JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

知識を遊ぶも一興

2009年06月05日 | j-l

「ご隠居~~~、ご隠居~~~!!」
「これこれ熊さん、そんな大声を上げなくても聞こえてますよ。それにしても何をそんなに慌てているんだい」
「ご隠居、今日はオレッチ達にとっちゃ大切な日だってんだが、何の日かご存じですかい?」
「なんだろうねぇ、また藪から棒な、ともかく茶でもしんぜようから、あがって落ち着きなさい。」
てんで熊五郎、お茶を飲みながらこうきり出しました。
「いやね、ついさっき与太の野郎が家に来やしてね、「あにさんあにさん、今日は何の日かあにさんは知ってるかい?」ってほざきやがる。そんでね「そりぁ知ってるともさ、今日まで知らなかったのは与太くれぇなもんよ」って、まっ知っちゃいないんですがそう言ってやったんでさぁ」
「熊さん、嘘はいけないよ」
「まぁまぁ、そしたらやっこさん「やっぱりそうかぁ、おいら達の大切な日だもんね、あにさんが知らないわけがないや。それでおいらね、あにさんのところでもお祝いをするんじゃないかと思って、マイ箸持ってきた。」なんてほざくもんだから、「おうそうかい、ちょうど今から酒を取りに行くところだから、おまえは留守番をしていてくれ」てんで、家を飛び出してきたってわけなんでさぁ・・・・ところでご隠居、今日は何の日なんでしょ?」

前振りが長くなりました。今日6月5日は「ロク・ゴ」「ロォァク・ゴ」「ラク・ゴ」「落語の日」、なんとも無茶苦茶な駄洒落ですが、春風亭正朝が提唱して決まった日なんだそうであります。

「落語の日」と知った熊さん、そうとわかればさっさと酒を仕入れて祝杯と行きたいところですが、ご隠居の話し好きに火が着いてしまいます。
「そもそも、落語ってもんはだね、古くは群雄割拠の戦国時代、名だたる武将が身近においたという、徒然を慰めるための御伽衆、あるいは御咄衆と呼ばれる知識人に端を発し、そのなかに秀吉に仕えし曽呂利新左衛門、安楽庵策伝といった名御伽衆がおりましてな。特に安楽庵策伝は、晩年、江戸期に入って京都所司代坂倉重宗に請われて、それまでに見聞き、あるいは自ら口演した咄を『醒睡笑(せいすいしょう)』と題する笑話本に編纂したわけですな、これが安楽庵策伝が落語の祖とする由縁。しかしながらまだまだ庶民が楽しむ落語とは縁遠く・・・」
「ご隠居、そのはなしは長くなりますかねぇ、与太に留守を任せておくのも心配ですし、それは今度またということで・・・・・ありがとござぁしたぁ」

いやいや、いけませんねぇ、なんとかオチまで噺を作ってやろうかと思いましたが、マクラにすらなりません。やっぱり私は落語家にはなれませんな。(笑)

けっきょく何を言いたいかといえば、落語したり、ジャズもしたり、それらの歴史やその背景を知ることも、けしてマイナスにはならないのではないか。まして、ご隠居同様、歳を重ねれば暇も出来るし相手にしてくれる人も少なくなるわけで、それがそれらを純粋に楽しむ事とはかけ離れていても、ちょっと自分なりに勉強してみるみたいなね。それが楽しみ方にも厚みをつけたり、なによりボケ防止になるかもしれませんし(笑)
ご隠居のようにうんちくを語りたがるのは少々問題ですが、理論武装ということではなく、興味をさらに膨らますことはけして悪い事じゃないでしょ?

そういえば、昔、ジャズのことをなんとなくノートにまとめてみたことがありました。
これが今になって、このブログでたまぁ~~に書く真面目な(?)ジャズ話のネタになっていたりします。
いや、正直に言うと、そのノートを基にHPではジャズのうんちく語りをして、ブログではくだらな話をしようかなんて最初は考えていたのですが、HPの更新が重くなっちゃって・・・・挫折しています。(笑)
ん?まてよ、私のジャズの知識など所詮このノートから進歩が無いということか????
まっいいや、
この歳になってまたうんちくを書きつづるノートでも作ってみましょうか。
およそ千数百あるという落語演目(現在、普通に演じられる噺は三百といったところらしいですが)を楽しむために、あるいはジャズの無数の演奏を楽しむために、「今まで知り得た自分の知識を遊びとして要約してみる」(知識と呼べるものかどうかは別として。笑)これっていい歳だから出来るってこともあるし、一興ではありませんかねぇ。
そんなことを『落語の日』に思ったのでありました。

さて、今日の一枚は、ウイントン・ケリーです。

晩年の傑作と呼ばれる一枚ですが、そこまで意気込んで聴く一枚だとはけして思いません。
CD発売時に書かれたライナーノーツに「ジャズファンが日頃からケリーを愛してやまないのは、もっと(「KELLY BLUE」等々をさして)何気ない普段の演奏とはいえないか。サイドマンにまわって、別にどうということのない演奏かもしれないが、ああ、やっぱりケリーはゴキゲンだ、そんなことを何度も体験し、その体験の集積が総合的にウイントン・ケリーに高い評価がよせられる原因になっていると思う。」という青木和富氏のものがあります。大いに賛同しますねぇ。

そういった意味で、今日の一枚は、じつにケリーらしい、力の入らないピアノが楽しめる一枚であると私も思っています。
とくにCDなんかで、全12曲をとおして聴くと、知らぬ間に終わっちゃっている、う~~んスーッと流れちゃってるみたいな感覚があって、そのくせ聴き終わった後に「いい感じ」みたいな。(笑)
つまりそれが青木氏がおっしゃりたいことなのでしょう。

ともかく、心地よいトリオ演奏だと思います。

FULL VIEW / WYNTON KELLY
1967年録音
WYNTON KELLY(p) RON McCLURE(b) JIMMY COBB(ds)

1.I WANT A LITTLE GIRL
2.I THOUGHT
3.WHAT DIFF'RENCE ADAY MADE
4.AUTUMN LEAVES
5.DONT'CHA HEAR ME CALLIN' TO YA
6.ON A CLEAR DAY
7.SCUFFLIN'
8.BORN TO BE BLUE
9.WALK ON BY