味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

両人対酌すれば山花開く、一盃一盃復た一盃。

2015-11-05 08:36:19 | ブログ
第2504号 27.11.05
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両人対酌すれば山花開く、一盃一盃復た一盃。『古文真宝』
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 互いに心許した二人が対座して酒をくむほどに、山の花も咲きだした。その花の下、一献また一献と心ゆくまで盃を重ねる。(李太白「山中問答」)539
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 【コメント】辞典を開いたら、李白の詩のところが出てきました。昨夜の酒が残っているわけではないのですが。
 私の目の前には、詩吟道師匠・竹下一雄先生と「一献一献復た一献」酌み交わしている写真を貼っています。
 昨夜も竹下先生と一献一献酌み交わした心境です。竹下先生は、先日13回忌がきたばかりでしたが。
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 私との話は西郷さんのことよりか、菅臥牛先生のこと、菅原先生のこと、長谷川先生、小野寺先生のことが何時も話題になっていました。竹下先生は詩吟会員の方々から、右翼、右翼といわれていたものです。大政翼賛会にも入っていたこともあったそうです。
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 私が思うに、菅原先生と同じ、生粋の日本精神を有した大人だったと思っています。竹下先生は焼酎以外は一切飲まない人でした。
 竹下先生は『南洲翁遺訓』のことを話す時、「味園さん、これはな、西郷さんの精神とみんな言うけど、ちごたっど(違うのだよ)、これは荘内の精神じゃったっど」と、目に涙を浮かべて私に話してくれたものです。30年間竹下先生と語り合ったものです。
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 漢詩を250首詠んで西郷さんになりきって死んでいったのでした。荘内南洲会の先生方が味園道場に来て、そして指宿の旅館に宿泊し、その翌日、出発しようとする時、竹下先生がお亡くなりになったとの悲報を受けたのでした。
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 豪傑で、金銭に恬淡として、万民に親切にし、焼酎をこよなく愛する薩摩の巨人でした。味園道場の書棚にある、『鶴岡市史』『大西郷全集』等々は竹下先生から、是非貰ってくださいと懇願され、道場に置くことにしたものです。
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 竹下先生が生きていたら、『南洲翁遺訓』改竄事件をしようとした御仁に直接、「お前は辞めろ」と言った筈です。それを聞き入れなければ、直接市長室へ乗り込んだと思われます。それくらいの熱血漢でした。曲った事が大嫌いな先生でした。
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 私が『南洲翁遺訓』を本格的に子供たちに教えだしたのも、竹下先生の遺言だったのです。鹿児島でいろいろ画策する人もいますが、器が天と地ほどの違いがあると私は観ています。

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『臥牛菅実秀』(第41回)
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そうした実秀を、周囲では『むやみに大言壮語をする男』といっていた。
 実秀は若いころから、あまり酒はできなかったが、二三杯も飲むと快然となって、自分が藩政を左右しているかのような高言を放つのであった。
 友人たちは、それを面白いことにして、夜話に寄り集ったとき、実秀に酒をすすめて議論を吹きかけた。すると実秀は、
「後日、家老になるのは、このわしであろう。」
と、あたりに人がいないかのように超然と言い放ったのである。
「なぜ、そんなことをいう。」
「それは当然ではないか。国を担う志において、わしは君らよりはるかに立ちこえているからである。」

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『論語』(第436)
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 子武城に之(ゆ)き、絃歌の声を聞く、夫子莞爾として笑うて曰はく、「鶏を割くに焉(な)んぞ牛刀を用ひん。」子游対えて曰はく、「昔者偃(えん)や諸を夫子に聞けり。曰はく『君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば、則ち使ひ易し』と。」子曰はく、「二三子、偃の言是なり。前言は之に戯るるのみ。」
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 孔子が二三人の門人を連れて、子游(名は偃)が町長をしている武城に行き、子游の案内で町を見物していると、家々から琴に和して歌ふ声が聞こえた。それが正統の雅楽なので、子游が其町を礼楽で治めていることを知り、ニッコリと笑って、『鶏を料理するに何も牛刀包丁には及ぶまい。』と言はれた。
 すると子游はこれを、これくらいの小さな町を治めるのに礼楽とは大袈裟過ぎる、という意味にとり、『偃は以前に先生から「君子道ヲ学ベバスナワチ人ヲ愛シ、小人道ヲ学ベバスナハチ使ヒ易シ。』といふ言葉を伺ったことがあります。それ故私は小さい町ながら礼楽で治めたいと考えて人民たちに雅楽を教えておりますのに、鶏に牛刀と仰せられるのは其意を得ません。』と開き直って真正面から理屈を言った。
 孔子は、実は子遊のような国家を治め得る大才にかような小さな町の町長ぐらいはもったいない、という意味でシャレを言はれたのだが、お前の思い違いだとは言はれないで子游の顔をたて、門人たちを顧みて仰るには、『イヤ全く偃の言うとおりだ。さっきのは冗談ぢゃよ。』

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『農士道』(第319回)
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 然らば、純乎たる生ける日本精神の本質は何か。私は次の如く簡明にいひたいと思ふ。
 日本精神とは、「ひ」の本精神であり、大和心である。
と。以下之に就いて其の要点を説明することとする。

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     (二)、「ひ」とは何ぞや
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 日本精神とは、「ひの本」精神であり、大和心であるといったが、然らば「ひ」とは何ぞや。先ず之を明らかにするを要する。

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