて遺憾です」(抗議書一部抜粋)
その場面は、こうだ。
山口社長の前に、寺島則夫・新聞協会販売委員会委員長が「一度営業に行きまして、もう来ないでねというところには行かない」と発言し、その後に山口社長はこう述べた。
「新聞の勧誘の現場ではさまざまな接触のやり方があって、断られたけれども、とっていただくということも現実にはある」
この時、笑い声があがった。それは再勧誘の禁止について、両者の発言が矛盾していたからだ。
笑う理由はあったのだ。
(3)7月2日、自民党本部で内閣部会・消費者問題調査会合同会議が開かれた。議題は特定商取引法の見直しについてだったが、実質、自民党と読売新聞社による消費者庁バッシングだった。
山口社長、「(規制は)アベノミクスや地方創生に逆行する」。
水原伸・社長室長、「専門調査会の議事運営について、ヒアリングの際に一部議員が机に突っ伏して笑うということがあった」。
出席議員、「けしからん!」
(当日の映像が流される。)
西田昌司・参議院議員(細田派),「消費者庁の責任だよ。笑っているのは誰なんだ」
薗浦憲太郎・衆議院議員(麻生派、元「読売新聞」政治部記者)、「笑った専門委員に(消費者庁は)笑った理由を確認したのか。こんな専門調査会の意見では誰も信用しない」
北村経夫・参議院議員(細田派、元「産経新聞」政治部長)、「消費者庁の方針に賛成する意見がなかったことを重く受け止めるべきだ」
(4)この日は、「笑った」論にとどまらず、消費者委員会のあり方まで踏み込む発言が出た。
太田房江・参議院議員(細田派、元通産官僚)、「消費者委員会(本委員会)は全員消費者側委員であり、業界側の委員が入っていないのは問題。業界側の委員を入れるべき」
中川雅治・参議院議員(細田派)、「消費者庁は消費者側に一方的に進むのは危険である」
森まさこ・参議院議員(細田派)のいわゆる「消費者保護とビジネスのバランスをとる」論である。
消費者委員会は、消費者庁がそのレーゾンデートルである「消費者目腺の行政」をきちんとやっているかどうかをチェックする機関として発足している。その委員会に事業者が入るのは、お目付役に「泥棒」が就任するようなものだ。
(5)安倍政権を応援する新聞社【注2】は「健全な事業者」として守り、「沖縄タイムス」「琉球新報」など政権に批判的なマスコミには「圧力」をかける。
これが安倍晋三の自民党である。
【注1】「【古賀茂明】読売新聞の大チョンボ ~違法訪問勧誘~」
【注2】「【メディア】「文春」が「読売」を「御用新聞」と批判 ~返す刀で『産経』断罪~」
□野中大樹(編集部)「自民・読売のお笑い二人羽織 訪問勧誘気勢の特商法見直し論議で消費者庁叩き」(「週刊金曜日」2015年7月10日号)
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訪問勧誘への苦情は、新聞がもっとも多く、とりわけ読売新聞社への苦情件数が業界トップだった。6月10日に消費者庁で行われた専門調査会では、規制反対の弁を打った山口寿一・読売新聞社長に対し、疑問の声や質問が続出した。【注1】
(2)立つ瀬のない読売新聞社は、かっこうの反撃材料を見つけたのか、同調査会から5日後、
板東久美子・消費者庁長官
川上正二・消費者委員会委員長
山口俊一・内閣府特命担当大臣
宛てに「抗議書」を送りつけた。調査会で、山口社長の発言中に「笑った委員がいた」というのだ。
「複数の委員らが声をあげて笑う場面が複数回にわたって続き(中略)新聞協会の代表として山口を出席させた当社としては、極めて遺憾です」(抗議書一部抜粋)
その場面は、こうだ。
山口社長の前に、寺島則夫・新聞協会販売委員会委員長が「一度営業に行きまして、もう来ないでねというところには行かない」と発言し、その後に山口社長はこう述べた。
「新聞の勧誘の現場ではさまざまな接触のやり方があって、断られたけれども、とっていただくということも現実にはある」
この時、笑い声があがった。それは再勧誘の禁止について、両者の発言が矛盾していたからだ。
笑う理由はあったのだ。
(3)7月2日、自民党本部で内閣部会・消費者問題調査会合同会議が開かれた。議題は特定商取引法の見直しについてだったが、実質、自民党と読売新聞社による消費者庁バッシングだった。
山口社長、「(規制は)アベノミクスや地方創生に逆行する」。
水原伸・社長室長、「専門調査会の議事運営について、ヒアリングの際に一部議員が机に突っ伏して笑うということがあった」。
出席議員、「けしからん!」
(当日の映像が流される。)
西田昌司・参議院議員(細田派),「消費者庁の責任だよ。笑っているのは誰なんだ」
薗浦憲太郎・衆議院議員(麻生派、元「読売新聞」政治部記者)、「笑った専門委員に(消費者庁は)笑った理由を確認したのか。こんな専門調査会の意見では誰も信用しない」
北村経夫・参議院議員(細田派、元「産経新聞」政治部長)、「消費者庁の方針に賛成する意見がなかったことを重く受け止めるべきだ」
(4)この日は、「笑った」論にとどまらず、消費者委員会のあり方まで踏み込む発言が出た。
太田房江・参議院議員(細田派、元通産官僚)、「消費者委員会(本委員会)は全員消費者側委員であり、業界側の委員が入っていないのは問題。業界側の委員を入れるべき」
中川雅治・参議院議員(細田派)、「消費者庁は消費者側に一方的に進むのは危険である」
森まさこ・参議院議員(細田派)のいわゆる「消費者保護とビジネスのバランスをとる」論である。
消費者委員会は、消費者庁がそのレーゾンデートルである「消費者目腺の行政」をきちんとやっているかどうかをチェックする機関として発足している。その委員会に事業者が入るのは、お目付役に「泥棒」が就任するようなものだ。
(5)安倍政権を応援する新聞社【注2】は「健全な事業者」として守り、「沖縄タイムス」「琉球新報」など政権に批判的なマスコミには「圧力」をかける。
これが安倍晋三の自民党である。
【注1】「【古賀茂明】読売新聞の大チョンボ ~違法訪問勧誘~」
【注2】「【メディア】「文春」が「読売」を「御用新聞」と批判 ~返す刀で『産経』断罪~」
□野中大樹(編集部)「自民・読売のお笑い二人羽織 訪問勧誘気勢の特商法見直し論議で消費者庁叩き」(「週刊金曜日」2015年7月10日号)
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