JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ガイドブックは我が舌にあらず

2010年01月21日 | g-i

ポカポカ陽気も今日まで、今夜からはまた冬の寒さが戻ってくるんだそうで、たしかに寒くなってきました。じつはそのギャップが一番身体にはこたえるものですから、訃報続きの今日この頃、お互いに体調にはじゅうぶん注意いたしましょう。

「バブ君はECMをずいぶん毛嫌いしてるんだねぇ」
昼食が一緒になったNさんが突然そんなことを言ってきました。ありがたきかな、昨晩遅くの更新にもかかわらず我がログをすでにご覧いただいたようで
「毛嫌いだなんて、そんな・・・・」

ジャズのみならず、レコードを聴く趣味をお持ちの方は、少なからずそれぞれのレーベルの特長を感じ取られているはずです。それは、方向性や姿勢であり、プロデュースであり、録音方法や状態であり、ジャケット・デザインであり・・・・・・・・
じっさいにレコードを買う際も面子はもちろんのことですが、レーベルも選択肢として大きく係わってくることは間違いありません。
つまり、それぞれの特長があってこそのレーベルであり、逆に特長のないレーベルなどレーベルじゃない、みたいな。(笑)

ブルーノート、プレスティッジ、リヴァーサイド、アトランティック、ヴァーヴ、インパルス、パブロ、CBSコロンビア、エマーシー、マーキュリー、サボイにコンテンポラリー、ets.ets.

ただ振り返るに、私自身もそうであったかも知れませんが、レーベルの特長を聴く側があまりにも誇張しすぎて、まるでブランド化のように・・・そう例えば「初心者がジャズを聴きたいと思うなら、ブルーノートの1500番台を聴いてりゃ間違いない」みたいな決めつけをし過ぎてしまう、そんなことはないでしょうか?
私のECMに対する想いも、かなりそういった傾向があるように思え反省しています。

考えてみたら、ブルーノートのアルフレッド・ライオンも、ECMのマンフレート・アイヒャーも同じドイツ人で、しかも細部まで彼らの意向を貫き通しアルバム制作を行ったという点でじつに類似するわけで、ただ、方やアメリカで方やドイツで違った好みのジャズを追求したという相違があるということ、私の好みが彼らのどちらかと全く同じとか、全く違うとかもあり得ないわけですから、ただレーベルだけで私好みを判断するのは早計だということでしょう。

さらに、全てのメニューを食べ尽くすのはいかんせん無理としても、一つも食べないうちにただガイドブックの評価のみを鵜呑みにしてグルメを気取る。そんなことは無かったのか?って話ですよ。(あくまで自分に向けての反省ですよ)
レーベルが一つのガイドラインだとするなら、ガイドブックを活用することは悪くはありません、悪くはありませんが、少なくとも一度は自分自身の耳で判断することが肝心なのではないか・・・・なんてね。

Nさんとジャズ・レーベルの話をしながら、そんな反省をした今日でありました。
あれ?久々にジャズの話だった?・・・・あはは、ジャズの話でもないか。

さて、というわけで、今日の一枚もECM、ヤン・ガルバレクです。
え?逃げたなってですか?
いやいやいやいや・・・・・・そういえば「WITCHI TAI-TO」を聴いて以来、ヤン・ガルバレクにちょっと惚れたという話は以前しましたっけね。
そのとおり、ECMでもこれを紹介するあたりは、私の逃げに相違ありません。(居直りました。笑)

ガルバレクとボボ・ステンソンのコンビは、なんて言うか独特の透明感を感じさせます。それは始めて「WITCHI TAI-TO」を聴いたときも、このアルバムを聴いたときも真っ先に思った感想です。
まるで世界一透明度の高い湖の中を自由に力強く泳ぎながら、それでいて疲れなどまったく感じない、前衛的なフリー感が随所に現れるのにいわゆるフリー・ジャズとはあきらかに違う美しさがあって、これをなんと表現したらよいのでしょう?

私の好きな泥臭さもここまでそぎ取ってしまえば、それはそれで魅力なのでありますね。

DANSERE / JAN GARBAREK
1975年11月録音
JAN GARBAREK(ss,ts) BOBO STENSON(P) PALLE DANIELSSON(b) JON CHRISTENSEN(ds)

1.DANSERE
2.SVEVENDE
3.BRIS
4.SKRIK & HYL
5.LOKK
6.TIL VENNENE